01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Butler, G., & McManus, F. (2014). Psychology: A Very Short Introduction (2nd ed.). Oxford University Press.
章の要約
第2版は148ページ、全10章で、巻末に参考文献、短い文献案内、索引が付く。出版社の紹介文は、心理学者は何をしようとしているのか、その方法にはどのような科学的根拠があるのか、という問いを軸に本書を位置づけている。また、神経科学と技術の進歩によって脳活動を観察・測定できるようになったことを受け、新版では話題と脳の研究方法が加わったと述べる。章題の多くが問いの形をとっているため、全体が分野の案内ツアーのような構成になっている。
第1章:What is psychology? How do you study it?(心理学とは何か。どう研究するのか)
冒頭の章は、この学問の対象と、心理学者がそれをどう調べるかを示す。心理学の主張は証拠と方法に支えられるという本書の姿勢に最初に触れる章であり、続く各テーマの章への準備になる。
第2章:What gets into our minds? Perception(心には何が入ってくるのか。知覚)
最初のテーマ章は知覚、つまり感覚からの情報が心に届く経路を扱う。感覚信号やネッカーの立方体は、本書が繰り返し用いる用語に含まれる。
第3章:What stays in the mind? Learning and memory(心には何が残るのか。学習と記憶)
この章は学習と記憶を組み合わせて扱う。強化や報酬も、本書が繰り返し用いる用語に含まれる。
第4章:How do we use what is in the mind? Thinking, reasoning and communicating(心にあるものをどう使うのか。思考・推論・コミュニケーション)
第4章は、蓄えられたものから、それをどう使うかへと進み、思考、推論、コミュニケーションを扱う。直前の二つの章と合わせて、本書の認知面の中核をなす。
第5章:Why do we do what we do? Motivation and emotion(なぜそうするのか。動機づけと情動)
第5章は行動の理由に目を向け、動機づけと情動をひとまとめに扱う。
第6章:Is there a set pattern? Developmental psychology(決まったパターンはあるのか。発達心理学)
この章は時間の経過に伴う変化を見る。愛着や養育者は、本書が繰り返し用いる用語に含まれる。
第7章:Can we categorize people? Individual differences(人を分類できるか。個人差)
第7章は、人を分類できるのか、できるとすればどのようにか、を問う。知能検査、パーソナリティ、特性は、本書が繰り返し用いる用語に含まれる。
第8章:What happens when things go wrong? Abnormal psychology(うまくいかないとき何が起こるか。異常心理学)
第8章は心理的苦痛と障害を扱う。症状、苦痛、治療、セラピーは、本書が繰り返し用いる用語に含まれる。
第9章:How do we influence each other? Social psychology(私たちは互いにどう影響し合うか。社会心理学)
第9章は社会的行動を扱う。同調、服従、偏見、社会的促進は、本書が繰り返し用いる用語に含まれる。
第10章:What is psychology for?(心理学は何のためにあるのか)
最後の章は一歩引いて、心理学の用途を問う。出版社の紹介文は、主要な考え方が、教育や知能から人間関係、感情、広告、犯罪に至るまで日常生活とかかわっていることを強調している。
主要概念
第1〜4章:方法、知覚、記憶、思考
- 心理学の研究:心理学者はどのように心を研究するのか、という第1章の題名にある問い。
- 知覚:感覚情報がどのように解釈されるか。第2章の主題。
- 学習と記憶:第3章の主題。
- 思考・推論・コミュニケーション:蓄えた知識がどう使われるか。第4章の主題。
第5〜8章:動機づけ、発達、個人差、障害
- 動機づけと情動:人がなぜそのように行動するのか(第5章)。
- 発達心理学:人が生涯を通じてどう変化するか(第6章)。
- 個人差:人は分類できるのか、できるならば何を基準にするのか(第7章)。
- 異常心理学:「うまくいかないとき」に何が起こるか(第8章)。
第9〜10章:社会生活と目的
- 社会心理学:人は互いにどう影響し合うか(第9章)。
- 心理学の用途:この学問は何のためにあるのか(第10章)。
批判的分析
長所
- 小さな分量で分野全体を扱う。 148ページで、知覚、学習と記憶、思考、動機づけと情動、発達、個人差、異常心理学、社会心理学に触れており、入門課程全体の輪郭を数回の読書でつかめる。
- 問いに導かれた構成。 章題の多くが問い(「心には何が残るのか」「人を分類できるか」)の形をしており、心理学者が説明しようとしていることを軸に話題が整理されている。
- 脳画像の時代に合わせた更新。 出版社は、第2版で新しい話題と脳を研究する新しい方法、すなわち脳活動の観察と測定が加わったと述べている。
短所
- 短さゆえに深さには限りがある。 148ページに10章では、詳しい実験、理論の比較、統計を扱う余地は小さい。全体像をつかむには向くが、講義用テキストの代わりにはならない。
- 継続的な練習問題は紹介されていない。 出版社の紹介文には演習問題や復習問題が挙げられていない。自己点検をしたい読者は、より大部のテキストと併用する必要がある。
- 神経科学は多くの主題の一つにとどまる。 出版社は脳の観察方法を第2版の追加点として示すが、全分野に10章を配する構成では、神経機構の詳細を求める読者には専門の生物心理学や認知神経科学の本が別に必要になる。
コースにおける位置づけ
このコースの入門心理学の本の中で、最も短い入口にあたる。OpenStax の Psychology 2e は同じ範囲を教科書の分量で扱う無料公開のテキストであり、Myers と DeWall の Psychology、Gleitman、Fridlund、Reisberg の Psychology は総合的な入門教科書である。Butler と McManus の本は、そのいずれかの前、または並行して読む地図として使える。
概観のあとには、心理学がどのような科学かを問い直す Brysbaert と Rastle の Historical and Conceptual Issues in Psychology があり、その問いを哲学へ広げるのが Weiskopf と Adams の An Introduction to the Philosophy of Psychology である。これらは、幅広い入門を終えて学問そのものを検討したい読者の次の一冊であり、この小さな本の代わりになるものではない。
本書の使い方
心理学を学び始める学生や進学予定者、心理学を1科目だけ履修する隣接分野の学生、一般の読者に向く。予備知識は要らない。
おすすめの進め方は次のとおり。
- 最初の通読: 第1章を読み、続いて各テーマの章を順に読む。1章はおよそ15ページなので、1回に1章が現実的で、全体は数晩で読み終えられる。
- 関心に応じて選ぶ: 各テーマの章にはそれぞれ独自の題名と問いがあるため、特定の科目に進む読者は、認知なら第2・3章、社会心理学なら第9章、パーソナリティや臨床なら第7・8章から始めてよい。
- 次の段階: 各章のあと、本格的な入門教科書で同じ話題を探し、定義、研究、復習問題を確認する。次の一歩には本書の文献案内を使う。
- 第10章は最後に: 前の章の内容がどう結びつくかを振り返る短い章で、各話題が頭に新しいうちに読むほうが理解しやすい。
