01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
O'Grady, W., Archibald, J., Aronoff, M., & Rees-Miller, J. (2017). Contemporary Linguistics: An Introduction (7th ed.). Bedford/St. Martin's.
章の要約
第7版は全15章、約590ページである。出版社は本書を、言語研究の魅力的な側面と基礎の確かな扱いとを両立させた、言語学の基本への包括的な入門書とし、率直で明快な文体を特徴として挙げている。4人の著者はそれぞれ異なる専門を持つ。William O'Grady(ハワイ大学マノア校)は統語理論、言語獲得、韓国語、John Archibald(カルガリー大学)は音韻の獲得、Mark Aronoff(ストーニーブルック大学、元アメリカ言語学会会長)は形態論、文字体系、手話、Janie Rees-Miller(マリエッタ・カレッジ)は言語学を言語学者でない人々にわかりやすくすることに取り組んでいる。各章は要約(「Summing Up」)、重要用語、推薦文献、演習で終わり、音韻論、形態論、統語論という分析の中核の3章には問題の解き方についての付録が加わる。「Language Matters」というコラムが本書全体に置かれ、用語集、出典一覧、言語索引が巻末を締めくくる。
第1章:言語:概観
概観の章は、人間が言語に特化していること、言語の創造性、そして文法と言語能力の5つの性質を示す。すべての言語には文法がある、すべての文法は対等である、文法は基本的な点で似ている、文法は時とともに変化する、文法の知識は意識下にある、の5つである。
第2〜3章:音声学:言語の音/音韻論:音の機能とパターン
第2章は、音を作り出す仕組みから音声表記を組み立てる。子音の調音位置と調音様式、母音、アメリカ英語の表記、超分節的要素(声調、イントネーション、長さ、強勢)、発話における調音過程である。第3章は、対立(ミニマルペア)から音素と異音、音素表記、音節と音素配列、素性、派生と規則へと進み、音韻問題を解くためのヒントの付録を持つ。
第4〜5章:形態論:語の構造の分析/統語論:文の構造の分析
第4章は、形態素、派生、複合(他の言語の例を含む)、屈折とその派生との違い、その他の形態的過程、形態音韻論を扱い、未知の言語で形態素を特定する方法についての付録がある。第5章は、語の範疇と句構造、構成素のテスト、補部の選択、移動(Yes-No疑問文、深層構造と表層構造、do挿入、wh移動)、普遍文法とパラメータによる変異、そして等位接続、修飾語、受動文を扱い、樹形図の作り方についての付録がある。
第6章:意味論:意味の分析
意味は、語と文の間の意味関係、概念体系(ファジーな概念、メタファー、語彙化)、統語論の寄与(構文の意味、構造的曖昧性、意味役割、代名詞の解釈)、そして解釈に関わるその他の要因を通じて扱われ、グライスの会話の公準で終わる。
第7〜8章:歴史言語学:言語変化の研究/言語の分類
第7章は、変化の原因と体系性、音・形態・統語・語彙・意味の変化、変化の広がり、比較再建とインド・ヨーロッパ語族の発見を扱う。第8章は、類型的分類(音韻、形態、統語の各面と、普遍性の説明)と、語族と大語族への系統的分類とを区別する。
第9〜10章:第一言語の獲得/第二言語の習得
第9章は、喃語から後期の段階まで、音韻、語彙、形態、統語の発達をたどり、獲得を可能にするものは何かを問う。大人の発話、フィードバック、認知発達、生得的な知識、臨界期である。第10章は、中間言語、第一言語の役割、第二言語の音韻・統語・形態、年齢と個人差、そしてバイリンガル教育を含む第二言語の教室を扱う。
第11〜12章:心理言語学:言語処理の研究/脳と言語
第11章は、研究方法(言い間違い、語と文についての実験、事象関連電位、コーパス)と、言語の各レベルでの処理を扱い、心理言語学的モデル化で終わる。第12章は、脳とその研究方法、失語症、後天性の失読と失書、そして言語間の失文法を含め、失語症が言語理論について何を示すかを紹介する。
第13章:社会的文脈の中の言語
社会言語学の章は、変異を、場所、時間、孤立(スミス島、ケベック・フランス語、都市部のアフリカ系アメリカ人英語を事例とする)、接触(コード・スイッチング、借用、ピジンとクレオール)、階級、民族、ジェンダーによって整理し、続いて社会的相互作用と、社会が言語をどう扱うかに目を向ける。
第14〜15章:文字と言語/北米先住民の言語
第14章は、文字の種類、文字の初期の歴史と発達、ヨーロッパ以外のいくつかの文字体系(中国語、日本語、韓国語、チェロキー語)、英語の正書法とその改革を阻むもの、そして書くことと読むことを扱う。第15章は、北米先住民の言語の起源と分類、音声と音韻、形態と統語、そしてその将来を概観する。
