01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Spielman, R. M., Jenkins, W. J., & Lovett, M. D. (2020). Psychology 2e (2nd ed.). OpenStax. Free official edition: https://openstax.org/details/books/psychology-2e
章の要約
第1章:心理学への招待
本書は3つの印象的な事例(新しい記憶を形成できなくなった音楽家、言葉に味を感じる男性、ジョン・ナッシュの統合失調症)から始まり、心理学が問う問いの幅広さを示す。心理学を心と行動の科学的研究と定義し、ヴントの構成主義、ジェームズの機能主義、フロイト、ゲシュタルト心理学、行動主義、人間性心理学、認知革命を経る歴史をたどり(フェミニスト心理学に関するコラムを含む)、続いて生物心理学から司法心理学までの現代の下位分野を概観し、大学内外のキャリアで締めくくる。
第2章:心理学の研究
暴力的なメディアは行動に影響するかという問いから出発し、この章は研究が政策や個人の意思決定にとってなぜ重要かを説明したうえで、事例研究、自然観察、調査、アーカイブ研究、縦断研究と横断研究を比較する。相関係数と、相関が因果ではない理由、錯誤相関と確証バイアス、実験の論理(無作為抽出と無作為割り当て、盲検化、独立変数と従属変数)、査読と追試、そして研究倫理(IRB、インフォームド・コンセント、デブリーフィング、動物研究)を扱う。コラムでは撤回されたワクチンと自閉症の研究や、タスキーギ梅毒研究を取り上げる。
第3章:生物心理学
生物学的な章は、遺伝と進化(遺伝子型と表現型、遺伝と環境の相互作用、エピジェネティクス)から、ニューロンと神経伝達、神経系の区分、脳と脊髄の構造と機能、脳画像法(CT、PET、MRI、fMRI、EEG)、内分泌腺とホルモンへと進む。コラムでは進化心理学と行動遺伝学の違い、神経可塑性、脳死、アナボリックステロイドを扱う。
第4章:意識の状態
意識は主に睡眠を通じて扱われる。概日リズムと睡眠負債、睡眠に関わる脳部位とホルモン、なぜ眠り夢を見るのかに関する理論、ノンレム睡眠とレム睡眠の各段階、睡眠障害(不眠症、睡眠時随伴症、睡眠時無呼吸、乳幼児突然死症候群、ナルコレプシー)である。物質使用に関するかなりの分量の節では、DSM-5の物質使用障害と、抑制薬、興奮薬、オピオイド、幻覚薬の作用を説明し、オピオイド危機や医療用マリファナのコラムを含む。章は催眠と瞑想で終わる。
第5章:感覚と知覚
この章は、感覚(受容器による検出)と知覚(体制化と解釈)を区別し、絶対閾と弁別閾、感覚順応、注意、信号検出を導入する。光波と音波の物理学の後、視覚(眼の解剖、桿体と錐体、色覚の理論、奥行き手がかり)、聴覚(耳の解剖、音の高さ、音源定位、難聴)、化学感覚と身体感覚、知覚のゲシュタルト原理を説明し、ろう文化や知覚における偏見と文化に関するコラムを含む。
第6章:学習
学習は本能や反射と区別され、次に3つの形態に分けられる。古典的条件づけはパヴロフの犬とワトソンのリトル・アルバートを通じて、オペラント条件づけは強化、罰、シェイピング、強化スケジュールに関するスキナーの研究を通じて、観察学習はバンデューラのモデリング研究を通じて説明される。身近な例として、スティングレイ・シティでの条件づけ、広告、子どもの行動変容、建物の中の認知地図が挙げられる。
第7章:思考と知能
認知の章は、概念、プロトタイプ、スキーマ、言語(構成要素、発達、言語と思考の関係。ジーニーの事例を含む)、問題解決の方略、ヒューリスティックとバイアス、知能の理論(スタンバーグの鼎立理論、ガードナーの多重知能、情動知能)と創造性、知能検査の歴史と作成、そして知能の遺伝的・環境的な源、学習障害、知的障害を扱う。
第8章:記憶
記憶は符号化・貯蔵・検索として示され、アトキンソンとシフリンのモデル、作業記憶、長期記憶の種類が紹介される。続いて、関与する脳部位(海馬、扁桃体、小脳)、記憶の問題(健忘、符号化の失敗、シャクターの7つの記憶エラー、干渉、目撃証言の信頼性の低さと偽りの記憶)、記憶と学習を改善するための実践的な方略を検討する。
第9章:生涯発達
