01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Rutherford, R. (2005). Classical Literature: A Concise History. Blackwell Publishing.
章の要約
Blackwell Introductions to the Classical Worldシリーズの一冊である本書は、ホメロス(紀元前700年頃)からアウグスティヌス(紀元後410年頃)までのギリシア・ローマ文学を約350ページで概観する。序論の後に9章が続き、各章は時代ではなくジャンルや文学の領域ごとにあてられている。Bryn Mawr Classical Review誌(2005年)のCarol Hardingの書評によれば、各章の中ではおおむね年代順にギリシアの作家からローマの作家へと進み、章どうしの相互参照も多い。引用は英語である。巻頭に地図があり、巻末には四つの付録(長めの四つの文章の翻訳、年表、ローマ皇帝一覧、ギリシア・ローマの主な神々)、注、章ごとの読書案内、索引がある。Hardingによれば、序文は大学生だけでなく一般読者にも呼びかけている。
序論
約18ページの序論。出版社によれば、ジャンル別の章に入る前に必要な基礎知識を簡潔に示す。
第1章:叙事詩
Hardingは叙事詩の扱いをおおむね予想どおりと評している。ジャンルについての短い議論の後、ホメロスとヘシオドス、ウェルギリウスのアエネーイスを扱い、エピュリオン(小叙事詩)、アポロニオス、ルカヌス、スタティウスにも短く触れる。
第2章:演劇
悲劇、喜劇、サテュロス劇、そしてそれらのローマでの翻案。章の最後の部分ではWebsterのThe Duchess of Malfiに言及しており、Hardingはこれを多くの学生には通じないかもしれない言及の例として挙げている。
第3章:弁論術
弁論の実践と理論の両方を扱い、叙事詩や演劇における弁論技法を、ゴルギアス、デモステネス、キケロなどの弁論家・理論家とあわせて論じる。
第4章:歴史、伝記、フィクション
最も長い章(約40ページ)。ヘロドトス、トゥキュディデス、リウィウス、タキトゥス、プルタルコスにおける歴史叙述の文体(演説と対話、素材の選択、視点)に焦点を当て、歴史から古代小説へと進む。小説はロンゴスとペトロニウスに代表される。
第5章:恋愛文学
エレゲイア(エレジー)、恋愛をめぐる対話篇、その他の抒情詩の形式を扱う、ジャンル横断的な章。
第6章:文学と権力
「宮廷」詩を含む、政治と結びついた文学。Hardingによれば、この章は小さなジャンルや作家をよく知られたものと並べて位置づけ、ローマのパトロン制度と、帝政下での言論の自由の縮小を説明している。
第7章:機知の諸相
パロディ、エピグラム、風刺、言葉遊び。作家がとる構えや、教養ある聴衆と共有していた文化的前提にも目を向ける。
第8〜9章:思想家たち、信仰者たち
最後の2章は、哲学的・宗教的な著作を文学として考察する。プラトンの対話篇、エピクロス派の哲学を歌ったルクレティウスの詩、神話、そしてキリスト教の弁論である。Hardingによれば、ウェルギリウスの農耕詩、ホラティウスの歌章と書簡詩、ホメロス風讃歌もここで論じられる。
主要概念
序論と第1〜4章
- ジャンル別の文学史:時代ではなく書き物の種類によって概観を構成し、ギリシア文学とローマ文学を通じた連続性を浮かび上がらせる方法。
- 叙事詩とエピュリオン:長い英雄物語詩と、その短く学識的な対応物。
- 弁論術:説得的な言論の技術。実践と理論の両面から扱われ、他のジャンルの中にもたどられる。
- 歴史叙述と小説:歴史を書くことと、それと古代の散文フィクションとの関係。
第5〜9章
- エレゲイア:個人的・恋愛的な詩で、第5章で扱われる形式の一つ。
- パトロン制度:ローマ文学を形づくった、詩人と有力な庇護者との関係。
- 風刺とエピグラム:文学的な機知の形式。
- 文学としての哲学と宗教:思想家やキリスト教著作家の作品の文学的形式と影響。
批判的分析
長所
- 連続性を示す構成。 Hardingはジャンル別の構成を珍しく、非常に効果的だと評している。各章はジャンルの約束事、文体、展開に焦点を絞って論じ、出版社が述べるように、読者はギリシアとローマの世界を容易に行き来できる。
