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Racisms: An Introduction(レイシズム入門) cover

社会学

社会学

Racisms: An Introduction(レイシズム入門)

Steve Garner

英語原題: Racisms: An Introduction

イギリスの社会学者 Steve Garner による学部向け教科書で、レイシズムを単一の態度ではなく、歴史的に変化する複数の実践として扱う。人種という観念と人種化の過程を説明し、制度的・文化的・日常的なレイシズムの諸形態を多くの国の事例研究とともに検討する。

前提知識: 人種・エスニシティ研究の予備知識は不要だが、社会学の入門科目を履修しているとよい。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
racismrace and ethnicityracializationwhitenessislamophobia教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Garner, S. (2017). Racisms: An Introduction (2nd ed.). SAGE Publications.

章の要約

第2版(奥付によれば初版は2011年)は12章、約330ページである。SAGEによれば、民族性(エスニシティ)と移民についての2章、および国際的な視野に立つ30の新しい事例研究が加わった。SAGEが見本として公開している第1章は、冒頭に目標(「この章で私たちは……」)を掲げ、番号つきのコラムを使い、結論、考察のための問い、注釈つきの推薦文献で終わる。以下の説明は第1章が最も詳しく、その他は章題に沿っている。

第1章:「人種」という観念と人種主義の実践

この章は、「人種」は生物学的事実ではなく社会的カテゴリーだと論じる。満足のいく定義はこれまで示されておらず、遺伝的変異も人間を明確な集団に分けはしないからである。16世紀、啓蒙期の分類、19世紀の人種科学を通じてこの観念の歴史をたどり、人種と遺伝子、本質主義、「人種」はいくつあるのかといったコラムが付く。続いて人種主義の定義に進み、人種主義は極端な事例や個人的な偏見だけを指すという見方を退け、不平等な社会関係の総体という作業定義に落ち着く。社会によってその組織のされ方が違うため、複数形の「racisms」が用いられる。

第2章:人種化

第1章の終わりで、人種化は、人種主義の社会学において「人種」がどのように顕在化するかを理解するための主要な概念として紹介される。本章はそれを取り上げる。

第3章:エスニシティ

第2版で追加された2章のうちの1つで、エスニシティを扱う。

第4〜5章:人種・階級・ジェンダー/人種・ネーション・国家

これらの章は、人種主義を他の社会的区分や構造と並べて位置づける。著者は、人種主義と階級・ネーションとの交差についての研究で知られる。

第6章:制度的人種主義

第1章は、制度的人種主義を、個人的、文化的、間接的な形態と並ぶ、社会学が区別する人種主義の「レベル」の一つに挙げている。この章は、制度のレベルをそれ自体として扱う。

第7〜8章:科学/混合性

「人種」について語られてきた科学的主張(第1章がすでに歴史的に扱っている)と、混合的な背景をもつ人びとについての2章。

第9章:新しい人種主義?

第1章は、「人種」を語ること自体が問題だとする「カラーブラインド」の枠組みや、「逆人種差別」「人種的等価の文化」に関するコラムについて、この章を先に参照している。

第10章:移民

この版で追加されたもう1つの章で、移民を扱う。

第11〜12章:ホワイトネス/イスラモフォビア

最後の章は、著者が幅広く論じてきたホワイトネスと、イスラモフォビアを取り上げる。

主要概念

第1章:「人種」という観念と人種主義の実践

  • 社会的カテゴリーとしての「人種」:生物学的根拠のない分類であるが、人びとにとっての帰結は現実的で測定可能である。
  • 本質主義:集団が固定した内的本性をもつとみなすこと(コラム1.2)。
  • 人種主義(複数形):場所・時代・レベルによって異なる人種主義の諸形態を指す、本書の用語。
  • 人種主義の作業定義:個人の逸脱ではなく、不平等な集団的権力関係。

第2〜6章

  • 人種化:「人種」が社会生活のなかで意味をもつようになる過程。
  • エスニシティ、階級・ジェンダー・ネーションとの交差、制度的人種主義。

第7〜12章

  • カラーブラインドの枠組みと**「逆人種差別」**:第9章で論じられる立場。
  • ホワイトネスとイスラモフォビア:最後の2章の主題。

批判的分析

長所

  • 本書全体を貫く定義。 第1章は後半で人種主義の作業定義を構築し、競合する定義を評価する基準を示す。後の章はそれを参照するため、学生には安定した基準点になる。
  • 争点となる用語の平易な説明。 第1章は、個人の偏見としての人種主義と社会関係としての人種主義を区別し、その違いが重要である理由を、レイチェル・ドレザルの事例やリンネからモートンに至る分類などの例で示す。
  • 各章の学習支援。 見本の章には、目標、コラム、結論、「考察のための問い」、注釈つきの推薦文献があり、ゼミでの利用に向いている。
  • 国際的な視野。 SAGEは国際的な視点の新しい事例研究が30あると述べており、著者はイングランド、アイルランド、米国、ガイアナを研究してきた。

短所

  • 中立的な概観ではなく、一つの立場。 ガーナーは、人種主義は個人の逸脱ではなく社会関係の総体だという自身の中心的な考えが、一般的な理解ではいまなお少数派だと述べている。本書はそれを擁護する立場にあるため、学生は他の説明も併せて読むべきである。
  • 抵抗や政策を扱う章がない。 12の章題のなかに、反人種主義の行動や政策を扱うものはないが、出版社は、本書が人種主義にどう挑むかを理解する助けになると述べている。
  • 刊行年。 本文は2017年に出たものであり、その後の出来事や議論は含まれない。新しい版があるかどうか確認すること。

コースにおける位置づけ

ガーナーは、本サイトの人種・エスニシティの本のなかで、学部生向けの本格的な教科書にあたる。KivistoとCrollのRace and Ethnicity: The BasicsとRattansiのRacism: A Very Short Introductionは、より短い出発点である。Rattansiは、ガーナーと同じく、人種主義を複数形で理解することを主張している。ガーナーの12章は、人種化、混合性、移民、ホワイトネス、イスラモフォビアにそれぞれ章を割き、より長い扱いを提供する。

OmiとWinantのRacial Formation in the United Statesは理論面の伴走書で、人種を、歴史的闘争と国家の政策によって作られる社会的・政治的構築物として示す。理論のレベルで議論が展開されるのを見たい読者に向いている。Elliott-CooperのBlack Resistance to British Policingは、イギリスにおける人種差別、警察の暴力、それへの抵抗を扱う焦点の絞られた研究である。BhattacharyyaらのEmpire's Endgameは、人種主義とイギリス国家についての大学院レベルの検討である。

本書の使い方

ガーナーは、人種とエスニシティを学んだことのない学部生向けに書かれているが、社会学入門の科目を取っていると役立つ。

  • 中核: 語彙を確定する第1・2章、次に制度的人種主義の第6章と、現代の人種主義を扱う第9章。
  • 関心に応じて: エスニシティと移民なら第3・10章、ホワイトネスとイスラモフォビアなら第11・12章、人種科学の歴史が科目に関わるなら第7章。
  • 実践: 各章末の「考察のための問い」をゼミでの議論に使い、第1章の作業定義を後の章の各事例研究に当てはめて検証する。