この章は発達心理学の領域と論点(連続性、単一の道筋か多様な道筋か、生まれと育ち)と、フロイト、エリクソン、ピアジェ、コールバーグの理論を紹介する。続いて、胎児期から乳児期、児童期(愛着と養育スタイルを含む)、青年期と成人形成期、中年期と老年期までの発達をたどり、死と臨終、ホスピスケア、悲嘆の段階で締めくくる。
第10章:情動と動機づけ
動機づけは、本能、動因低減、覚醒、自己効力感、社会的動機、マズローの欲求階層によって説明される。空腹と摂食(肥満と摂食障害を含む)、性行動(キンゼイ、マスターズとジョンソン、性的指向とジェンダー・アイデンティティ)が詳しい例として扱われる。情動の節は、ジェームズ=ランゲ説、キャノン=バード説、シャクター=シンガー説を比較し、大脳辺縁系の役割を説明し、表情の普遍性と文化的な表示規則を論じる。
第11章:パーソナリティ
パーソナリティは次々と異なる視点から検討される。フロイトの精神力動理論、新フロイト派(アドラー、エリクソン、ユング、ホーナイ)、学習によるアプローチ(スキナー、バンデューラ、ロッター、ミシェル)、人間性アプローチ(マズロー、ロジャーズ)、生物学的アプローチ(双生児研究、気質)、特性論(キャッテル、アイゼンク、ビッグファイブ)、パーソナリティの文化的理解、そしてMMPIや投影法を含むパーソナリティ・アセスメントである。
第12章:社会心理学
偏見と状況の力に関する問いを提起するためにトレイボン・マーティンの死から始まるこの章は、帰属と基本的な帰属の誤り、社会的役割・規範・スクリプト(スタンフォード監獄実験を含む)、態度、認知的不協和、説得、同調(アッシュ)、服従(ミルグラム)、集団思考、偏見と差別、攻撃といじめ、向社会的行動、魅力と愛を扱う。
第13章:産業・組織心理学
この応用的な章は、人事選抜とホーソン研究に始まるこの分野の起源をたどり、職務分析、選抜テストと面接、訓練と人事評価、職務満足、マネジメントとリーダーシップ、組織文化、ハラスメントと職場の暴力、そして人間工学(ヒューマンファクター)心理学と職場設計を扱う。コラムでは足切り点、真正な職業資格(BFOQ)、世代間の違いを取り上げる。
第14章:ストレス、ライフスタイル、健康
ストレスは評価と反応の過程として定義され、キャノンの闘争・逃走反応とセリエの汎適応症候群が紹介される。章は、ストレッサー(社会的再適応評価尺度で測る生活上の変化、日常の煩わしさ、職務ストレインと燃え尽き)、ストレスと免疫系・心血管疾患・喘息・頭痛との関連、コーピングと統制感、そして最後に幸福とポジティブ心理学を検討する。
第15章:心理障害
障害をどう定義するか(有害な機能不全、APAの定義)とDSM-5について論じた後、章は超自然的、生物学的、心理学的、素因ストレスの各視点を比較する。続いて、不安症、強迫症および関連症、PTSD、気分障害と自殺、統合失調症、解離症、ADHDと自閉スペクトラム症、パーソナリティ障害を概観し、それぞれの症状、有病率、寄与因子を説明する。
第16章:治療
最終章は、精神保健の治療の歴史を、収容施設から脱施設化、現在のサービスまで振り返り、心理療法(精神分析、遊戯療法、行動療法、認知療法と認知行動療法、人間性療法)と生物医学的治療を説明する。個人療法、集団療法、カップル療法、家族療法といった形態、物質関連障害と嗜癖性障害の治療、そして少数民族にとっての受診の障壁を含む社会文化モデルを扱う。
主要概念
第1章:心理学への招待
- 心理学:心と行動の科学的研究。
- 学派:構成主義、機能主義、精神分析、ゲシュタルト、行動主義、人間性心理学、認知心理学という、相次いで現れた枠組み。
第2章:心理学の研究
- 相関と因果:相関係数は関係の方向と強さを示すが、原因を確定することはできない。
- 実験:実験群と統制群への無作為割り当てにより、従属変数の変化を独立変数に帰することができる。
- インフォームド・コンセントとデブリーフィング:人間を対象とする研究に求められる倫理的要件。
第3章:生物心理学
- 遺伝と環境の相互作用:形質の発現は遺伝子と環境の両方に依存する。
- 活動電位と神経伝達物質:軸索に沿った全か無かの信号と、それをシナプスを越えて伝える化学物質。薬物は作動薬または拮抗薬として作用する。
- 内分泌系:ホルモンを分泌する腺の系で、視床下部と下垂体が神経系と結びつける。
第4章:意識の状態
