01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
McQuail, D., & Deuze, M. (2020). McQuail's Media and Mass Communication Theory (7th ed.). SAGE Publications.
章の要約
本書はメディアとマスコミュニケーションの理論に関する包括的な教科書兼参考書で、約670ページ、18章を8部にまとめ、序文、「本書の使い方」の節、用語集、著者索引と事項索引を備える。出版社は、他に例がないほど包括的でバランスのとれた案内書であり、前の版の叙述を、遍在し、モバイルで、ソーシャルで、常時オンラインのメディア世界へと延長するものだと説明している。出版社によれば、新版は、ビッグデータ、アルゴリズム文化、AI、プラットフォーム・ガバナンス、ストリーミング・サービス、マス・セルフ・コミュニケーションの時代における「マス」メディアとコミュニケーションの概念化により多くの注意を払い、すべての章で倫理を論じ、多様でグローバルな声や事例を取り入れ、ジャーナリズム、広告、映画、テレビ、デジタルゲームを含めてメディア産業の働きをより詳しく扱う。
Preface;How to Use this Book
前付けには本書の使い方の節があり、18章をどう通読するか考える読者はここから始めるとよい。
第1部、第1〜2章:Preliminaries
第1章 Introduction to the Book と第2章 The Rise, Decline and Return of Mass Media が本書の幕を開ける。前者は本書自体の紹介であり、後者はマスメディアの興隆、衰退、復活を扱う。
第2部、第3〜6章:Theories
第3章 Concepts and Models for Mass Communication は基本的な語彙を与える。第4章 Theories of Media and Society と第5章 Media, Mass Communication and Culture は、社会や文化との関係でメディアを考える主要な思考を提示する。第6章 New Media Theory は、デジタルでネットワーク化されたメディアの理論を扱う。
第3部、第7〜9章:Structures
第7章 Media Structure and Performance: Principles and Accountability は、メディアが組織され、説明責任を負う原則に関わる。第8章 Media Economics and Governance は経済と規制の側面を扱う。第9章 Global Mass Communication は議論を国境の外へ広げる。
第4部、第10〜11章:Organizations
第10章 The Media Organization: Structures and Influences と第11章 The Production of Media Culture は、メディア機関とその内部での文化の生産を見る。出版社は、この分野が今回より詳しく扱われていると述べている。
第5部、第12〜13章:Content
第12章 Media Content: Issues, Concepts and Methods of Analysis は、内容を分析するアプローチを紹介する。第13章 Media Genres, Formats and Texts は、メディアの内容がとる形式に移る。
第6部、第14〜15章:Audiences
第14章 Audience Theory and Research Traditions は、オーディエンスがどのように理論化され研究されてきたかを扱う。第15章 Audience Formation and Experience は、オーディエンスの形成とその経験を扱う。
第7部、第16〜17章:Effects
第16章 Processes and Models of Media Effects はモデルを示す。第17章 A Canon of Media Effects は新版で新設された章で、出版社によれば、社会文化的効果とニュース、世論、政治コミュニケーションを一つにまとめ、メディア効果と影響の観念を考え直し、組み立て直す。
第8部、第18章:Epilogue
第18章 The Future が本書を閉じる。
主要概念
第1〜2部
- マスメディアとマスコミュニケーション:第2章がその興隆、衰退、復活をたどり、新版が再検討する概念。
- 概念とモデル:第3章で示される基本的な道具。
- ニューメディア理論:デジタルメディアに対する第6章のアプローチ。
第3〜4部
- メディアの構造と成果:第7章の原則と説明責任。
- メディア経済とガバナンス:第8章の焦点。
- メディア組織とメディア文化の生産:第10〜11章。
第5〜7部
- 内容分析、ジャンル、フォーマット、テクスト:第12〜13章。
- オーディエンスの形成と経験:第15章。
- メディア効果の「正典」:第17章による効果の捉え直し。
批判的分析
長所
- 計画的な包括的カバー。 8つの部はコミュニケーション過程に沿い、構造と組織から内容、オーディエンス、効果へと進むので、各主題に居場所があり、読者はすばやく見つけられる。
- デジタルメディアへの更新。 出版社が挙げる新しい内容(ビッグデータ、アルゴリズム文化、AI、プラットフォーム・ガバナンス、ストリーミング、マス・セルフ・コミュニケーション)とニューメディア理論の専用の章は、本書を20世紀のマスコミュニケーションの先へ広げる努力を示している。
- 倫理とグローバルで多様な声。 出版社は、すべての章で倫理が論じられ、事例が多様でグローバルな範囲から取られていると述べている。
- 読解の補助。 「本書の使い方」の節、用語集、別々の著者索引と事項索引は、本書が参考書として機能するのを助ける。
- 推薦。 出版社はソニア・リヴィングストンの言葉を引用しており、活発な議論と適切な例に満ち、注意深くバランスがとれ、包括的な、この分野への招待だと評している。
短所
- 大きさ。 約670ページ、18章で、通読するよりも拾い読みする参考書である。
- 深さより広さ。 各章が広い領域を扱うため、オーディエンス研究や効果研究のような一つの下位分野の専門家は、詳細のために専門書や論文を必要とする。
- 変化の速い主題。 AI、プラットフォーム、ストリーミング、アルゴリズム文化についての新しい内容は、2020年以降も変わり続ける事態に関わるため、確立した理論よりも早く古くなる。
コースにおける位置づけ
メディアと文化のコースにおいて、McQuailとDeuzeは包括的な理論の参考書である。最初の出会いには、Croteau、Hoynes、ChildressのMedia/Societyが技術、産業、内容、ユーザーを軸にしたメディア社会学の入門であり、PollardとMcDougallのMedia Studies: The Basicsが概念と方法の短い入門である。どちらもより入りやすい出発点である。FuchsのSocial Media: A Critical Introductionはとくにソーシャルメディアを批判的に見、CouldryとHeppのThe Mediated Construction of Realityはメディアが社会的現実をどう形づくるかについての理論的研究である。GoffmanのThe Presentation of Self in Everyday Lifeは、メディアではなく対面的相互行為の古典的研究であり、McQuailとDeuzeのマクロな概観に対するミクロな補完になる。
この書目の中で、理論的伝統の概観を得て、より専門的な本への地図とするには、McQuailとDeuzeを参照するとよい。
本書の使い方
メディア、コミュニケーション、カルチュラル・スタディーズの学生や研究者で、この分野の体系的な説明を必要とする人のための本である。これらの分野の入門的な授業が適切な準備になる。
実践的な読み方は次のとおり。
- 始めに: 「本書の使い方」と第1〜3章。地図と語彙が得られる。
- 中核の理論: 第4〜6章。
- 主題別: 構造、組織、内容、オーディエンス、効果の各部は、コースが必要とする順序で読める。相互参照には用語集と索引を使う。
- 効果と未来: 第16〜18章。新たに枠づけられたメディア効果の扱いと結びの議論のため。
小論文などに本書を使うときは、各章を出発点の地図とみなし、その参考文献をたどって一次文献に進むこと。
