01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Homer. (2003). The Odyssey (E. V. Rieu, Trans.; D. C. H. Rieu, Rev.). Penguin Classics.
章の要約
版と作品
このペンギン・クラシックスのペーパーバック(2003年、約416ページ)は、E. V. リューによる『オデュッセイア』の散文訳を、息子のD. C. H. リューが改訂したもので、ピーター・V・ジョーンズの序論がつく。リューの訳は1946年にペンギン・クラシックス叢書の最初の一冊として世に出た。この版には改訂者の序文、文献一覧、索引が含まれる。詩は全24巻で、四つの部分に分かれる。オデュッセウスの息子テレマコスの物語(第1〜4巻)、オデュッセウスがカリュプソのもとを去りパイアケス人のもとに滞在する部分(第5〜8巻)、オデュッセウス自身による放浪の物語(第9〜12巻)、そしてイタケへの帰還と復讐(第13〜24巻)である。
第1〜4巻:テレマコス
神々が会議を開き、アテナがイタケを訪れて、不在の父の家を食いつぶす求婚者たちに対してテレマコスを奮い立たせる。集会で退けられたのち、彼はネストルに消息を尋ねるためピュロスへ、さらにスパルタへ船出し、そこでメネラオスとヘレネーがそれぞれの物語を語る。一方、求婚者たちは帰路の彼を待ち伏せる策を練る。
第5〜8巻:カリュプソとパイアケス人
ヘルメスの伝言を受けて、カリュプソはオデュッセウスに筏を造らせる。彼はポセイドンに難破させられ、スケリア島に打ち上げられ、王女ナウシカアに見つけられる。彼は父王アルキノオスの宮殿に迎えられ、宴、競技、吟遊詩人の歌が続く。
第9〜12巻:放浪
オデュッセウスは名を明かし、航海の物語を語る。キコネス人、ロートパゴイ、キュクロープスのポリュペモス(第9巻)、アイオロス、ライストリュゴネス人、キルケー(第10巻)、死者の国への訪問(第11巻)、セイレーン、スキュラとカリュブディス、太陽神の牛(第12巻)と続き、その後、彼ひとりが生き残る。
第13〜16巻:イタケへの帰還
パイアケス人は眠ったままのオデュッセウスを故郷へ送り届ける。アテナによって乞食の姿に変えられた彼は、豚飼いエウマイオスの小屋へ向かう。テレマコスがスパルタから戻り、第16巻で父と子が互いに気づく。
第17〜20巻:自分の家で
オデュッセウスは乞食として自分の家に入る。老いた犬アルゴスは彼を知り、彼は求婚者たちに侮辱され、ペネロペイアと話す。老いた乳母エウリュクレイアは彼の脚の傷跡で彼だと気づく(第19巻)。第20巻の前兆は、求婚者たちの破滅を指し示している。
第21〜22巻:弓と求婚者の殺戮
ペネロペイアは弓と斧の試技を課す。弓を引けるのはオデュッセウスだけで、彼はその弓を求婚者たちに向ける。第22巻は求婚者たちの殺戮で、そのあと、不品行を働いた侍女たちが広間を掃除させられ、絞首される。
第23〜24巻:認知と収拾
ペネロペイアはついに、その見知らぬ男が夫だと認める。第24巻では、求婚者たちの亡霊が冥界に着き、オデュッセウスは父ラーエルテースを訪ね、死んだ求婚者たちの家族が戦いに出てくると、アテナが和平をもたらす。
主要概念
第1〜12巻
- 帰郷:オデュッセウスが、自分の不在中に変わってしまった家と王国に戻ることが、詩の主筋である。
- もてなし:歓待と贈り物、あるいはその侵害が、パイアケス人やメネラオスを、キュクロープスや求婚者たちから分ける。
- 知略と物語:オデュッセウスは機転で生き延び、第9〜12巻では自らの物語を語ることでも生き延びる。
第13〜24巻
- 変装と認知:オデュッセウスは、息子、乳母、召使い、最後に妻へと、段階を踏んで正体を明かす。
- 危機にある家:求婚者たちがもてなしを悪用するため、後半はオデュッセウスの家における忠誠の試練となる。
- 神の支え:アテナは終始オデュッセウスとテレマコスを助け、詩の最後には和平を課して終わらせる。
批判的分析
長所
- 物語のように読める散文。 この訳は、なめらかで独創的な散文として評価されてきた。また、一般の読者向けに読みやすい古典訳を出すというペンギンの企画の先頭に立った。
- 訳者の息子による改訂。 D. C. H. リューの改訂は、1946年の原訳の特異な選択のいくつかを改めた。
- 序論と文献。 ピーター・V・ジョーンズの序論、文献一覧、索引があり、初めて読む人が見当をつけるのに役立つ。
- 扱いやすい長さ。 約416ページで、詩全体が一冊のコンパクトな本に収まる。
短所
- 自由な訳。 E. V. リューは意訳の原則で訳した。「バラ色の指のエーオース」を「バラを東に示す優しい暁」と訳し、ホメロスの名もなき神々を落とすこともあった。そのため、ホメロスの繰り返される形容辞や定型句を調べる手引きとしては向かない。
- 韻文ではない。 ギリシア語のリズムと行が失われているので、韻文版がほしい人は、韻文訳と並べて読むべきである。
- 20世紀半ばの文体。 訳は1946年のもので、原訳は当時の口語を使っていた(たとえば「会議は散会した」)。改訂でその一部は改められたが、読者はその時代の英語の語り口を予想しておくとよい。
コースにおける位置づけ
古典文学のコースで、本書は、ペンギン・クラシックス叢書が一般読者のために作ったホメロス第二の叙事詩の散文訳である。一人の英雄の旅と帰還を通して語られる物語である。リストにある『イリアス』(エミリー・ウィルソンの韻文訳)は伝統の中で最初に来る詩であり、多くの読者はそちらを先に読む。ウィルソンは『オデュッセイア』も韻文で訳しており、冒頭の行や形容辞を訳者がどう扱うかを学ぶ人には有益な比較対象になる。ウェルギリウスの『アエネーイス』(フィッツジェラルド訳)は、海を行く旅人を追う前半で『オデュッセイア』を響かせている。背景知識のためには、ラザフォードとアランの短い概説と、より長いレスキーのギリシア文学史が参考になる。
本書の使い方
ギリシア語は不要で、散文なのでホメロスの最初の読書に向いている。まず序論を読み、それから巻を順に読む。時間が限られているなら、イタケの状況を知るために第1巻、カリュプソとパイアケスの第5〜8巻、放浪の第9〜12巻、最初の認知の第16巻、物語の結末の第19、21、22、23巻を読む。第2〜4巻と第14〜18巻は奥行きを与えるが、後から読んでもよい。
オデュッセウスに気づく人々と、その気づき方の一覧を作り、異なる主人たちの彼の迎え方を比べるとよい。コースで『イリアス』も読むなら、両方の詩に出てくる人物を追うこと。また、一つの箇所を韻文訳と比べて、リューの散文が何を加え、何を落としているかを見るとよい。