- 概日リズム:視交叉上核が支配する約24時間の生物学的周期。
- レム睡眠とノンレム睡眠:脳波のパターンで区別される睡眠段階で、学習と記憶に関わる。
- 物質使用障害:DSM-5の定義による、否定的な結果にもかかわらず続く強迫的な薬物使用のパターン。
第5章:感覚と知覚
- 絶対閾と弁別閾:約半分の確率で検出される最小の刺激、あるいは刺激の最小の変化。
- 三色説と反対色過程説:色覚についての相補的な説明。
- ゲシュタルト原理:図と地、近接、類同など、感覚情報をまとまりとして体制化する規則。
第6章:学習
- 古典的条件づけ:中性刺激を、すでに反応を引き起こす刺激と結びつけて学習すること。
- オペラント条件づけ:結果から学ぶことで、強化は行動を増やし、罰は行動を減らす。
- 観察学習:注意、保持、再生、動機づけを通じて、モデルを見ることで学ぶこと。
第7章:思考と知能
- スキーマ:思考と行動を導く、関連する概念の体制化されたまとまり。
- ヒューリスティック:問題解決のための心的な近道で、バイアスを生むことがある。
- 知能の理論:知能を一般的、鼎立的、多重的、情動的なものとみなす競合する見方。
第8章:記憶
- アトキンソン=シフリンのモデル:注意とリハーサルで結ばれた感覚記憶・短期記憶・長期記憶の貯蔵庫。
- 干渉:忘却の原因としての順向干渉と逆向干渉。
- 再構成的記憶:記憶は出来事の後で変わりうるため、目撃証言は誤りやすい。
第9章:生涯発達
- 発達の領域:生涯にわたる身体的・認知的・心理社会的変化。
- 段階理論:ピアジェの認知発達段階、エリクソンの心理社会的段階、コールバーグの道徳性の段階。
- 愛着:その後の発達を形づくる、養育者との初期の絆。
第10章:情動と動機づけ
- 内発的動機づけと外発的動機づけ:内的な満足による行動と、外的な報酬による行動。
- 欲求階層:生理的欲求から自己実現に至るマズローの動機の序列。
- 情動の理論:覚醒と評価がどのように情動を生むかについての、ジェームズ=ランゲ説、キャノン=バード説、二要因説。
第11章:パーソナリティ
- エス、自我、超自我:フロイトのいうパーソナリティの3つの構成要素。
- 相互決定主義:人、行動、環境が互いに影響し合うというバンデューラの考え。
- ビッグファイブ:開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症傾向。
第12章:社会心理学
- 基本的な帰属の誤り:他者の行動について、気質的な原因を過大評価し状況的な原因を過小評価すること。
- 認知的不協和:矛盾する考えと行動から生じる緊張で、態度変化を動機づける。
- 同調と服従:集団の圧力や権威に従うことで、アッシュとミルグラムの研究で示された。
第13章:産業・組織心理学
- 職務分析:選抜と訓練の基礎として、職務に必要な課題と能力を明らかにすること。
- 職務満足:仕事に対する労働者の態度で、その原因と結果とともに研究される。
- ヒューマンファクター心理学:人間の能力に合わせて道具や環境を設計すること。
第14章:ストレス、ライフスタイル、健康
- 汎適応症候群:警告反応、抵抗、疲憊というセリエの段階。
- 心身症(精神生理学的障害):ストレスや情動によって引き起こされたり悪化したりする身体疾患。
- 問題焦点型と情動焦点型のコーピング:ストレッサーそのものに対処するか、自分の情動反応を調整するか。
第15章:心理障害
- 有害な機能不全:障害とは、害をもたらす内的な仕組みの機能不全であるという見方。
- DSM-5:心理障害の診断に用いられる分類体系。
- 素因ストレスモデル:根底にある脆弱性がストレスの多い出来事と出会うときに障害が生じるという考え。
第16章:治療
- 脱施設化:収容施設を閉鎖し、地域に根ざしたケアへ移行すること。
- 認知行動療法:ゆがんだ思考と自滅的な行動を変えることを目指す治療。
- 社会文化モデル:治療の提供にあたって文化、民族、アクセスを考慮すること。
批判的分析
長所
- 幅広く標準的な内容。 16の章は、歴史と方法論から、生物学、認知、発達を経て、社会・応用・臨床心理学へと至る入門講義の標準的な順序に沿っているため、シラバスを組み替えずに市販の入門教科書の代わりに使える。産業・組織心理学に関する第13章は、多くの入門書が簡単にしか扱わない内容である。
