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Advanced Modern Engineering Mathematics(現代工業数学・発展編) cover

工学

工学

Advanced Modern Engineering Mathematics(現代工業数学・発展編)

Glyn James; David Burley; Dick Clements; Phil Dyke; John Searl; Nigel Steele; Jerry Wright

英語原題: Advanced Modern Engineering Mathematics

グリン・ジェームズを中心とする大学教員のチームが執筆した、英国の2年次向け工業数学教科書。1年次向けの姉妹編 Modern Engineering Mathematics の続編として、行列の方法、変換、ベクトル解析、複素関数、微分方程式を、常に工学への応用を念頭に置いて展開し、多数の例題とコンピュータを用いた演習で支える。

前提知識: 1年次の工業数学(1変数の微積分、線形代数の基礎、複素数、常微分方程式)。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
engineering mathematicsdifferential equationstransformsvector calculuscomplex variables教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

James, G., Burley, D., Dyke, P., Clements, D., Steele, N., & Wright, J. (2018). Advanced Modern Engineering Mathematics (5th ed.). Pearson Education.

章の要約

Pearsonのカタログは、次の順に12の項目を挙げている。序論と、それに続く11の主題の章である。出版社は、本書を姉妹書 Modern Engineering Mathematics の土台の上に築かれたものと説明し、工学に応用のある高度な数学の諸分野、とりわけ計算機を用いたシステムのモデリング、解析、設計の道具としてのそれらを「広範に」扱うとしている。印刷版は約1,000ページである。カタログは節のリストなしに題名だけを示しているので、以下の各項目は、題名が指す内容を述べる。

序論(Introduction)

冒頭の項目は技術的な章の前に置かれている。カタログはこれについてそれ以上の説明をしていない。

行列解析(Matrix Analysis)

最初の主題の章は行列を扱い、微分方程式、ベクトル解析、変換の各章より前に置かれている。

常微分方程式の数値解法(Numerical Solution of Ordinary Differential Equations)

リストの中で常微分方程式を扱う唯一の章は、数値的な方法をとる。解析的な解法だけを扱う章はなく、これは本書が低学年向けの姉妹書の上に立つという出版社の説明と合致する。

ベクトル解析(Vector Calculus)

ベクトル場の微積分を扱う章で、複素変数の内容より前に置かれている。

複素関数(Functions of a Complex Variable)

複素関数を扱う1つの章。

ラプラス変換とz変換(Laplace Transforms; The z Transform)

変換を扱う隣り合う2つの章。先にラプラス変換、次にz変換である。合わせて、同じ考え方の連続時間版と離散時間版をカバーする。

フーリエ級数とフーリエ変換(Fourier Series; The Fourier Transform)

さらに隣り合う2つの章。先にフーリエ級数、次にフーリエ変換である。

偏微分方程式(Partial Differential Equations)

リストの中で、この章はフーリエの内容の後に続く。

最適化(Optimization)

最適化を扱う章。

応用確率・統計(Applied Probability and Statistics)

最後の章で、応用的な形での確率と統計を扱う。

主要概念

カタログが挙げている主題を以下に示す。説明は名前の挙がった概念の一般的な定義であり、本書がそれをどう扱うかについての主張ではない。

行列解析、常微分方程式の数値解法

  • 行列解析:行列とその性質の研究で、カタログでは最初の主題の章である。
  • 常微分方程式の数値解法:閉じた形の解が実用的でないときに、計算機上で段階的に解を近似すること。

ベクトル解析、複素関数

  • ベクトル解析:ベクトル値の量やベクトル場の微分と積分。
  • 複素関数:変数も値も複素数である関数。

変換とフーリエの方法

  • ラプラス変換:時間の関数に対する変換で、連続系に広く使われる。
  • z変換:離散的な数列や離散時間系に対応する道具。
  • フーリエ級数とフーリエ変換:周期関数を正弦と余弦で展開するものと、非周期関数に対する変換。

