01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Omi, M., & Winant, H. (2014). Racial Formation in the United States (3rd ed.). Routledge.
章の要約
第3版は344ページで、序論、三つの部にまたがる8つの章、そして結論からなる。出版社によれば、この版では全章が根本的に改訂・書き直されているが、本書の目的は変わらない。すなわち、人種という概念がどのように作られ、変化し、政治的対立の焦点となり、アイデンティティや制度を形づくるのかを説明することである。
序論:アメリカ合衆国における人種形成
序論は本書の主題であるアメリカ合衆国の人種形成を導入し、続く三つの部へと読者を導く。
第I部、第1〜3章:エスニシティ、階級、ネイション
第I部は、人種を説明するために用いられてきた三つのパラダイムを検討する。各章がエスニシティ、階級、ネイションを一つずつ取り上げる。三章を合わせると、著者自身のアプローチを位置づける背景ができあがる。それぞれ異なるカテゴリーに結びついた、人種についての三つの確立した考え方である。
第II部、第4〜5章:人種形成の理論、人種政治と人種国家
第4章は理論そのものを提示する。第5章はそれを政治と国家に広げ、人種を文化や経済の中だけでなく、政治制度の内部で争われるものとして扱う。この二つの章が本書の概念上の中核である。
第III部、第6〜8章:大転換、人種的反動:封じ込めと再節合、カラーブラインドネス、新自由主義、オバマ
最後の部は、この理論を第二次世界大戦後の人種政治に適用する。第6章は戦後の人種政治の転換を、第7章はそれに対する反動を「封じ込め」と「再節合」という一対の観念で、第8章はカラーブラインド(人種に無関心を装う)イデオロギー、新自由主義、バラク・オバマの当選を扱う。出版社の紹介文は、この版が新たに取り上げる動向として、非白人が多数派となりつつあること、公民権運動の政治的遺産の空洞化、「対テロ戦争」とイスラム嫌悪、移民の権利運動、交差性理論を挙げている。
結論:人種の矛盾
本書は「人種の矛盾」と題した結論で議論をまとめる。
主要概念
序論と第I部:人種のパラダイム
- 人種形成:人種カテゴリーが作られ、生きられ、変形され、解体されていく過程。本書の中心的な用語。
- エスニシティ、階級、ネイションのパラダイム:人種を説明する三つの枠組みで、第I部の三つの章にそれぞれ対応する。
第II部:人種形成
- 人種形成の理論:第4章で展開される、人種カテゴリーがどのように生まれ、変化し、政治的になるかについての説明。
- 人種国家:第5章の人種政治の議論に結びつく概念で、国家を人種が作られ争われる場として捉える。
第III部:第二次世界大戦後の人種政治
- 封じ込めと再節合:人種的反動を扱う第7章の題名に含まれる二つの用語。
- カラーブラインドネスと新自由主義:第8章の題名で対になっている二つの主題。
批判的分析
長所
- 文献案内ではなく一般理論を提供する。 構成は、三つの競合するパラダイムの批判から理論の提示へ進み、さらに長い期間のアメリカ史に適用するというもので、概念が歴史的な適用とともに示される。ジョージ・リプシッツは、改訂版が人種を「マスター・カテゴリー」として前面に出し、社会運動により大きな重みを与えていると述べている。
- 第3版の同時代性。 出版社は、「対テロ戦争」から交差性に至る最近の状況をこの版が取り上げている点を強調する。アンジェラ・ハリスはRoutledgeのページで、新自由主義、身体、交差性をめぐる近年の議論との取り組みを称賛し、「専門用語が少なく読みやすい」文体が保たれていると評している。
- 評価の定着。 同じく出版社が引用するトロイ・ダスター、ラニ・ギニア、トマス・アルマゲールは、本書を階層理論への持続的な貢献、そして多くの分野に影響を与えた著作と位置づけている。
短所
- アメリカ合衆国中心。 書名と戦後政治を扱う部が、議論をアメリカ史に結びつけている。他の地域に関心のある読者は、概念が当てはまるかどうかを自分で検討する必要がある。
- データより議論。 目次から分かるのは、三部構成の概念的・歴史的な著作であり、調査報告や研究成果の概観ではないということだ。人種的不平等の統計的証拠を求める読者は、別の資料が必要になる。
コースにおける位置づけ
本書は、人種とエスニシティを扱うコースの図書リストに挙がる一冊である。『Race and Ethnicity: The Basics』と『Racism: A Very Short Introduction』は、社会学者がこれらの用語をどう定義し研究するかを知る簡潔な出発点であり、『Racisms: An Introduction』は、多くの国の事例を通して人種差別の諸形態を検討する学部向け教科書である。これらのいずれかを読んでからOmiとWinantに進むと理解しやすい。
Elliott-Cooperのイギリス警察に対する黒人の抵抗の研究と、Bhattacharyyaらの『Empire’s Endgame』は、具体的な事例を通して人種主義とイギリス国家を分析している。OmiとWinantはアメリカ史から組み立てた一般理論を示す。事例をまたいで使える概念が欲しいときに読み、各書が人種と国家権力をどう結びつけているかを比べるとよい。不平等を扱う大部の論集『Social Stratification』には本書と同名の選録があり、議論を凝縮した形で先に知る手がかりになる。
本書の使い方
本書は社会学、エスニック・スタディーズ、政治学の上級学部生と大学院生を想定している。ただしハリスは、人種、エスニシティ、歴史、政治理論の学部課程に理想的な教科書だと述べている。人種とエスニシティの入門コースと、いくらかのアメリカ史の知識があれば準備として十分である。
まず序論を読み、次に理論の置かれた第4章と第5章を読み、そのあと第1〜3章に戻って、理論が何に反対しているのかを確かめる。第6〜8章は順に歴史的な議論として読んでもよいし、公民権運動の時代、その反動、カラーブラインド・イデオロギーに関するレポートのために選んで読んでもよい。結論は最後に読む。
読みながらの練習として、現在の政策論争を一つ選び、人種形成と人種国家の概念で記述し、エスニシティ、階級、ネイションのパラダイムなら同じ問題をどう見るかを書き出してみるとよい。
