01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Yule, G. (2022). The Study of Language (8th ed.). Cambridge University Press.
章の要約
第8版は約400ページに20章を収め、その後に用語集、参考文献、索引が続く。出版社は本書のアプローチを、予備知識のない読者のために情報を「ひと口大」の節で示すものと説明している。各章の終わりには学習問題、課題と討論テーマ、さらに読むための文献案内があり、本版では学習問題が40問、課題が20以上新たに加わり、文献案内には60点以上の新規・更新文献が追加された。章はたいてい短い引用や物語で始まり、章の導入部がそれを受けて話を進める。オンライン資料として、学生向けのスタディガイドと、教員向けの指導書およびテストバンクがある。
第1–2章:The Origins of Language(言語の起源);Animals and Human Language(動物と人間の言語)
本書は、言語はどこから来たのかという推測的な問いから始まる。イワイジャ(Iwaidja)の人々の起源説話を出発点に、これまで提案されてきたさまざまな、ほとんど証明できない説明を比べ、後の章で用いる人間の声道の特徴も紹介する。第2章は人間の言語の特別な性質を示したうえで、人間と動物のコミュニケーションをめぐる実験を振り返り、言語は他の生き物にも習得できるのかを問う。
第3–4章:The Sounds of Language(言語の音);The Sound Patterns of Language(言語の音のパターン)
第3章は音声学で、日常の発話の速度を落として、人間がコミュニケーションのために選び取る個々の音の分節を特定し記述する。第4章は音韻論で、話者ごとに声道が、したがって発音が物理的に異なるという観察から出発し、それでも私たちが同じ音を聞き分けられるのはなぜかを問う。出版社は音声学と音韻論の章を本版で更新された章として挙げている。
第5–6章:Word Formation(語形成);Morphology(形態論)
第5章は新しい語が言語に入ってくる過程を扱う。章の導入によれば、この過程は決して止まらず、英語はとりわけそれを好む言語である。第6章は語の内部を見て、一つの語が意味に寄与する複数の要素を含みうることを示す。
第7–8章:Grammar(文法);Syntax(統語論)
第7章は伝統文法の一般的な範疇から、句を記述するより具体的な方法へと進み、句の中の語がなぜ特定の順序でしか組み合わせられないのかを出発点とする。第8章は文の中で構成要素がどう並ぶかを研究する統語論を導入し、線的な順序を記述した以前の取り組みと、その根底にある規則体系に注目する近年の取り組みとを対比する。
第9–11章:Semantics(意味論);Pragmatics(語用論);Discourse Analysis(談話分析)
第9章は意味論を、その言語を使いこなすすべての人が共有する慣習的な意味の研究と定義し、指示的な意味と語どうしの関係に焦点を当てる。第10章は文脈と話し手の意図に依存する意味の側面、すなわち「話し手の意味」に向かう。第11章は分析を談話へと広げる。三つの章はいずれも本版で改訂された。
第12–15章:Language and the Brain(言語と脳);First Language Acquisition(第一言語獲得);Second Language Acquisition(第二言語習得);Gestures and Sign Languages(ジェスチャーと手話)
第12章は言語を使う能力が脳のどこにあるのかを問う。第13章は第一言語獲得の速さと、それが教えられることなく起こるという事実を強調し、本書はこれを生得的な素質を支持するものとみなす一方、この能力だけでは十分でないとも述べる。第14章は、幼いうちに二つの言語を身につける子どもと、もっとありふれた、後になって第二言語を学び第一言語ほどの力にはめったに届かない状況とを対比する。本版に寄せられた推薦文は、継承語に関する新しい内容に触れている。第15章は、第一言語を獲得する道は音声だけではないことを指摘し、ジェスチャーと手話を紹介する。
第16–17章:Written Language(書きことば);Language History and Change(言語の歴史と変化)
第16章は文字を、図形的な記号による言語の象徴的表示と定義し、それが獲得されるものではなく学ばれなければならない体系であることを示す。第17章は言語の歴史と変化の研究である文献学を紹介する。冒頭には古英語の主の祈りが置かれ、章末で後の時代の版と比較される。
第18–20章:Regional Variation in Language(言語の地域変異);Social Variation in Language(言語の社会変異);Language and Culture(言語と文化)
