01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Croft, A., & Davison, R. (2025). Mathematics for Engineers (6th ed.). Pearson.
章の要約
Pearsonが示す第6版は24章からなり、話題の順序は第5版と同じである。算術と代数から始まり、関数、三角法、複素数、行列とベクトル、微積分、微分方程式、変換へと進む。Pearsonは、実用的でくだけた親しみやすい教科書であり、工学系1年次の数学の課程に必要なすべてをカバーし、より進んだ話題への入門的内容も含むと説明している。また、従来の学習法と、読者が計算に参加するインタラクティブな例題を組み合わせているという。
第1–4章:算術/分数/小数/百分率と比
基礎の章で、数の計算の土台を作る。算術の復習が必要な学生でも最初から読み始められる。
第5–8章:基本的な代数/関数と数学モデル/多項式方程式・不等式・部分分数・比例/対数と指数
代数と関数の概念を、数学モデルとともに示す。第7章は多項式方程式、不等式、部分分数、比例の技法をまとめ、第8章は対数関数と指数関数を導入する。
第9–10章:三角法/さらなる三角法
三角法は2章を占め、入門の章とさらに進んだ章に分かれる。その後、複素数や微積分で用いられる。
第11章:複素数
複素数は1章にまとめられ、行列や微積分の前に置かれている。
第12–14章:行列と行列式/行列と行列式による方程式の解法/ベクトル
行列と行列式の代数、それらで連立方程式を解く独立した章、そしてベクトルの章。
第15–18章:微分/微分の技法と応用/積分/積分の応用
微積分の中核。微分と積分のそれぞれに入門の章と、技法と応用の章がある。
第19–21章:数列と級数/微分方程式/多変数関数と偏微分
数列と級数、次に微分方程式、そして偏導関数を用いる多変数の微積分。
第22–24章:ラプラス変換/統計と確率/フーリエ級数とフーリエ変換入門
最後の章では、ラプラス変換、統計と確率、そして題名が示すとおりフーリエ級数とフーリエ変換を紹介する。
主要概念
第1–10章:基礎
- 関数と数学モデル:工学の量を記述するための関数。
- 部分分数、不等式、比例:第7章の代数の道具立て。
- 対数と指数:成長、減衰、多くの工学的関係の背後にある関数。
第11–14章:複素数、行列、ベクトル
- 複素数:実部と虚部をもつ数。
- 行列と行列式:連立一次方程式の表現と解法。
- ベクトル:大きさと向きをもつ量。
第15–24章:微積分とさらなる手法
- 微分と積分:技法と応用を備えた一変数の微積分。
- 微分方程式と偏微分:関数とその導関数を結ぶ方程式、および多変数関数の変化率。
- ラプラス変換とフーリエ変換:後の工学の科目のために巻末で紹介される手法。
批判的分析
長所
- 算術から変換までを一冊で。 内容は分数や小数からラプラス変換、フーリエ級数に及ぶので、出発点が弱い学生を支えつつ、1年次の課程全体まで導ける。
- 前提知識の順序がなだらか。 代数と関数が三角法、複素数、行列に先行し、それらが微積分、微分方程式、変換に先行する。各部分が前の部分の上に築かれている。
- 微積分に十分な紙幅。 微分と積分にそれぞれ2章があり、入門の章と技法・応用の章に分かれる。
- インタラクティブな例題。 Pearsonは、読者が計算に参加するよう促す例題を挙げており、独習に向く。
短所
- 高度な内容は入門止まり。 フーリエ級数とフーリエ変換は最後の1章に収まっているため、深く学びたい学生は2年次レベルの別の教科書が必要になる。
- 大きな主題が1章ずつ。 数列と級数、統計と確率はそれぞれ1章のみで、これらを深く扱う科目には補足の資料が要る。
- 版の識別。 印刷版、電子版、地域版でISBNと日付が異なるため、授業の文献表に示された版を上の章リストと照合する必要がある。
コースにおける位置づけ
Croft and Davisonは、工学数学の書目にある1年次向け二冊のうちの一つである。Stroud and BoothのEngineering Mathematicsは、ほぼ同じ範囲をプログラム学習の形式で扱い、読者が一歩ずつ確認してから進む。Croft and Davisonは通常の章立てと例題で書かれ、巻末でフーリエ級数と変換の入門まで進む。一行ずつ導いてほしい学生にはStroudが向き、説明を読んでから練習したい学生には本書が向く。両方を使うのも妥当で、進みが速すぎる箇所の追加練習にStroudのフレームを用いるとよい。
他の本は後の段階に属する。Glyn JamesのAdvanced Modern Engineering Mathematicsは、行列の方法、変換、ベクトル解析、複素変数をさらに進める英国の2年次向け教科書で、第11–24章を固めた後の自然な次の一歩である。KreyszigのAdvanced Engineering Mathematicsは応用数学の幅広い参考書、Riley, Hobson and Bence のMathematical Methods for Physics and Engineeringは物理科学と工学のための大部の参考書、Bender and Orszagの漸近・摂動法の本は大学院向けの教科書である。
本書の使い方
対象は工学系の1年次の学生である。冒頭の章で算術と代数を復習するので、中等教育の数学で始められる。
- 基礎(必要に応じて): 第1–10章。基礎がしっかりしている学生は第1–4章を流し読みして第5–10章で自分を試せばよい。代数や三角法に不安のある学生は、後のすべての章がこれらに依存するので丁寧に学ぶ。
- 1年次の中核: 第11–21章。複素数、行列、ベクトル、微分と積分、級数、微分方程式、偏微分を扱う。
- シラバスに応じて: 第22–24章。ラプラス変換、統計と確率、フーリエの手法。多くの科目ではこの一部だけを扱う。
インタラクティブな例題は、解答を読む前に紙と鉛筆で取り組み、演習は復習のためにとっておかず、日頃から解く。
