01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Stroud, K. A., with Booth, D. J. (2020). Engineering Mathematics (8th ed.). Bloomsbury Academic (Red Globe Press).
章の要約
第8版は約1,190ページで、章ではなく「プログラム」に分かれている。第I部に13の基礎プログラム(F.1〜F.13)、第II部に29のプログラムがあり、最後に解答が付く。出版社は本書の性格を決めている方法を次のように説明している。本文は各トピックを小さなステップで進み、新しいステップを導入する前に、それまでの例から導ける手順を読者自身に埋めさせる。そのため、一人で演習に取り組む段階に来たときには、すでに著者とともに多くの例をこなしている。この方式はケン・ストラウド自身の授業にさかのぼる。2000年に Times Higher Education に掲載された追悼記事でナイジェル・スティールは、ストラウドがこれらのプログラムを機械工学・生産工学の1年生向けに設計し、各プログラムを約1週間の学習量とし、本の形に落ち着く前に対照群と比較して教材を検証したと説明している。
第I部、プログラムF.1〜F.4:算術、代数入門、式と方程式、グラフ
出版社によればGCSE以降の数学を扱う基礎セクションは、数の計算と基本的な代数から始まり、式の変形とグラフの描画へ進む。復習と穴埋めを目的としているので、読者は自分の準備状況に応じたところから始められる。
第I部、プログラムF.5〜F.8:一次方程式、多項式方程式、二項展開、部分分数
一次方程式と多項式方程式の解法、二項展開、部分分数。第II部の微積分や変換のプログラムが頼りにする代数の道具である。
第I部、プログラムF.9〜F.13:三角法、関数、三角関数と指数関数、微分、積分
三角法と関数の言葉、三角関数と指数関数、そして微分と積分への最初の導入。微分と積分は第II部でより深く取り上げ直される。
第II部、プログラム1〜6:複素数1・2、双曲線関数、行列式、行列、ベクトル
第II部は複素数の二つのプログラムと双曲線関数のプログラムで始まり、線形代数とベクトルへ進む。出版社によれば、この版では「行列」のプログラムが改訂され、固有値と固有ベクトルが重視され、ケイリー・ハミルトンの定理が導入された。
第II部、プログラム7〜13:微分、微分の応用、接線・法線・曲率、数列、級数1・2、曲線と曲線のあてはめ
曲線の幾何を含む微分とその応用を本格的に扱い、続いて数列と級数、データへの曲線のあてはめを扱う。
第II部、プログラム14〜15:偏微分1・2
多変数関数とその偏導関数を二つのプログラムで扱う。
第II部、プログラム16〜24:積分1・2、漸化式(還元公式)、積分の応用1〜3、近似積分、極座標系、重積分
積分は本書で最も大きなまとまりを占める。積分の技法、還元公式、三つの応用プログラム、数値(近似)積分、極座標、重積分である。
第II部、プログラム25〜29:一階微分方程式、二階微分方程式、ラプラス変換入門、統計、確率
本書は一階と二階の常微分方程式、ラプラス変換の入門、そして統計と確率をそれぞれ一つずつのプログラムで扱って終わる。
主要概念
第I部:基礎トピック
- 代数的操作:式の変形と一次・多項式方程式の解法。以後のすべての基礎となる。
- 部分分数と二項展開:有理式を分解し、べき乗を展開する道具。積分、級数、ラプラス変換で再び使われる。
- 関数:工学モデルの部品としての三角関数と指数関数。
第II部:大学1年の中核となる数学
- 複素数:実部と虚部をもつ数。二つのプログラムで扱われる。
- 行列、固有値、固有ベクトル:この版で強化された線形代数の内容。
- 微分と積分:1変数の微積分とその応用。
- 偏微分と重積分:多変数関数の微積分。
- 常微分方程式とラプラス変換:一階・二階の方程式の解法。
批判的分析
長所
- 検証された自習形式。 プログラム学習方式は、読者に各ステップを実際にこなさせてから先へ進ませる。スティールの記述によれば、この方式は本になる前に工学部1年生を対象に開発・評価されており、出版社も現行版について同じ小さなステップの構成を説明している。
- 基礎の弱い学生にも本当の出発点がある。 13の基礎プログラムは算術と代数から始まるので、学校数学に穴のある学生は、第II部に取り組む前に同じ本の中でそれを補える。
