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Our Origins: Discovering Physical Anthropology(人類の起源:自然人類学への招待) cover

人類学

人類学

Our Origins: Discovering Physical Anthropology(人類の起源:自然人類学への招待)

Clark Spencer Larsen

英語原題: Our Origins: Discovering Physical Anthropology

進化理論と遺伝学を土台に人類の起源を学ぶ、生物(自然)人類学の入門教科書。遺伝と進化のしくみから、現生霊長類、化石記録、そして人類の変異や現代の人間集団の生物学へと順に進む。

前提知識: 前提となる科目は不要で、高校程度の生物学の知識があれば遺伝学の章を理解できる。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
biological anthropologyhuman evolutionprimatologygeneticsfossil record教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Larsen, C. S. (2025). Our Origins: Discovering Physical Anthropology (6th ed.). W. W. Norton & Company.

章の要約

第6版は全14章からなる。学問分野を紹介する冒頭の章に続いて、時間の方向にちなんで名づけられた三つの部が置かれている。第I部「現在――過去の基盤」、第II部「過去――現在の証拠」、第III部「未来――来るべきものの姿」である。各章には「Anthropology Matters(人類学が重要な理由)」のコラムがあり(そのうち8本には動画がつく)、人類学者のキャリアを紹介する「Anthropology at Work」も今回の版で拡充された。電子書籍版には骨や化石の3Dモデルと、各節末の Check Your Understanding 問題が加わっている。

第1章:生物人類学とは何か

学問分野への導入で、生物人類学者が何を研究し、この分野が人類学の他の領域とどう関係するかを扱う。出版社によれば、この版では研究倫理(研究と植民地主義をめぐる倫理を含む)についての新しい記述が加わっており、授業のこの段階で扱うのが自然な内容である。

第2章:進化――基本的な科学理論の構築

第I部の最初の章で、進化を科学理論として示し、それがどのように築き上げられてきたかをたどる。

第3~4章:遺伝学――生命の複製と変異の産出/遺伝子とその進化――集団遺伝学

遺伝を扱う二つの章。前者は遺伝情報がどのように複製され、変異がどのように生じるかを扱う。後者は集団のレベルに移り、時間とともに遺伝子頻度を変える力を扱う。

第5章:現在の生物学――生きている人々

現代の人類の生物学的変異を扱う。出版社によれば、人種と人類の変異、健康と疾病、消費者向け遺伝子検査についての記述が、授業と学生自身の生活を結びつける。

第6~7章:現在の生物学――ほかの現生霊長類/霊長類の社会性、社会行動、文化

現生霊長類の生物学と多様性、次いでその社会生活と行動を扱い、ヒト以外の霊長類に文化があるかという問いにも触れる。この二章で第I部が終わる。

第8章:化石と、時間と自然の中でのその位置

第II部は証拠そのものから始まる。化石がどのように形成され、どのように時間と環境の中に位置づけられるかを扱う。

第9章:霊長類の起源と進化――最初の5000万年

ヒトの系統が現れる以前の霊長類の化石記録を扱う。

第10~11章:初期ホミニンの起源と進化――人類の根/初期ホモ属の起源と進化

最初期のホミニンとホモ属を扱う。出版社は、人類の起源に関わる化石の発見を反映して、アウストラロピテクス、ホモ・ナレディ、ホモ・フロレシエンシスについての記述を更新したと述べている。

第12章:現生人類の起源、進化、拡散

解剖学的現代人の起源と、世界への拡散を扱う。

第13章:最後の1万年――農耕、人口、そして根本的な転換の生物考古学

農耕への移行とそれが人類集団に及ぼした帰結を、生物考古学、すなわち遺跡から出土した人骨の分析によって考察する。生物考古学はラーセン自身の研究分野である。

第14章:進化――今日と明日

第III部の唯一の章で、人類の進化を進行中の過程として捉える。出版社が挙げる話題には、食料安全保障、生物多様性、パンデミックといった地球規模の脅威が含まれる。

主要概念

第1~4章:学問分野、進化、遺伝学

  • 生物人類学:人間を生物として、現在においても進化の時間の中でも研究する学問。
  • 科学理論としての進化:証拠と検証から築き上げられた説明で、第2章で分野の基盤として示される。
  • 集団遺伝学:遺伝的変異の頻度が世代を通じてどう変化するかを研究する分野。

第5~7章:現在

  • 人類の変異:現生の人々の間にある生物学的差異と、人種との関係を含めたその解釈のしかた。
  • 霊長類の社会性:ヒト以外の霊長類の社会組織と行動で、人間を理解するための比較の基盤として用いられる。

