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An Introduction to Work and Organizational Psychology: An International Perspective(産業・組織心理学入門:国際的視点から) cover

心理学

心理学

An Introduction to Work and Organizational Psychology: An International Perspective(産業・組織心理学入門:国際的視点から)

Nik Chmiel; Franco Fraccaroli; Magnus Sverke

英語原題: An Introduction to Work and Organizational Psychology: An International Perspective

ヨーロッパをはじめとする各国の研究者が産業・組織心理学の主要テーマを解説する、編著形式の入門教科書。各章は「なぜこの仕事はストレスが多いのか」「誰がリーダーかは重要か」など、従業員や管理職が抱く実践的な問いを出発点に、それに答える研究上の証拠と理論を示す。

前提知識: 心理学入門の授業を受けていると役立つが、必須ではない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
work psychologyorganizational psychologyoccupational healthpersonnel selectionleadership教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Chmiel, N., Fraccaroli, F., & Sverke, M. (Eds.). (2017). An Introduction to Work and Organizational Psychology: An International Perspective (3rd ed.). Wiley-Blackwell.

章の要約

約560ページの編著書で、Wilmar Schaufeli による序文、編者による序論、異なる著者による30の章、索引から成る。各章の題名は、従業員や管理者が尋ねそうな問いの形をしている。目次は第1~24章を三つの部(仕事中心、組織中心、人中心)に分け、続く第4部「組織への助言」は5つのケーススタディで終わる。Wiley の説明は「六部構成」と述べており、部の数は二つの箇所で異なって書かれている。第1章の見本からは章の形式が分かる。概観、番号付きの節、要約、討論の論点、推薦文献、オンライン資料である。以下の記述は公表されている目次とこの見本に基づき、題名から離れないようにしている。

第1部 第1~4章:仕事中心(仕事の内容と設計)

第1章「人は仕事で本当は何をしているのか? 職務分析と職務設計」は、職務分析を紹介し、作業志向と作業者志向の分析を区別し、データ収集の方法と訓練ニーズ分析での使い方を述べ、現代的な代替としてコンピテンシー・プロファイリングと仕事分析で終わる。第2~4章は「どうすれば仕事に就けるのか、相手は何を求めているのか? 人事選抜とアセスメント」「どうすれば仕事を自分に合うように形づくれるか? 持続可能な従業員と組織のためのジョブ・クラフティング」「自分の仕事で何をすべきか? 目標を設定し部下を評価する」で、選抜、従業員自身による職務の再設計、目標設定と評価を扱う。

第1部 第5~8章:ストレス、技術、キャリア

第5章「なぜ自分の仕事はこんなにストレスが多いのか? 職場ストレスの特徴、過程、モデル」は職務ストレスを扱う。第6章と第7章は技術を取り上げる。「職場のデジタル技術はすばらしいのでは? 情報通信技術(ICT)の発展と仕事の世界での関連性」「技術は本当は誰の味方か? 仕事と技術の相互依存について」である。第8章「なぜあのキャリアを選んだのか? 職業選択へのアプローチと自らキャリアを管理する準備性」がこの部を締めくくる。

第2部 第9~12章:新規参入、パワー、リーダーシップ、チーム

「新しい人をどう『仲間に入れる』か? 組織社会化、心理的契約、現実的職務予告」「パワーはそれを持つ者と持たない者にどう影響するか? 組織内のパワー」「誰が私たちを導くかは重要か? 組織リーダーシップの研究」「なぜ私たちはチームにいるのか? チームワークの効果とチーム有効性を高める方法」。

第2部 第13~16章:変化、非標準的就労、公正、健康な職場

「組織が変わるとき私たちはどう反応するか? 従業員による変化の評価、結果、緩和要因の視点」「正規のフルタイム従業員でないとき、私たちはどう感じ、どう行動するか? 多様な非標準的就労の事例」「なぜ組織は従業員を公正に扱うべきか? 職場の公正の定義、意義、帰結」「組織はウェルビーイングのために何をしているか? 健康な職場と労働者をつくる」。

第3部 第17~20章:パーソナリティ、訓練、動機づけ、コンピュータ技術

「私たちが誰であるかは重要か? 職場のパーソナリティ」「何をすべきかをどう学ぶか? 訓練の科学が学習を支える仕組み」「仕事にどれだけの努力を注ぐか? 動機づけの種類による」「コンピュータ技術にどう対処するか? 労働者にとっての技術の費用対効果」。

