01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Brysbaert, M., & Rastle, K. (2021). Historical and Conceptual Issues in Psychology (3rd ed.). Pearson.
章の要約
本書は13章と短いエピローグからなり、その後に注、用語集、参考文献、索引が続く。章は三つのまとまりに分かれる。第1–6章は心理学の歴史をたどる。初期の起源から科学革命、18・19世紀の先駆者、学問分野としての確立、行動主義と認知心理学、脳研究までである。第7–8章は心身問題と応用心理学の歴史を扱う。第9–13章は、心理学がどのような科学か、研究方法をどう使うか、社会とどう関わるかを問う。出版社の説明によれば、現代と歴史の幅広い問題、原典からの抜粋、重要人物のプロフィール、古代ギリシャから現代の議論までの例、そして各章の「神話破り」のコラムと討論課題がある。第3版では、再現性の危機とオープンサイエンスの実践についての章が加わった。
第1章:The wider picture. Where did it all start?(より広い見取り図:すべてはどこから始まったのか)
心理学的な問いの起源から始め、古代から現代に至る長い視野を設定する。
第2章:The scientific revolution of the seventeenth century and its aftermath(17世紀の科学革命とその余波)
科学革命を、後の心と方法についての考え方の背景として検討する。
第3章:Eighteenth- and nineteenth-century precursors to a scientific psychology(科学的心理学の18・19世紀の先駆)
心理学が独立した分野になる前に現れた考えと展開。
第4章:Establishing psychology as an independent academic discipline(心理学を独立した学問分野として確立する)
心理学がどのようにして自立した学問分野になったか。
第5章:Strengthening the scientific standing of psychology. Behaviourism and cognitive psychology(心理学の科学的地位の強化:行動主義と認知心理学)
行動主義と認知心理学。題が、心理学の科学的地位を強めた二つの運動として挙げているもの。
第6章:The input from brain research(脳研究からの寄与)
心理学に寄与した脳の研究。
第7章:The mind–brain problem, free will and consciousness(心脳問題、自由意志、意識)
本書で最初に持続的に扱われる概念的な話題で、三つの長年の哲学的問題を、心理学が心について何を言えるかの検討に用いる。
第8章:How did psychology affect everyday life? The history of applied psychology(心理学は日常生活にどう影響したか:応用心理学の歴史)
実験室から実践へと移り、心理学が学界の外でどう応用されてきたかをたどる。
第9–10章:What is science?(科学とは何か);Is psychology a science?(心理学は科学か)
科学哲学の中心部分。第9章は科学とは何かを述べ、第10章はその問いを心理学自身に適用する。
第11章:The contribution of quantitative and qualitative research methods(量的・質的研究方法の寄与)
二つの大きな方法の系統と、それぞれの寄与を比較する。
第12章:The precarious balance between biological, psychological and social influences(生物的・心理的・社会的影響の危うい均衡)
生物的、心理的、社会的な説明水準の間の均衡を検討する。
第13章:Psychology and society. The socio-political side(心理学と社会:社会政治的な側面)
社会政治的な状況の中の心理学を考察する。その後に短いエピローグが続く。
主要概念
第1–8章:歴史
- 科学革命とその余波:知識についての近代的な考え方の17世紀の背景。
- 独立した学問分野:学術分野としての心理学の確立。
- 行動主義と認知心理学:心理学の科学的地位を強めた運動。
- 応用心理学:日常生活における心理学の歴史。
第7章と第9–13章:概念と科学の本質
- 心脳問題、自由意志、意識:心理学的説明の背後にある哲学的問い。
- 科学とは何か:心理学を評価するために用いられる哲学的問い。
- 量的方法と質的方法:二種類の研究とその寄与。
- 生物的・心理的・社会的影響:均衡をとる必要のある説明水準。
- 再現性とオープンサイエンス:第3版で追加された。
批判的分析
長所
- 歴史と概念が一冊に。 目次は、年代順の歴史(第1–8章)と、科学哲学、方法、説明水準についての概念的な章(第9–13章)を組み合わせており、読者は背景と議論を一緒に得られる。
- 一次資料と人物。 出版社は原典からの抜粋と重要人物のプロフィールを挙げており、学生は叙述の背後にある資料と人々に触れられる。
- 能動的学習の工夫。 各章に「神話破り」のコラムと討論課題があり、ゼミやレポートの土台として使える。
- 再現性への対応。 出版社によれば、すべての章が最新の知見を反映し、特に再現性の検証に耐えなかった知見に注意を払っている。第3版には再現性の危機とオープンサイエンスの新しい章がある。
短所
- 広く浅い。 13章が古代哲学から現代の議論に及ぶため、各時代や問題は研究書ではなく一章分の扱いである。一つの出来事を詳しく知りたい読者には、専門的な歴史書や一次資料が必要になる。
- 哲学は入門水準。 概念的な章は心理学の学生向けの科学哲学入門であり、説明や心的表象について専門的な扱いを求める読者には哲学の教科書が必要である。
- 意図は入門。 出版社は本書を魅力的な入門書であり、学部の心理学生にとって必読と説明しており、大学院レベルや専門的な論考ではない。
- 版に依存。 再現性の議論は第3版(2021年)に属し、その後この分野は動いている。
コースにおける位置づけ
入門心理学のリストの中で、本書は幅広い概説書に添える内省的な伴走書である。OpenStaxの Psychology 2e は、歴史と研究法から生物学的基礎、学習、記憶、発達、パーソナリティ、社会的行動、ストレス、障害までを扱う無料の概説、MyersとDeWallの Psychology は研究法と批判的思考を通じて重視する総合的な概説教科書、Gleitman、Fridlund、Reisbergの Psychology は幅広い入門書、ButlerとMcManusの Psychology: A Very Short Introduction は科学としての心理学の簡潔な案内である。これらが心理学者が何を見いだしたかを教えるのに対し、BrysbaertとRastleは、この学問がどこから来て、どのような知識を生み出すのかを問う。したがって、これらのいずれかの後、または並行して読むのがよい。
WeiskopfとAdamsの An Introduction to the Philosophy of Psychology は、心理学的説明とは何か、心理学と神経科学の関係、心はモジュール的か、概念や心的表象とは何かなど、科学的心理学の概念的基礎を検討する。その主題は、BrysbaertとRastleの心脳問題と説明水準の均衡についての章と重なり、概念面をより哲学的に扱いたい読者の自然な次の一歩となる。
本書の使い方
心理学の幅広い入門を終えた学部生と、この学問の歴史と概念的基礎の授業を教える人・受講する人に向いている。出版社は、学部の心理学生にとって必読と述べている。
実際的な読み方は次のとおり。
- 中核: 科学としての心理学の出現とそれを形づくった運動を扱う第4章と第5章、そして中心的な問い、すなわち科学とは何か、心理学は科学かを扱う第9章と第10章。
- 歴史について: 第1–3章は背景として読むか、短い授業では流し読みして、第6章と第8章に時間を使う。
- 概念をめぐる議論について: 第7章(心、自由意志、意識)、続いて方法、説明水準、社会における心理学の位置を扱う第11–13章。
- 学習の補助: 討論課題をレポートやゼミの課題に使い、「神話破り」のコラムを一般的な誤解の点検に使う。原典の抜粋は、以後の議論の一次資料なので、注意深く読む。