最後の三章は、一つの言語には一つの変種しかないという単純化をやめる。第18章は場所による変異(言語地理学)、第19章は同じ地域に住みながら教育、経済的地位、場面の異なる人々の間の変異、第20章は文化の一部として言語を研究する人類学的なアプローチを扱う。
主要概念
第1–4章:起源、動物、音
- 人間の言語の性質:人間の言語を他のどのコミュニケーション体系とも異なるものにしているのではないかと本書が問う特徴。
- 音声学:個々の言語音と、それが声道でどう作られるかの記述。
- 音韻論:物理的に異なる発音を聞き手が同じ音として扱えるようにする、抽象的な音の体系。
第5–8章:語と構造
- 語形成:新しい語が言語の一部になる過程。
- 形態論:語の内部要素の分析。
- 統語論:文の中の構成要素の構造と順序、およびその根底にある規則体系。
第9–11章:意味と使用
- 慣習的な意味:その言語を使いこなすすべての人が共有する言語的な意味で、意味論の対象。
- 話し手の意味:話し手が文脈の中で発話によって意味すること。語用論の対象。
第12–20章:心、社会、歴史
- 言語への生得的な素質:本書がすべての子どもに生まれつき備わっていると論じる言語能力と、それを伸ばすのに必要な環境。
- 文献学:古い言語が現代の言語へとどう発展したかの研究。
- 言語地理学:地域による変異の研究。
- 言語と文化:言語を文化についての証拠として用いる人類学的な研究。
批判的分析
長所
- 非常に取り組みやすい。 予備知識を前提とせず、短い節を用い、章を物語や引用から始める。出版社が紹介する教員の推薦文は、明快な説明と引き込まれる例を称えており、英語の母語話者にも非母語話者にも、また独学にも向くと述べるものもある。
- 短い本で広い範囲を扱う。 約400ページの20章で、中核分野、心理言語学と神経言語学、言語獲得、手話、文字、歴史、変異を扱う。各章は1週間分あるいは1回の授業に収まる長さである。
- 三段階の練習。 どの章も、理解を確かめる学習問題、課題(本版ではギリシア語、クク・ヤランジ語、パピアメント語などの新しい言語データが加わった)、討論テーマやプロジェクト、そして文献案内で終わる。
- 改訂された版。 起源、音声学、統語論、意味論、語用論、談話、二つの獲得の章、文化の各章が大きく改訂され、オンラインのスタディガイドも拡充された。
短所
- 深さより幅。 章が短いため、各分野は分析の訓練というより導入にとどまる。出版社自身が挙げる特長も「言語について語るための語彙」と英語の仕組みについての知識を強調している。音韻論や統語論の問題を解く必要がある学生には、より専門的な教科書が必要になる。
- 英語の重視。 出版社は英語の仕組みについての確かな知識を本書の主な利点の一つとして示している。類型的に幅広い入門を求める読者は、英語が主な参照点であり、他の言語のデータは学習問題や課題を通じて加えられると考えておくとよい。
- 推測的な導入。 第1章は本書自身がかなり推測的と呼ぶ話題を扱う。言語分析から始めたい読者は第3章から読み始め、後で第1章に戻ってもよい。
コースにおける位置づけ
この言語学入門のリストで、Yule は概説書の中で最も短く最もやさしく、最初の一冊にふさわしい。オハイオ州立大学の Language Files は似た範囲を、はるかに長いモジュール式の形で、ずっと多くの練習問題と方法のファイルとともに扱う。Fromkin、Rodman、Hyams の An Introduction to Language と O'Grady らの Contemporary Linguistics は、より長い章を持つ本格的な概説教科書である。授業では、非専攻生向けの主教材として Yule を使うことも、それらの本と並行する予習用の教材として使うこともできる。
Yule の後、言語学の仮説がどのように立てられ検証されるかを知りたい学生は、Radford らの Linguistics: An Introduction や理論重視の Linguistics: An Introduction to Linguistic Theory に進むとよい。Ray Jackendoff の Foundations of Language は、分野の基礎をすでに知っている読者のための総合である。
本書の使い方
本書は1年生、非専攻生、独学の読者のための本で、予備知識は要らない。実践的な計画は次のとおり。
- 中核: 第3–11章を順に読み、音、語、構造、意味を学ぶ。後の章はここで導入される用語を前提とするので、丁寧に読む。
- 心と社会の中の言語: 第12–15章(脳、獲得、手話)と第18–20章(変異と文化)は授業に合わせて選べる。第16–17章(文字、歴史)はどちらから読んでもよい。
- 背景の章: 第1–2章は授業の最初にも最後にも置ける。
各章では、まず学習問題に答え、次に少なくとも一つの課題に取り組む。課題は学習問題よりも問題解決と批判的思考を求めるからである。文献案内は関心のある分野で次に読む本を選ぶのに使い、復習にはオンラインのスタディガイドを使う。言語学の授業に進む学生は、Language Files のように問題演習の多い本と Yule を組み合わせるとよい。