主要概念
第1〜6章:中核となる分析
- 言語能力:話者が自分の文法について持つ意識下の知識。
- 音素と異音:対立をなす音の単位と、その予測可能な変種。ミニマルペアと相補分布によって特定される。
- 派生、屈折、複合:語が作られる主な方法。
- 句構造と移動:文の階層的な組織と、深層構造と表層構造を結ぶ操作。
- 意味役割と会話の公準:統語論と文脈が意味にどう寄与するか。
第7〜10章:変化、分類、獲得
- 比較再建:子孫言語から祖語の特徴を復元すること。
- 類型的分類と系統的分類:構造によって、または共通の起源によって言語をまとめること。
- 臨界期:言語獲得は年齢によって制約されるという仮説。
- 中間言語:第二言語学習者の発達途上の文法。
第11〜15章:心、社会、文字
- 心理言語学的モデル化:言語がどのように産出され理解されるかのモデル。
- 失語症と失文法:脳損傷後の言語障害と、それが明らかにすること。
- 社会言語学的変異:場所、時間、孤立、接触、階級、民族、ジェンダーによる言語の違い。
- 表語文字と表音文字:語を表す文字体系と音を表す文字体系。
批判的分析
長所
- 演習のための設計。 各章は要約、重要用語、推薦文献、演習で終わり、音韻問題、形態素の特定、樹形図の作成についての付録は、中核となる3種類の分析について段階的な方法を示す。
- 中核を超える幅。 第二言語習得、心理言語学、脳、文字、北米先住民の言語についての独立した章が、音・語・文・意味という中核の流れを超えて本書を広げている。
- 専門分野を持つ著者陣。 著者たちの専門(統語論と獲得、音韻の獲得、形態論と文字体系、非専門家への分かりやすさ)は、本書の章と対応している。
- 慣例的で積み上げ式の順序。 音声学と音韻論が先に来て、統語論と意味論が後に続くため、後の章はすでに学んだ音と語の分析を使うことができる。
短所
- 分量。 約590ページ、15章という分量は1学期の授業でカバーできる範囲を超えており、教員も読者も第7〜15章から選ぶ必要がある。
- 北米中心。 音声表記はアメリカ英語のもので、最終章は北米先住民の言語に当てられている。他の地域の学生は、地元の変種や言語の例を別に必要とする。
- 版の時期。 第7版は2017年のものであり、とくに心理言語学や脳研究のような進展の速い分野の最近の研究は含まれていない。
コースにおける位置づけ
このコースの入門的な概説書の中で、本書は演習を強く重視した、15章にわたる幅広い扱いである。Fromkin、Rodman、Hyamsの An Introduction to Language は同様の範囲を10章で、より軽く親しみやすい文体で扱い、音より文法を先に置いている。本書を難しく感じる学生は、そちらから始めるとよいだろう。George Yuleの The Study of Language は、最初に読むのに向いた親しみやすい入門書である。短い単元からなるモジュール型教科書 Language Files は、本書の演習に加えて練習するための資料として役立つ。
Radfordらの Linguistics: An Introduction はより詳しい理論的議論と演習を提供し、Fromkin編の Linguistics: An Introduction to Linguistic Theory は中核分野を理論主導で概観する本で、本書の第2〜6章から自然に続く。Ray Jackendoffの Foundations of Language は、言語学を心理学、神経科学、進化と統合する高度な総合であり、第9章、第11章、第12章の後に取り組むのがよい。
本書の使い方
本書は、言語学の1年次学部生と、入門科目を履修する英語学、教育学、心理学、語学教育の学生に適している。言語学の予備知識は前提とされていない。
実践的な読み方:
- 中核(1学期): 各分析の章は前の章の上に積み重なっているため、第1〜6章を順に読む。演習に取り組む前に、第3章、第4章、第5章の付録に目を通す。
- 選択: 授業に合わせて章を加える。歴史言語学と分類なら第7〜8章、獲得なら第9〜10章(第10章は将来語学教師になる人にとくに関係が深い)、心理言語学と脳なら第11〜12章、社会言語学なら第13章、文字体系なら第14章、ある言語地域の事例研究として第15章である。
- 章末の資料を使う: 各章の後に重要用語で自己テストをし、レポートには推薦文献を使い、表記と用語は用語集で確認する。
- データで練習する: 演習には書いて答え、同級生と分析を比べる。追加の練習用には別売りのスタディ・ガイドがある。
