01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Bauman, Z., & May, T. (2019). Thinking Sociologically (3rd ed.). Wiley-Blackwell.
章の要約
第3版は約220ページの短い本で、序論、3部にまとめられた10章、「省察のための問いと参考文献」と題する結びの部分、索引からなる。出版社は、私たちの世界の見方を形づくる根底にある前提や暗黙の期待を探り、それを日常生活に当てはめる本として紹介している。著者は Zygmunt Bauman(1925〜2017)と、シェフィールド大学社会科学方法論教授の Tim May である。出版社によれば、第2版以降、世界は大きく変わった。気候変動、持続可能性、不平等、社会正義、包摂、ソーシャルメディアの役割が前面に出てきて、親密さ、コミュニティ、消費、倫理、社会的アイデンティティについての考え方も問い直されている。新版はこうした変化を反映して改訂された。本書は12の言語に翻訳されている。
序論:社会学のレンズをつくる
冒頭の部分は、社会学的に考えるとはどういうことかを示し、後の章が身近な話題に適用する社会学の「レンズ」という考えを導入する。
第一部、第1〜3章:他者とともに、他者を通じて自分を理解する/生活を維持する/社会的な絆:「あなた」と「私たち」を語る
第一部「日常生活における行為と理解」は、個人の日常的な立場から出発する。人が他者とともに、他者を通じてどう自分を理解するか、生活が日々どのように維持されるか、そして「あなた」と「私たち」を可能にする絆である。これらの章は、自己と共にあることをめぐる本書の最初の問いを立てる。
第二部、第4〜6章:価値・権力・選択/贈与・交換・親密さ/身体・セクシュアリティ・健康
第二部「選択、文脈、課題」は、行動と関係へと向かう。第4章は価値、権力、選択を取り上げ、第5章は関係における贈与、交換、親密さ、第6章は身体、セクシュアリティ、健康を扱う。
第二部、第7〜9章:空間・時間・社会のダイナミクス/文化・自然・領域/消費・技術・ライフスタイル
これらの章は、社会生活のより広い枠組みへ進む。空間、時間、社会のダイナミクス、文化と自然と領域の関係、そして消費、技術、ライフスタイルである。
第三部、第10章:社会学のレンズ:回顧と展望
最後の章は、本書が発展させてきたレンズを振り返り、その使い道を展望するもので、本書の結論の役割を果たす。その後に「省察のための問いと参考文献」が続く。
主要概念
序論と第一部
- 社会学のレンズ:序論と最終章の組織化のイメージ。
- 他者とともに、他者を通じた自己:第1章の主題。
- 社会的な絆(「あなた」と「私たち」):第3章の題は、人々を集団へと結び付ける絆を指す。
第二部
- 価値・権力・選択:第4章の題にまとめて挙げられている。
- 贈与・交換・親密さ:第5章が関係を見るレンズ。
- 身体・セクシュアリティ・健康:第6章の主題。
- 空間・時間・文化・自然・領域:第7章・第8章の組織化の用語。
- 消費・技術・ライフスタイル:第9章の日常生活の話題。
第三部
- 回顧と展望:社会学的に考えることが何をもたらすかについての、最終章の省察。
批判的分析
長所
- 日常の話題による構成。 各章は、関係、身体、消費といった身近な生活領域を取り上げ、社会学的に接近する。理論をまだ名前では知らない読者にとって、社会学的思考への入り口となる。
- 短く、完結している。 約220ページ、10章で、数回で通読でき、最終章が議論をまとめる。
- 現在の課題に合わせた更新。 出版社は、本版が気候変動、持続可能性、不平等、社会正義、包摂、ソーシャルメディアのために改訂され、現在の課題の文脈で社会学を日常生活に適用していると述べている。
- 広い読者層。 出版社は、学部生、大学院生、現役の社会学者を想定して書かれ、一般読者にも広く訴えるとし、中心的な概念を紹介する主要な理論家たちの貢献が含まれるとも述べている。
- 学習の支援。 結びの部分に、省察のための問いと参考文献がまとめられている。
短所
- 学問分野の概説ではない。 章題には古典的な理論家、調査方法、主要な制度についての章がない。それらが必要な学生は、教科書と組み合わせなければならない。
- 2001年版とは異なる。 第3版では章題と構成が変わっており(第2版は題の異なる10章)、一方の版で取ったノートはもう一方の版に合わない。
- 大きな主題の扱いは簡潔。 10章・約220ページのため、消費や身体のような話題は紹介にとどまり、深くは展開されない。
コースにおける位置づけ
社会学入門のリストでは、日常を見る社会学的な見方への、短く内省的な入門書である。学問の課題についての簡潔な議論である Mills の The Sociological Imagination と、総合的な教科書の中間に位置する。総合的な教科書とは、最初の授業向けのオープンライセンスの概説である OpenStax の Introduction to Sociology 3e と、古典理論、方法、制度、不平等、グローバル化を扱う幅広い入門書である Giddens と Sutton の Sociology である。
これらの教科書の前か並行して本書を読むと方向感がつかめ、そのうえで教科書で理論と方法を補うとよい。Joas と Knöbl の Social Theory: Twenty Introductory Lectures と Bourdieu と Wacquant の An Invitation to Reflexive Sociology は、リストのなかでより難しい本で、本書の次の自然なステップになる。
本書の使い方
学問の理論を学ぶ前に、社会学者が身近な話題をどう考えるかを知りたい1年次の学生や一般読者に向く。社会学の予備知識は要らない。
- 中核: 枠組みをつかむために序論と第1〜3章、結論として第10章。
- 関心に応じて選ぶ: 第4〜9章はテーマ別の章である。講義に最も近いもの、たとえば第8章(文化・自然・領域)や第9章(消費)を読み、残りは拾い読みでよい。
- 並行して: 各章のあと、自分自身の経験のある状況について短いメモを書き、その特徴のうちどれが個人の選択で、どれが社会的な取り決めによって形づくられたものかを述べる。
- 問い: 結びの省察のための問いと参考文献を使って、次に読む本を選ぶ。
- 組み合わせ: Mills の The Sociological Imagination の第1章を本書の第1〜2章と並べて読み、それぞれが個人の経験をより広い社会的な取り決めにどう結び付けるかを比べる。この比較は、綱領的な論考と、日常の話題で構成された入門書との違いを示す。
