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Paradise Lost(失楽園) cover

文学

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Paradise Lost(失楽園)

John Milton; Gordon Teskey (editor)

英語原題: Paradise Lost

天使と人類の堕落を歌うミルトンの叙事詩のノートン・クリティカル・エディションです。1674年版を現代綴りに改めた本文に、ゴードン・テスキーによる序論と注釈、典拠・背景資料、初期の反応から近年の研究までを選んだ批評集、人名用語集を収録しています。

前提知識: 韻文を精読した経験があると取り組みやすくなります。聖書や古典への言及は注で説明されています。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
epic poetrybritish literatureseventeenth centurymiltoncritical editionprimary text

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Milton, J. (2020). Paradise Lost (G. Teskey, Ed.; 2nd ed.; Norton Critical Edition). W. W. Norton & Company.

章の要約

序論と本文

第2版は、両版の序文と、ゴードン・テスキーによる二部構成の序論「The Life of John Milton」「On the Text of Paradise Lost」(xix〜xxxivページ)で始まる。詩そのものは3ページから約310ページまで続く。まずミルトン自身の前置き「The Verse」があり、その後に全12巻が置かれる。この版は1674年版の本文を底本とし、初版と写字生による写本からの訂正を加え、綴りと句読点は学生向けに現代化されている。本文には説明的な注が付く。本書全体は約620ページで、詩は約半分を占める。

第1〜2巻:地獄

詩は、最初の不服従とエデンの喪失という主題を告げ、詩神に呼びかける。サタンと他の反逆天使たちは、敗北の後で地獄に横たわっている。サタンは彼らを奮い立たせ、彼らは宮殿パンデモニウムを築く。第2巻では堕天使たちが次の策を評議し、サタンは新しく造られた世界へひとりで旅することを引き受ける。地獄の門で彼は「罪」と「死」に出会い、カオスを横切る。

第3巻:天国

光への呼びかけから天国の場面に入る。神は人類の堕落を予見し、御子はその贖いのために自らを差し出す。サタンは太陽に着き、変装して一人の天使を欺き、地上への道を聞き出す。

第4巻:エデン

サタンは楽園に入り、アダムとイヴを見る。巻は園と二人の暮らしを描く。サタンは二人に与えられた唯一の戒めを立ち聞きし、イヴの耳もとにいるところを守護天使たちに見つけられ、立ち去らされる。

第5〜6巻:ラファエルと天の戦い

ラファエルはアダムに警告するために遣わされ、アダムとイヴは彼をもてなす。第5巻でラファエルは、サタンがいかに叛逆したかを語り始め、アブディエルがただひとりサタンに立ち向かう。第6巻で彼は天の戦いを語り、御子が叛逆者たちに勝利して終わる。

第7〜8巻:創造とアダムの問い

ラファエルは6日間での世界の創造を述べる(第7巻)。第8巻でアダムは天界について問い、自分の創造とイヴを初めて見た時のことを語り、ラファエルは情熱について彼に注意する。

第9巻:堕落

サタンは蛇の中に入る。イヴは、アダムと別々に働くことを提案し、蛇は彼女を説いて禁断の実を食べさせ、アダムはイヴのしたことを知って、自らも食べることを選ぶ。ページ数では詩の中でもっとも長い巻で、200ページから233ページに及ぶ。

第10〜12巻:裁きと追放

第10巻では御子が二人を裁き、「罪」と「死」は地獄から橋を架け、アダムは自らの運命を嘆き、やがてイヴと和解して二人は悔い改める。第11巻では天使ミカエルがアダムに未来の幻、カインとアベルや洪水を含むものを見せる。第12巻でミカエルは歴史の残りを語り、二人をエデンから、「眼前にすべてが広がる」世界へ導き出す。

資料と背景

この版は聖書からの抜粋を収める。創世記1〜3章・11〜12章、出エジプト記14章、詩篇、イザヤ書、エゼキエル書1章、マルコ福音書13章、使徒言行録13章、コリントの信徒への手紙一15章、ヨハネの黙示録である。また、ミルトンの散文2編、『The Reason of Church Government』第2巻の序論と、『Areopagitica』の全文も再録している。

