01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Brealey, R. A., Myers, S. C., Allen, F., & Edmans, A. (2025). Principles of Corporate Finance (2025 release). McGraw Hill.
章の要約
2025年版は34章、12の部から成り、現在価値から始まって、金融学が何を知っていて何を知らないかを論じる最終章まで続く。出版社は、本書は企業と金融市場がなぜそのように振る舞うかを説明し、経営者が経験だけでなく理論に基づいて判断できるようにするものだと述べている。また、著者は金融理論の内部にある論争をバランスよく示しつつ、実際への応用を重視しているという。この版では全章が改訂され、一部は大幅に書き換えられ、Alex Edmans が共著者として加わった。
第1部:価値(第1〜6章)
最初の部は、コーポレート・ファイナンス入門、現在価値の計算方法、債券の評価、株式の評価、正味現在価値とその他の投資基準、正味現在価値ルールによる投資決定と進む。現在価値の考え方から、債券と株式の評価を経て、投資判断に用いるルールへと進む。
第2部:リスク(第7〜9章)
リスク、分散投資、ポートフォリオ選択、資本資産評価モデル、リスクと資本コストは、リスクを導入し、資本投資に用いる割引率と結びつける。
第3部:資本予算のベストプラクティス(第10〜11章)
プロジェクト分析とプロジェクトの正味現在価値を確実にプラスにする方法は、投資プロジェクトの分析と検証の仕方を扱う。
第4部:資金調達の決定と市場の効率性(第12〜14章)
効率的市場と行動ファイナンス、企業の資金調達の概観、企業はどのように証券を発行するかで、本書の資金調達の部分が始まる。出版社の目次では、この部のタイトルは「Financing Decisions and Marketing Efficiency」となっている。
第5部:配当政策と資本構成(第15〜18章)
配当政策、完全資本市場における資本構成、企業はどれだけ借り入れるべきか、資金調達と評価は、株主への還元と、負債と株式の選択を扱う。
第6部:企業の目的とガバナンス(第19〜20章)
コーポレート・ガバナンスとステークホルダー資本主義と責任ある企業は、企業の目的とそれを導く仕組みを扱う。
第7部:オプション(第21〜23章)
オプションを理解する、オプションの評価、リアル・オプションは、オプションと企業の意思決定における利用を示す。
第8部:負債による資金調達(第24〜26章)
信用リスクと企業負債の価値、さまざまな種類の負債、リースは、さまざまな形の負債を扱う。
第9部:リスク管理(第27〜28章)
リスクの管理と国際財務管理。
第10部:財務計画と運転資本管理(第29〜31章)
財務分析、財務計画、運転資本管理。
第11部:合併、企業支配、ガバナンス(第32〜33章)
合併と企業再編。
第12部:結論(第34章)
結論:ファイナンスについて分かっていることと分かっていないことが本書を締めくくる。
主要概念
第1〜3部
- 現在価値と正味現在価値:債券、株式、投資の評価の基礎。
- リスク、分散投資、CAPM:リスクと資本コストとの結びつき。
- プロジェクト分析:資本予算におけるプロジェクトの扱い。
第4〜6部
- 効率的市場と行動ファイナンス:市場の効率性をめぐる議論。
- 配当政策と資本構成:株主還元と負債・株式の選択。
- コーポレート・ガバナンスとステークホルダー資本主義:ガバナンスと責任ある企業。
第7〜12部
- オプションとリアル・オプション:オプションと投資における柔軟性の評価。
- 信用リスクと負債:企業負債の価値と種類。
- リスク管理、運転資本、合併:後半の主題で、最終章はなお不確かな点を論じる。
批判的分析
長所
- **不慣れな状況に向けた理論。**本書の趣旨は、企業と市場がなぜそのように振る舞うかを理解することで、経営者が通常でない、変化する状況でも判断できるようにすることであり、全体が定型の手順ではなく推論を軸に組み立てられている。
- **範囲の広さ。**34章が、評価、リスク、資本予算、資金調達、配当、オプション、負債、リスク管理、計画、運転資本、合併を一冊に収めている。
- **ガバナンスと責任ある企業。**第6部の2章がコーポレート・ガバナンスとステークホルダー資本主義、責任ある企業を扱い、さらに別の部が合併、支配、ガバナンスを扱う。
- **学習のための工夫。**この版には「Beyond the Page」の章内コラム(150を超えるインタラクティブな応用)、財務計算を批判的に評価するよう促す「Sense Check」コラム、「Common Confusions」の節、強調された重要語、短い要約付きの箇条書きに整理されたリストがある。
- **振り返る結び。**最終章が金融学について分かっていることと分かっていないことを論じ、本書に意図的な総括の場を与えている。
短所
- **分量。**34章と長く、1学期の授業では後半の部から取捨選択が必要になる。
- **多くの機能が出版社のプラットフォームに依存する。**インタラクティブな応用や Connect のツールは出版社のデジタル製品の一部であり、紙の本だけの読者が使える機能は少なくなる。
- **リリース方式の版。**本書は継続的に更新される「2025 Release」として提供されるため、リリースによってページ番号や細部が異なる可能性があり、授業ではどのリリースを使うか確認する必要がある。
- **数学より説明。**出版社は、適切な箇所では数学的な説明を類推に置き換えたと述べている。導出を求める読者は、たとえばオプションについて、別の資料が必要になる。
コースにおける位置づけ
このコースの図書のうち、Ross、Westerfield、Jordan の『Fundamentals of Corporate Finance』とオープンアクセスの『Principles of Finance 2e』は、貨幣の時間価値、リスクとリターン、資本予算を軸にした入門教科書であり、本書の前に読む、より穏やかな最初の一冊になる。Berk と DeMarzo の『Corporate Finance』は同じく本格的な分量の教科書で、一つの評価原理、すなわち一物一価の法則を軸に構成されている。これと Brealey のどちらを選ぶかはアプローチの問題で、Brealey は理論から出発して行動を説明する推論を重視し、金融学の論争も扱う。
Atrill の『Financial Management for Decision Makers』は、経営判断に財務の知識を使う読者を対象としている。Brealey は、本格的なコーポレート・ファイナンス課程の主教材として、あるいは入門課程の後の参考書として位置づけられる。
本書の使い方
本書は、コーポレート・ファイナンスの授業を受ける MBA の学生や上級生、また理論に基づく参考書を求める実務家に向いている。
- **中核:**まず第1部。割引の論理がすべての基礎だからである。次に第2部と第3部(リスクと資本予算)。
- **第二のまとまり:**第4〜6部。資金調達、配当、資本構成、ガバナンス。
- **選択:**第7〜11部は授業に応じて選ぶ。オプションと負債はデリバティブや信用へ進む読者に、リスク管理と運転資本はオペレーションに関心のある読者に、合併は企業支配に関心のある読者に向いている。
- **第34章で締めくくる。**本書が扱った内容を総括している。
- **演習:**Sense Check と Common Confusions を自己点検に使い、授業でアクセスが提供されていれば、インタラクティブな教材にも取り組む。