第8~14章:過去と未来

  • 化石記録:時間と文脈の中に位置づけられることで、霊長類とホミニンの進化を記録する保存された遺骸。
  • ホミニン:他の類人猿と分かれた後のヒトの系統で、初期の形態からホモ属までを含む。
  • 生物考古学:考古学的に出土した人骨から健康、食生活、生活様式を読み取る研究で、本書では農耕への移行の考察に用いられる。

批判的分析

長所

  • 明快な構成原理。 各部の題が本書の論理を示している。まず現在の生物界(進化、遺伝学、人々、霊長類)を過去を解釈する基盤として扱い、次に化石の証拠、最後に未来を展望する。学生はどの段階でも、なぜそれを読んでいるのかがわかる。
  • 変化の速い分野で新しい。 出版社は、近年の化石の発見(ホモ・ナレディ、ホモ・フロレシエンシス、アウストラロピテクス)についての更新と、研究倫理についての新しい記述を強調している。解釈がすぐに変わる分野では、2025年の版であることは利点である。
  • 学生の生活と結びつく。 全章にある「Anthropology Matters」コラムと、出版社が強調する話題(遺伝的祖先検査、人種と変異、健康、パンデミック)が、科学を授業の外で出会う問いに結びつける。「Anthropology at Work」の紹介は、人類学を学んだ人々がどのような仕事をしているかを示す。
  • 最後の1万年を扱う特色ある章。 多くの入門書は現生人類の出現で終わる。第13章はさらに農耕への移行まで進み、著者自身の専門である生物考古学を用いてそれを考察する。

短所

  • デジタル教材と一体になっている。 出版社が強調する多くの要素(3Dモデル、埋め込み動画、Check Your Understanding のフィードバック、適応型クイズ InQuizitive)は、印刷版のテキストではなく Norton Illumine 電子書籍とオンライン教材に属する。印刷版だけを使う学生はこれらを利用できない。
  • 未来を扱う章が一つだけ。 第III部は一章のみである。進行中の人類進化や現代の人間集団の生物学を詳しく知りたい読者には、さらに読書が必要になる。

コースにおける位置づけ

『Our Origins』はこのコースの標準的な最初の教科書である。スタンフォード、アレン、アントンの『Biological Anthropology: The Natural History of Humankind』は同じ範囲を同程度のレベルで扱い、生物文化人類学も加えている。授業では通常どちらか一方が選ばれる。アメリカ人類学会が刊行する『Explorations: An Open Invitation to Biological Anthropology』は、専門家が各章を執筆した無料のオープンライセンス教科書で、どのテーマについても第二の視点として、あるいは費用のかからない代替として役立つ。バーナード・ウッドの『Human Evolution: A Very Short Introduction』は人類進化の証拠と、解釈がいかに不確かなままかを簡潔に述べた本で、第II部の予習にも、読んだ後のまとめにも向いている。

入門の授業より先に進む学生には、フォーリーとルーウィンの『Principles of Human Evolution』がヒトの系統を進化と生態の理論の中で扱っている。リチャード・クラインの『The Human Career』は化石と考古学的証拠を大量の文献とともにまとめた大部の総合書である。どちらもラーセンの第9~12章の後の自然な次の段階になる。

本書の使い方

本書は生物人類学・形質人類学の入門授業を受ける学部1~2年生向けに書かれている。出版社は、生物人類学が学生の生活や地域社会にどう関わるかを示すために書かれた本だと説明している。著者はオハイオ州立大学の生物考古学者・古人類学者で、自ら形質人類学の入門授業を担当している。

1学期の読書計画の一案:

  • 第1~4週: 第1~4章。遺伝学の章には時間をかける。変異と進化を扱う後の章はそれを前提にしている。
  • 第5~7週: 現代の人々と霊長類を扱う第5~7章。授業に実習があるなら、霊長類骨格の比較解剖をここで行うとよい。
  • 第8~12週: 化石記録を扱う第8~12章を順に読む。第10~12章で名前の出てくるホミニンの種の年表を作り、読み進めながら更新していく。
  • 第13~14週: 第13~14章。農耕、健康、人類の未来について議論中心の授業に向いている。

授業で電子書籍を使う場合は、本文で頭骨や化石が論じられるところで3Dモデルを操作し、節末の問題を次へ進む前の確認として使うとよい。「Anthropology Matters」の各コラムは、短い振り返りの文章を書くきっかけとして読む。化石の解釈は変わるので、最近の発見について本書の記述を最新のニュースや研究の要約と比べてみるとよい。