偏微分方程式、最適化、確率・統計

  • 偏微分方程式:複数の独立変数をもつ方程式で、本書では独立した1章が充てられている。
  • 最適化:定められた条件のもとで、ある量の最良の値を求めること。
  • 応用確率・統計:最後の主題の章。

批判的分析

長所

  • 明示された学習方法。 出版社は「やりながら学ぶ」という考え方を述べており、学生が理解をもって数学を使い、工学の問題を解けるようにすることを目指し、「豊富な工学の例」で支えるという。
  • 計算が本の一部になっている。 Pearsonは、本書がMATLAB、MAPLE、Rを組み込んでいるとしており、これは計算機を用いたシステムのモデリング、解析、設計の道具という出版社の強調と合致する。
  • 連続時間と離散時間の道具が並ぶ。 ラプラス変換とz変換は隣り合う別々の章であり、リストには最適化と応用確率・統計も含まれるので、本書は古典的な解析の外にまで及ぶ。
  • 版を重ねた書名。 本書は第5版である。ブリストル大学の研究記録には1999年の第2版が989ページで載っており、長く使われてきた教科書であることがわかる。2018年版はGoogle ブックスでは1,016ページとされている。

短所

  • 1年次の内容を前提とする。 微積分、常微分方程式の解析的方法、複素数の基礎を扱う章題はなく、出版社は本書が Modern Engineering Mathematics の上に築かれていると述べている。その素養のない学生は、同書か同等の本が必要になる。
  • 大きな主題ごとに1章。 複素関数、偏微分方程式、最適化、確率・統計は、リストでそれぞれ1章ずつなので、いずれも簡潔な扱いになっている可能性が高く、そのどれかを1科目として完全に学ぶには専門の教科書が必要になる。
  • 分量。 約1,000ページあるため、通常の科目では12の主題の一部しか使わないだろう。

コースにおける位置づけ

このコースの書籍リストでは、本書は1年次の課程に続く2年次の数学として、Kreyszigの Advanced Engineering Mathematics の代わりに選べる本である。Kreyszigの1巻本は7つの部と25章からなり、複素解析に6章、常微分方程式の解析的方法に独立した1つの部を充てている。Jamesらの本は12の項目で、複素変数は1章、常微分方程式の解析的方法の章はないが、z変換が加わり、行列解析が最初に置かれている。

本書の前には1年次向けの教科書を読むとよい。Stroudの Engineering Mathematics は、基礎的な代数から微積分、行列、複素数、微分方程式、ラプラス変換までを自分のペースで進めるプログラム学習形式の教科書で、CroftとDavisonの Mathematics for Engineers は、算術と代数から微積分、行列、複素数、微分方程式へと進む1年次向けの教科書である。出版社自身の姉妹書 Modern Engineering Mathematics が最も直接的な準備になる。本書の後は、Riley、Hobson、Benceの Mathematical Methods for Physics and Engineering がグリーン関数、変分法、テンソル、群論へと進み、BenderとOrszagの漸近的方法と摂動論の巻は、近似解を扱う大学院向けの教科書である。

本書の使い方

本書は、1年次の数学の課程を終え、計算機を用いたモデリングと解析に使う高度な方法を必要とする工学系の学生に向いている。Pearsonは本書を Modern Engineering Mathematics に続くものと説明しているので、始める前にその内容に慣れているか確認するとよい。

章の順序に基づく実際的な進め方は次のとおりである。

  • 行列解析から始める。 リストで最初の主題の章である。
  • 変換の章は順に読む。 ラプラス変換、z変換、フーリエ級数とフーリエ変換、そしてリストでそれらの後に続く偏微分方程式の順である。
  • 残りの章はモジュールとして扱う。 常微分方程式の数値解法、ベクトル解析、複素関数、最適化、応用確率・統計は、履修している科目に合わせて選べる。

出版社が挙げるMATLAB、MAPLE、Rは、手計算の代わりにではなく、手計算の検算に使う。学期の計画を立てる前に、手元の1冊の目次ページにある節のリストを確認すること。