- 追試と多様性への配慮。 序文は、研究の再現性と妥当性に関する記述を追加し(このテーマは第2章で導入される)、用語、引用、例について正式な多様性レビューを行ったと述べている。フェミニスト心理学、ろう文化、差別とストレス、精神保健ケアへの障壁に関するコラムはそれを反映している。
- 興味を引くコラム。 各章には「Everyday Connection」「What Do You Think?」「Dig Deeper」「Connect the Concepts」のコラムと、頻繁な「Link to Learning」の動画や対話型教材が組み合わされている。章冒頭の事例(クライヴ・ウェアリング、トレイボン・マーティン、ワシントン海軍工廠の銃撃事件)が抽象的な内容をつなぎとめる。
- 一貫した学習の仕組み。 各節は学習目標で始まり、各章は重要用語、節ごとの要約、復習問題、批判的思考の問題、個人的応用の問題で終わる。臨床の章では一貫してDSM-5が用いられている。
短所
- 概説の深さ。 神経伝達、知能の理論、主要な障害など多くの話題が数段落で扱われており、メカニズムや対立する証拠を知りたい学生には、より詳しい教科書が必要になる。
- 米国中心の例と制度。 法的事例、統計、医療や教育の例の多くは米国から取られている。
- 理論の扱いのむら。 精神分析と新フロイト派の理論はパーソナリティと治療の両章で多くの紙幅を割かれる一方、認知神経科学や比較文化研究といった話題はより簡潔に現れる。
- 独習者向けの解答は限られる。 序文によれば、復習問題と批判的思考の問題の完全な解答は教員用ソリューションガイドにあり、学生用ガイドには一部の解答しかない。
コースにおける位置づけ
『Psychology 2e』は、1学期の心理学入門のための無料の中心的教科書である。バトラーとマクマナスの『Psychology: A Very Short Introduction』ははるかに短い概説で、方向づけのために事前に読むことができる。グライトマン、フリドランド、ライスバーグの教科書と、マイヤーズ、デウォール、グルーバーの教科書は、一般により深く踏み込む包括的な市販の入門書であり、学生は特定の章をより詳しく学ぶために、本書と並行して、あるいはその後に利用できる。
挙げられている他の2冊、ワイスコフとアダムズの『An Introduction to the Philosophy of Psychology』とブリスバートとラストルの『Historical and Conceptual Issues in Psychology』は、概念的な基礎と歴史を扱う。『Psychology 2e』の第1章と第2章(学派の歴史、研究と追試の論理)は、それらの本が前提とする事実的な背景を与えるので、これらは入門コースを終えた後に読むのが最もよい。
本書の使い方
本書は1学期の心理学入門の授業向けに作られており、心理学の予備知識を前提としない。中等教育程度の読解力と基礎的な計算力があれば十分で、後で使われるわずかな統計の考え方は第2章で導入される。
研究法と学問の歴史が他のすべての枠組みとなるので、まず第1章と第2章を読むとよい。第3〜8章(生物学的・認知的な基礎)は順に読むのが望ましく、第9〜16章は授業に合わせてどの順でもよい。序文も、教員が章を選んで並べ替えることを勧めている。各節ではまず学習目標を確認し、各章の終わりには要約で復習し、復習問題に答え、批判的思考と個人的応用の問題を記述練習として取り組むとよい。非注意性盲目のデモ、条件づけの動画、オンラインの尺度などは「Link to Learning」からたどれる。本書はウェブ版とPDFで無料で利用でき、安価な印刷版もある。
版と出典
本ガイドは『Psychology 2e』(OpenStax、初版刊行2020年)に基づいており、OpenStaxの書籍ページ https://openstax.org/details/books/psychology-2e からダウンロードした公式の無料PDF(現行の印刷版、カラーペーパーバックのISBN 978-1-975076-45-0)を用いた。序文(範囲、第2版での変更点、コラムの種類、解答の方針、著者)、目次全体、そして全16章について、各章の序論、すべての節見出しとその学習目標、すべてのコラムの題名、各節の章末要約、重要用語のリストを参照した。