- バランスがよく批評に自覚的な議論。 Hardingによれば、Rutherfordは対立する批評的見解を示し、その一部にははっきり異を唱えながらも両方の側を提示し、作品の読まれ方を大きく変えた批評家の功績を認めている。
- 煩雑さのない引用。 Hardingは、本書が過剰な注を避けつつ、論じられる技法を示すのに十分な原典の英訳を引用しており、標準的な入門的概説書より生き生きとした文体だと評している。各章に読書案内もある。
- 授業での実績。 Bryn Mawr Classical Review誌(2014年)でWilliam AllanのClassical Literature: A Very Short Introductionを書評したVincent Huninkは、自分の学科が長年Rutherfordを、ギリシア・ローマ文学の初学者、とくに古典学以外の学生のための有用で信頼できる手引きとして使ってきたと述べている。
短所
- 「簡潔な」歴史にしては長い。 Huninkは、約350ページの本書は多くの学生にとって負担が大きく、もっと薄い本を好むだろうと指摘している。
- 前提とされる文学的知識。 Hardingが唯一挙げる留保は、Rutherfordが時に大半の学生が持つ以上の一般的な文学的知識を前提としている点である。
- 歴史的背景の本ではない。 Hardingが指摘するとおり、本書は意図的に歴史の講義を避けており、年表は基本的な概略を示すだけである。古代に初めて触れる読者には、別に歴史の入門書が必要である。
- 刊行年。 本書は2004〜05年の刊行で、それ以降の研究は扱われていない。
コースにおける位置づけ
Rutherfordは、このコースにおける中心的な概説の教科書である。William AllanのClassical Literature: A Very Short Introductionは約125ページで似たようなジャンル別の筋道をたどり、最初の手ほどきや手早い復習に向いている。両者を比較したHuninkは、Allanの本はキリスト教文献、紀元後200年以降のほとんどの著作、哲学的散文を省いているため、Rutherfordのような大きな教科書に代わるものではなく、それに添える本だと見ている。Rutherfordはこれらすべてを扱っている。
一つの言語について深く学ぶには、Albin LeskyのA History of Greek Literatureがギリシア文学の包括的な学術的歴史であり、Gian Biagio ConteのLatin Literature: A Historyは時代と作家ごとに構成されたそのラテン文学版である。どちらも、特定の作家や時代についてより詳しく知る必要が生じたときに、Rutherfordの後で参照する参考書である。このコースのイリアス、オデュッセイア、アエネーイスの翻訳は、Rutherfordの叙事詩の章が紹介する一次文献であり、その章はそれらの前か、並行して読むとよい。
本書の使い方
本書は、古典学、古典文明、比較文学を学び始める学生、古代文学の授業を受ける他分野の学生、そして一般読者に向いている。引用はすべて英語なので、ギリシア語やラテン語の知識は要らない。
読み進め方の例:
- まず序論を読み、次に第1〜2章(叙事詩と演劇)を読む。多くの授業で最初に読む作品を扱っている。
- 第3〜4章は一緒に読む: 弁論術と歴史は演説や視点といった技法を共有しており、第4章は小説も紹介する。
- 第5〜9章はシラバスに合わせて任意の順序で読める。 章どうしの相互参照は、複数のジャンルに登場する作家を探すのに役立つ。
- 巻末資料を積極的に使う: 年表と皇帝一覧は作家を時代の中に位置づけるのに、翻訳された文章の付録は精読に、読書案内はレポートに使える。
各章は、そこで論じられる一次作品の少なくとも一つを翻訳で読みながら読むとよい。本書は歴史の叙述を提供しないので、ギリシア・ローマの短い歴史書を手元に置いておくとよい。復習には、ジャンル別の章を使って、パトロン制度や機知といった一つのテーマをギリシア文学とローマ文学の両方にわたってたどるとよい。
