01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Fromkin, V., Rodman, R., & Hyams, N. (2018). An Introduction to Language (11th ed.). Cengage Learning.
章の要約
第11版は全10章で、用語集と索引を含めて約620ページである。本書の初版は1970年代に刊行された。Victoria Fromkinは1966年から2000年に亡くなるまでUCLAで言語学を教え、Robert Rodmanはノースカロライナ州立大学の言語学・計算機科学の教授、Nina HyamsはUCLAの言語学教授で、子どもの言語発達と統語論を研究している。出版社は本書を、教育学、語学、認知科学、心理学、人類学、英語学、第二言語としての英語教育(TESL)を学ぶ学生に向けたものとし、言語学の予備知識を前提としないこと、そして軽やかで親しみやすい文体、ユーモアと幅広い扱いの組み合わせを特徴として挙げている。章の順序には珍しい特徴があり、音より文法が先に来る。形態論、統語論、意味(第2〜4章)が、音声学と音韻論(第5〜6章)に先行する。
第1章:言語とは何か
冒頭の章は、言語を知っているとき話者は何を知っているのか、言語学者が文法や普遍文法(Universal Grammar)で何を意味するのか、人間の言語は他のコミュニケーション体系とどう違うのか、そして言語と思考の関係を示す。
第2章:形態論:言語の語
語を内容語と機能語に、そして意味の最小単位である形態素に分析し、続いて語形成の規則、手話の形態論、データの中の形態素を実際に分析する方法に進む。
第3章:統語論:言語の文の型
統語論の章は、統語規則が何をするのか、文の構造と句構造樹形図、句の内部構造、文法的依存関係、普遍文法の原理とパラメータ、そして手話の統語論を説明する。
第4章:言語の意味
意味は、話者が文の意味について知っていること、合成的意味論と合成性がうまくいかない場合、語彙意味論、そして語用論を通じて扱われる。
第5章:音声学:言語の音
この章は、音の分節、調音音声学、主要な音声的分類、音節を担う音を紹介する。
第6章:音韻論:言語の音
音韻論の章は、形態素の発音、音素と弁別素性、音韻規則、韻律音韻論と連続制約、音韻規則がなぜ存在するのか、そして音韻分析の進め方を扱う。
第7章:社会の中の言語
使用される言語を扱う章の最初のもので、地域方言と社会方言、言語接触、言語と教育、そして使用の中の言語を扱う。
第8章:言語変化:時の音節
本書で最も多くの主題を並べる章で、規則的な音変化、音韻・形態・統語・語彙の変化、「死んだ」言語の再建、消滅した言語と危機言語、系統分類と言語類型、変化の原因、そして文字の歴史を扱う。
第9章:言語獲得
獲得の章は、子どもの言語能力、大人からの入力の役割、そして複数の言語を知っていることを扱う。
第10章:言語処理と人間の脳
最終章は、言語を産出し理解するときに働く心、脳と言語、言語と脳の発達、そしてモジュール的な心の証拠としての、言語と他の認知能力との乖離を扱う。
主要概念
第1〜4章:言語と文法
- 言語知識:話者が持つ、音、語、文についての無意識の知識。
- 普遍文法:すべての人間言語に共通する原理と、変異のパラメータ。
- 形態素:語の中の意味の最小単位。
- 句構造樹形図:文の階層構造を示す図。
- 合成的意味論と語用論:文の意味が部分からどう組み立てられるか、そして文脈が解釈をどう形づくるか。
第5〜6章:音
- 調音音声学:言語音を、それがどのように産出されるかによって記述すること。
- 音素と弁別素性:ある言語の対立をなす音の単位と、それらを区別する特性。
- 音韻規則:文脈の中で音がどう発音されるかの規則的なパターン。
第7〜10章:社会、時間、心の中の言語
- 方言:言語の地域的または社会的な変種。
- 規則的な音変化と再建:言語を比較し、その祖先を復元するための基礎。
- 言語獲得:子どもが入力と生得的な能力から言語を獲得する過程。
- モジュール性:言語は心の独立した構成要素であるという考えで、他の認知能力との乖離によって支持される。
批判的分析
長所
- 幅広い読者、前提知識不要。 出版社は教育学、心理学、人類学、英語学、TESLの学生を明示的に対象とし、言語学の予備知識を前提としていないため、さまざまな専攻の学生が混在する授業でも使える。
- 読みやすい文体。 出版社は本書の軽やかで親しみやすい文体とユーモアを強調しており、これは多くの版を通じて保たれてきた特徴である。
- 手話を組み込んでいる。 手話の形態論と統語論が文法の中核の章(第2章と第3章)の中で扱われており、分析が人間の言語一般に当てはまるという主張を支えている。
- 実際に手を動かす分析。 形態素の特定と音韻分析についての節は、用語を覚えるだけでなく、データを扱うことを学生に教える。
- 獲得と脳。 出版社は子どもの言語発達、大人の第二言語習得、神経言語学の近年の進展を強調しており、最後の2章が獲得と、処理および脳に当てられている。Hyams自身の研究も子どもの言語発達である。
短所
- 版の時期。 第11版は2018年のものであり、獲得や神経言語学などの分野の最近の研究は扱われていない。
- 音より先に文法。 この順序(音声学より前に統語論と意味論)は、音から始める授業とは合わないため、教員も読者も章の順序を入れ替える必要があるかもしれない。
- 目次上の空白。 文字は第8章の歴史についての節に現れるだけで、言語への計算的アプローチの章はない。第二言語の学習も独立した章ではなく、獲得の章の中で扱われる。
コースにおける位置づけ
このコースの入門書の中で、Fromkin、Rodman、Hyamsの本は、親しみやすく全体を見渡す概説書である。George Yuleの The Study of Language は、明快な説明と例を備えた親しみやすい入門書で、最初の一冊として、あるいは言語学以外の専攻の学生に向いている。O'Gradyらの Contemporary Linguistics は同様の範囲を15章で扱い、第二言語習得、心理言語学、文字、北米先住民の言語についての独立した章を持つ。Language Files は、柔軟に範囲を選べる短い単元からなるモジュール型の教科書で、本書と並行して使うのに役立つ。
より深く学ぶには、Radfordらの Linguistics: An Introduction がより詳しい理論的議論と演習を提供し、Linguistics: An Introduction to Linguistic Theory(Fromkin編、Hyamsも執筆者の一人)は、形態論、統語論、意味論、音声学、音韻論を理論主導で概観する本で、形式的な分析を求める学生にとって自然な続きとなる。Ray Jackendoffの Foundations of Language は、言語学を心理学、神経科学、進化と結びつける高度な総合であり、本書の第1章、第9章、第10章の後に読むのがよい。
本書の使い方
本書は、言語学と、出版社が挙げる多くの隣接分野の1年次学生に適している。言語学の予備知識は必要ない。
実践的な読み方:
- 中核: 第1章、続いて第2〜6章。授業が音から始まる場合は、第5〜6章を第2〜4章より先に読んでもよいが、第6章は形態素の発音から始まるので、第2章の最初の節を先に読んでおく。
- 分析をする: 第2章の形態素の特定の節と、第6章の音韻分析の節は、問題を解く力が養われる場所である。課された演習はすべて、できれば同級生と一緒に解く。
- 後半の章から選ぶ: 社会言語学なら第7章、歴史言語学と文字なら第8章、心理言語学と脳なら第9〜10章。1学期の授業なら2、3章を選べばよい。
- 用語集を使う: 読みながら用語集を使い、復習のために章ごとの重要用語リストを自分で作る。
購入前に、授業がどの版を使っているかを確認すること。版によってページ参照や演習が異なる。