第3部 第21~24章:安全、コミットメント、ワーク・ライフ・バランス、加齢

「なぜ自分と他人を危険にさらし、あるいは安全を高めるのか? 安全行動の人・状況に関する原因」「幸せで組織にコミットした労働者かどうかは重要か? 同一化、コミットメント、職務満足が従業員行動に果たす役割」「仕事は私の生活とどう両立するか? 柔軟な働き方、ワーク・ライフ・バランス、仕事からの回復」「年を取ると何が起こるか? 高齢労働者、キャリア後期、退職への移行」。

第4部 第25章とケーススタディ(第26~30章):組織への助言

第25章「組織とどう協働するか?」が実務家向けの章である。5つのケーススタディは、「大手鉄道会社におけるウェルビーイング向上への戦略的アプローチ」「屈辱:なぜ職場で敬意を受けるに値するのか」「組織主導のウェルビーイング施策によるレジリエンス開発」「ポジティブ・アクション:上層部の多様性を実効的に高める」「エイジ・マネジメント」である。

主要概念

第1部

  • 職務分析:作業志向と作業者志向(後者は知識、技能、能力、その他の特性で記述される)の形をとる、職務の体系的研究。
  • コンピテンシー・プロファイリング:従来の職務分析に代わる、より柔軟な方法。
  • ジョブ・クラフティング、ストレス、キャリアの自己管理:第3、5、8章の、従業員側の話題。

第2~4部

  • 社会化と心理的契約:新規参入者を組織に迎え入れる仕組み。
  • 組織的公正、パワー、リーダーシップ:組織中心の章の中核テーマ。
  • ワーク・ライフ・バランスと回復:第23章の関心事。
  • 安全行動:人と状況に関する原因。
  • 組織への助言:第25章の主題で、ケーススタディで例示される。

批判的分析

長所

  • 問いから始まる章。 各題名は実際的な問いを掲げており、第1章の見本は概観で始まり、章末に要約と討論の論点が置かれているので、学生が研究に入りやすい。
  • 国際的で複数の著者による。 副題と Wiley の説明は国際的視点を強調している。編者3人は英国、イタリア、スウェーデンで働いており、第4部のケーススタディは実務に基づく。
  • 広く明快な構成。 4つの部と30章が、選抜、ストレス、リーダーシップ、チーム、変化、公正、安全、ウェルビーイング、加齢をカバーし、Wiley は仕事・組織・人を軸とする新しい構成を第3版の目玉として示している。

短所

  • 編著書ゆえの深さのばらつき。 約530ページに30章なので、主要な章はそれぞれ15~25ページほど(第1章は22ページ)、ケーススタディは7~8ページほどである。ひとつの話題を深く知りたい読者は推薦文献に頼る必要がある。
  • 一貫した物語がない。 章ごとに著者が異なるため、理論が積み上がる構成ではなく、部をまたいだ順序に従う必要もない。

コースにおける位置づけ

欧州や国際的な視点で分野を一冊で概観したい学生にとって、組織心理学の書籍の中で最も幅広い入門の選択肢である。Furnham の The Psychology of Behaviour at Work と Spector の Industrial and Organisational Psychology: Research and Practice は、同様の領域を一人の著者の一貫した語りで扱う教科書であり、OpenStax の Organizational Behavior は無料の入門書である。

個別の主題を深めるには、Haslam の The New Psychology of Leadership と Psychology in Organisations がアイデンティティに基づく見方を展開し、Dawson と Andriopoulos の Managing Change, Creativity and Innovation と Hayes の The Theory and Practice of Change Management は第13章の変化の話題を広げる。Schein、Weick、Morgan の本は、個人中心の教科書にはない組織理論を提供する。

本書の使い方

出版社は、この分野の予備知識のない学部生・大学院生向けの完全な入門書として提示している。心理学入門を履修していると役立つが必須ではない。仕事・組織心理学の最初の授業の教科書として適している。

実践的な進め方としては、編者の序論と第1章を読んで形式をつかみ、その後は関心に従って選ぶ。各部は独立して読める。選抜中心の授業なら第1、2、4、17章、ウェルビーイング中心なら第5、16、21、23章と第4部のケーススタディ、リーダーシップと変化なら第11~13章を使う。各章の討論の論点と推薦文献をさらに深めるための道として使い、巻末のケーススタディで研究がどう応用されるかを確かめるとよい。