- 無料のオンライン演習。 出版社のコンパニオンサイトには「Personal Tutor」があり、本書の奇数番号の問題を、ヒントと完全な解答例付きで一歩ずつたどれる。PowerPointスライドや、各プログラムの追加問題も用意されている。追加問題は電気回路網、気体の法則、構造物の応力など工学の場面を題材にしている。
- この版での改訂。 全体的な改訂と行列の変更に加え、出版社は新しい復習用まとめと、振り返りに使える早見表を挙げている。
短所
- 小さなステップには時間がかかる。 つまずいている学生を助ける方法は、準備の整った学生には遅く感じられることがあり、本の分量もそれを反映している。スティールはまた、1年次以降の課題は、より少ない指導でより大きなステップを踏めるよう学生を育てることだと述べているが、この形式はそれを目指したものではない。
- 1年次の範囲。 内容はラプラス変換と統計・確率の入門までである。フーリエ級数、ベクトル解析、偏微分方程式は目次にない。同じ著者たちは別の Advanced Engineering Mathematics でさらに先の話題を扱っている。
- 調べるためではなく、取り組むための構成。 考えが多くの短いステップにわたって展開されるため、一般的な教科書に比べて手早く参照するには不便である。新しい復習用まとめはこの点を部分的に補っている。
コースにおける位置づけ
Stroud と Booth の本は、工学数学のリストにある大学1年向けの2冊のうちの1冊で、より自分のペースで進めるタイプである。Croft と Davison の Mathematics for Engineers は、同様の1年次の内容を、例題と演習を備えた通常の章立てで扱い、フーリエ級数とフーリエ変換の入門も加えている。Stroud は一歩ずつ導かれたい学生や独学の学生に向いている。説明を読んでから練習したい学生には Croft と Davison のほうが合うかもしれない。2冊を併用し、もう一方の本の進みが速すぎると感じたトピックについて Stroud のプログラムを補習として使うこともできる。
1年次の後には、Glyn James の Advanced Modern Engineering Mathematics が行列法、変換、ベクトル解析、複素関数を扱うイギリスの2年次向け教科書となる。Kreyszig の Advanced Engineering Mathematics と Riley、Hobson、Bence の Mathematical Methods for Physics and Engineering は本書をはるかに超える幅広い参考書であり、Bender と Orszag の Advanced Mathematical Methods for Scientists and Engineers は近似法と漸近法を扱う大学院レベルのテキストである。
本書の使い方
本書は工学・理学の基礎課程(ファウンデーション・イヤー)と1年次の学生を対象としている。第I部が初歩から復習するので、学校数学の知識があれば始められる。
- まず診断する。 基礎プログラムに取り組む前に、Personal Tutor や追加問題でそのプログラムの問題をいくつか試し、問題なく解ければ先へ進む。学校数学をひととおり修めた学生の多くはF.1〜F.8を手早く通過できるが、第II部の前にF.9〜F.13は確認しておくべきである。
- 方式に従う。 各ステップで先を読む前に答えを書く。本書の価値は、ステップを読み流すのではなく実際にこなすことにかかっている。
- 1年次の授業の中核: 第II部のプログラム1〜8(複素数、双曲線関数、行列、ベクトル、微分)、14〜21(偏微分と積分)、25〜27(微分方程式とラプラス変換)。曲率、級数、曲線のあてはめ、近似積分、極座標、重積分、統計、確率の残りのプログラムは、授業のシラバスに合わせて進めればよい。
- コンパニオンサイトを使う。 Personal Tutor は奇数番号の問題で追加の演習を提供し、追加問題は各トピックが工学の仕事のどこに現れるかを示してくれる。
ストラウドがもともと設計したように、一つのプログラムをおよそ1週間分の学習とみなし、試験前に複数のプログラムをまとめて片づけようとするのではなく、一定のペースを保つとよい。
