01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Fromkin, V. A. (Ed.). (2001). Linguistics: An Introduction to Linguistic Theory. Wiley-Blackwell.
章の要約
本書は約770ページの教科書で、12人の言語学者が、言語学専攻の学部生と大学院1年生のために書いた。言語を一般的な言葉で説明するのではなく、各中核領域の形式的な分析を示し、仮説がどのように立てられ、データに照らして検証され、修正されるかを見せる。4部15章からなり、重要用語の用語集と参考文献が付く。各領域は同じように扱われる。すべての言語に共通する原理、それが個別言語の文法にどう現れるか、子どもの言語獲得にどう現れるか、である。各領域の獲得には、それぞれ独立した章が当てられている。
第I部 序論:第1章 言語学:人間の言語の科学的研究
最初の章は、言語学を科学として提示し、本書をそのなかに位置づける。節は、パーニニからチョムスキーとその後、言語理論の目的、言語の知識とは何か(語彙、形態論、統語論、意味論、音声学・音韻論)、「文法」のさまざまな意味(心的文法、普遍文法、記述文法、教育文法、規範文法)、子どもの言語獲得の論理的問題、言語能力と言語運用の区別、そして言語学を「行う」ことへと進む。サイドバーでは、歴史言語学、社会言語学、心理言語学など、この分野の他の分野を概観し、理論(生成)言語学が本書の対象であることを示す。
第II部 形態論と統語論:第2–6章
第2章「形態論:語の構造」は、語の構造を扱う長い章(約65ページ)である。第3章「統語論I:項構造と句構造」は100ページを超え、本書で最も長い。第4章「統語論II:統語的依存関係」は文の構造の研究を続け、第5章「統語論III:動詞形式の分布:ケーススタディ」は動詞形式の分布の事例研究を示す。第6章「語と文の構造の獲得」は、子どもがこれらの体系をどう獲得するかを問う。
第III部 意味論:第7–10章
第7章「意味論I:構成性」は、複合的な表現の意味はその部分の意味から構築されるという原理を導入する。第8章「意味論II:作用域」と第9章「意味論III:範疇横断的並行性」は、意味の研究におけるさらに2つの主題を取り上げる。第10章「意味の獲得」は、子どもに目を向けて、この部を結ぶ。
第IV部 音声学と音韻論:第11–15章
第11章「音声学:言語の音」は、本書における言語音の扱いである。第12章「音韻論I:基本原理と方法」、第13章「音韻論II:音韻表示」、第14章「音韻論III:音韻論における説明と制約」は、基本原理と分析の方法から、音韻表示、そして説明と制約へと進む。出版社は、本書が最適性理論のような理論の最近の展開を含んでいると述べている。第15章「音声学と音韻論の獲得」は、子どもによる音の獲得で本書を締めくくる。
主要概念
第1章:序論
- 言語能力と言語運用:話者が言語について知っていることと、その知識がどう使われるか。
- 文法の種類:心的文法、普遍文法、記述文法、教育文法、規範文法。
- 獲得の論理的問題:子どもはどのようにして言語を知るようになるのか。
第2–10章:形態論、統語論、意味論
- 項構造と句構造:最初の統語論の章の中心的な主題。
- 統語的依存関係:第2統語論の章の主題。
- 構成性と作用域:複合的な表現の意味がどう決まるか。
- 構造と意味の獲得:各領域の、子どもの言語についての章。
第11–15章:音声学と音韻論
- 音韻表示:文法のなかで音のパターンに与えられる構造。
- 音韻論における制約:制約による音のパターンの説明で、第14章の主題。出版社は、最適性理論を扱われる最近の展開の一つに挙げている。
- 音声学と音韻論の獲得:子どもが音の体系をどう獲得するか。
批判的分析
長所
- **仮説主導の教育。**出版社は、本書が仮説の立て方、データによる検証、修正の仕方を示すものであり、各章の途中と章末に練習問題とデータ分析の問題を含み、言語学を実際に「行う」とはどういうことかを学生に学ばせると述べる。
- **専門家による執筆の深さ。**各章は12人の言語学者が書いており、それぞれが担当分野の専門家であることを、出版社は特長として強調している。
- **文法とその獲得の並行的な扱い。**文法の3つの主要領域(形態論・統語論、意味論、音)のそれぞれが獲得についての章で終わるので、理論が、子どもがその体系をどう学ぶかという問いと繰り返し結びつけられる。
- **学習の補助。**出版社は、充実した重要用語の用語集、章ごとの要約、参考文献リストを挙げており、用語集だけで40ページ近くある。
短所
- **理論に焦点を当てた範囲。**第1章は、このテキストが理論(生成)言語学を対象とすると述べており、内容には社会言語学、歴史的変化、言語使用の章がない。分野全体の一般的な概説ではない。
- **初心者には難しい。**本書は言語学専攻の学生と大学院1年生向けの入門書として自らを位置づけており、統語論と音韻論の章は長く技術的である。最初の授業向けではない。
- **刊行年。**2001年の刊行であり、提示される理論のその後の展開は含まれない。
- **分量が大きい。**約770ページあり、取捨選択なしには1つの授業では扱いきれない。
コースにおける位置づけ
Fromkinらの Linguistics: An Introduction to Linguistic Theory は、このコースにおける理論志向の入門書である。Fromkinらの An Introduction to Language、Yuleの The Study of Language、O'Gradyらの Contemporary Linguistics、Language Files の教材は、主要領域を分かりやすい説明と応用とともに扱う、この分野が初めての学生向けのより幅広い入門書である。Radfordらの Linguistics: An Introduction も言語理論と分析に集中し、詳細な理論的議論と豊富な練習問題をもち、最も比較しやすい。
学生は通常、幅広い入門書のどれかから始め、形態論、統語論、意味論、音韻論でデータを形式的に分析できるようになることが目的になったとき、本書に進む。Jackendoffの Foundations of Language は、この種の基礎の上に立ち、言語能力の別のアーキテクチャを論じる、より専門的な本である。
本書の使い方
本書は、音素、形態素、構成素のような基本用語をすでに知っていて、形式的な分析を練習したい言語学専攻の学生と大学院1年生のためのものである。
実践的な進め方は次のとおり。まず第1章を読み、第II–IV部は授業に必要な順に取り上げる。各部のなかでは章に通し番号がついており(統語論I、II、III、音韻論I、II、III)、順に読むのが最もよい。本文を読むだけでなく、練習問題とデータ分析の問題に取り組む。それが本書の方法だからである。復習には章の要約を、用語には用語集を使い、各部の最後にある獲得の章を、理論と子どもの言語をつなぐものとして読む。