批評

批評の部は78の論評を集め、そのうち39は本版で新たに加わったものである。冒頭は古典的批評で、エミリア・ラニア、アンドルー・マーヴェル、ジョン・ドライデンから、サミュエル・ジョンソン、ウィリアム・ブレイク、メアリ・ウルストンクラフト、パーシー・シェリー、T. S. エリオット、ヴァージニア・ウルフまで。続いて、主題ごとに整理された近年の批評が置かれる。サタン、神、イヴとアダム、文体と韻律、キリスト教イデオロギー、人種と宗教、政治、ジェンダーとセクシュアリティ、そして総合的な批評である。人名用語集(537ページ)と読書案内(583ページ)が巻末を飾る。

主要概念

第1〜8巻

  • 呼びかけと叙事詩の主題:冒頭の数行が主題を述べ、詩神に呼びかける。叙事詩の約束事を、詩は用いながら作り直している。
  • 叛逆と地獄の評議:サタンの指導力と堕天使たちの議論が、権威についての詩の問いを設定する。
  • 自由と予知:第3巻では、神が堕落を予見しながら、人間は自由であると主張する。
  • エデンの無垢:第4〜8巻は、仕事と対話と唯一の禁止がある世界の二人を描く。

第9〜12巻

  • 誘惑と堕落:第9巻は、二人がそれぞれどのようにして食べることを選ぶかを劇的に描く。
  • 裁きと悔悛:第10巻は、非難から告白と和解へ進む。
  • 慰めとしての歴史:ミカエルの幻は、アダムに未来の展望を与え、詩の最後の数行へつながる。

批判的分析

長所

  • 学生向けに整えられた本文。 この版は1674年版の本文を基にしつつ、綴りと句読点を現代化し、豊富な注と人名用語集を備える。
  • 同じ一冊に関連文献。 聖書の箇所と『Areopagitica』が詩と並べられているので、ミルトンが聖書をどう用い、出版の自由をどう論じたかを見ることができる。
  • 幅広い批評、主題別の整理。 批評の部は主題別に並べられており、サタン、神、政治、文体へ直接進める。ノートン社が引くレイナ・カラス(コーネル大学)は、人種、宗教、政治、ジェンダーに関する新しい抜粋を評価している。

短所

  • 大きさと付属資料。 本書は約620ページで、詩はその約半分を占めるので、本文だけがほしい読者には付録が重荷に感じられるかもしれない。
  • 概観ではなく選集。 この版の78の論評は抜粋であり、長いレポートを書く学生は、さらに全文にあたる必要がある。
  • 難しい詩。 詩は長い文と、古典と聖書への密な言及をもち、人名用語集だけで約46ページに及ぶ。注は助けになるが、難しさをなくしはしない。

コースにおける位置づけ

英文学のコースで、『失楽園』は、リストにある17世紀の叙事詩である。ロンジョーニー・チャタジー編のノートン・クリティカル版『ミドルマーチ』は同じ叢書の構成をもち、ヴィクトリア朝の小説である。『Norton Anthology of English Literature』は概観用のアンソロジー、カーターとマクレー、サンダーズ、ベイトの文学史は時代の背景知識のためのものである。古典文学のコースも履修した読者は、ホメロスとウェルギリウスに由来する叙事詩の約束事、すなわち詩神への呼びかけ、評議、人物の列挙、地獄への降下をミルトンが用いているのに気づくだろう。

本書の使い方

特別な予備知識は不要だが、韻文を注意深く読んだ経験があると役に立つ。まずテスキーの序論を読み、それから詩を1巻ずつ注とともに読み、難しい文は声に出して読む。核となる巻は、地獄、サタンの旅、エデン、堕落、追放を扱う第1、2、4、9、10、12巻である。第3、5〜8、11巻は神学、天の戦いと創造、アダムの教育を扱い、二度目の通読で報われる。

詩が聖書に拠る箇所では聖書の抜粋を使い、ミルトンの政治に関心があれば『Areopagitica』を詩と並行して読む。詩を読み終えたら、主題別の論評を使ってレポートを準備する。サタンやイヴとアダムなど一つの主題を選び、その下の論評をまとめて読むとよい。