01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Pollard, C., & McDougall, J. (2026). Media Studies: The Basics (3rd ed.). Routledge.
章の要約
第3版は、出版社の「The Basics」シリーズに属する約214ページのコンパクトな本である。出版社によれば、本書は四つの中心的な問いを掲げている。メディアとは誰、あるいは何か。メディアを分析するためにどのような用語と概念が使われるか。新しい技術、プラットフォーム、AIが最も大きな影響を与えたのはどこか。メディア理論とメディア実践はどのように関係するか。第3版では「ビッグテック」とAIに関する記述が加わり、用語集と推薦文献も更新されている。出版社の目次には序論と六つの章が載っているが、公開されているのは題名だけである。そのため以下の要約は、題名と出版社の説明の範囲にとどめる。
第3版への序論
新版の導入部。出版社は、今回の改訂を、新しい種類の制作者・消費者・配信方法を生んだ技術的変化と、それに伴ってメディア研究に現れた新しい理論・概念・実践への対応として説明している。
第1章:Studying Media(メディアを研究する)
メディアを研究するとはどういうことかを示す章。出版社の最初の問い「メディアとは誰、あるいは何か」に照らせば、研究対象の定義と、この分野の基本語彙を扱う場所と考えられる。
第2章:Doing Theory with Media(メディアで理論を行う)
メディアを分析する際に、理論を道具として用いることを扱う章。理論と実践の関係に対する出版社の関心と一致している。
第3章:Powerful Media(力をもつメディア)
メディアの力という問いを扱う。題名は、メディアが受け手の考えや行動にどこまで影響するのかという長年の論争を示唆している。
第4章:Evolving Media(進化するメディア)
メディアの形態と技術の変化に関する章。出版社が新版で最も大きく更新したと述べる領域、すなわちプラットフォームやAIにかかわる。
第5章:Troubling Media(問題をはらむメディア)
メディアをめぐる問題や論争を扱う章。題名からは、メディアの仕組みや使われ方のうち争点となっている点や有害な点への批判的な視線がうかがえる。
第6章:Making Media(メディアをつくる)
最終章は分析から制作へ向かう。メディア理論と実践の関係を重視する出版社の説明に沿っている。
主要概念
公開されている情報では、概念は章題と出版社の問いの水準でしか確認できない。
序論と第1〜2章
- 分野としてのメディア研究:本書全体が紹介する対象であり、独自の用語と概念をもつ。
- メディアとともに行う理論:第2章の題名は、理論を単に学ぶものではなく、メディアの事例とともに実践するものとして位置づけている。
第3〜6章
- メディアの力:第3章の主題。
- 進化するメディア:技術、プラットフォーム、AIの変化。第4章の焦点。
- メディア制作:この分野の実践的側面。第6章で扱われる。
批判的分析
長所
- 簡潔な設計。 約214ページ、六つの章という構成は、この分野への短い入門を意図しており、より深い読書を選ぶ前の最初の地図を必要とする読者に向いている。
- 現在のメディアに合わせた更新。 出版社は、第3版が新しいメディアの動向、「ビッグテック」、AIを扱うと強調している。対象が急速に変わる分野では重要な点である。
- 理論と実践の両立。 出版社は理論と実践の関係を四つの中心的な問いの一つに挙げており、メディア制作を扱う最終章がそれに応えている。
- 教育現場に近い著者。 Claire Pollardは The English and Media Centre のメディア教育コンサルタントで『MediaMagazine』を編集している。Julian McDougall はボーンマス大学のメディア・教育教授である。いずれも分野の教育側に立つ著者であり、A Levelと学部生を対象とする本書の目的と整合する。
短所
- 短く入門的。 出版社はA Levelと学部レベルの学習者向けと位置づけている。特定の理論、オーディエンス研究、メディア産業について持続的な議論を求める読者は、より長い本が必要になる。
- 見える詳細が限られる。 公開されているのは章題だけである。各章に事例研究や演習があるかどうかは、出版社のページからは確認できない。
コースにおける位置づけ
メディア・文化のコースの中で、本書は最も短く一般的な入口である。David CroteauとWilliam Hoynesの Media/Society は、技術・産業・内容・利用者の相互作用を軸に組み立てられたメディア社会学の本格的な入門教科書で、この概観のあとに、より深さと研究の裏付けを求める読者の次の一冊となる。Denis McQuailとMark Deuzeの McQuail's Media and Mass Communication Theory は、メディアとマスコミュニケーションの理論を包括的に扱う参考書で、基本語彙に慣れたあとに諸伝統を引いて比べるのに適している。
Christian Fuchsの Social Media: A Critical Introduction は、ソーシャルメディアを社会的・経済的・政治的システムとして論じ、デジタル労働、監視、権力を扱うので、第4〜5章のプラットフォームに関する話題を発展させる。Nick CouldryとAndreas Heppの The Mediated Construction of Reality は、メディアを通じて社会的現実がどう構築されるかを論じる理論書で、第2章の理論の扱いに続く歯ごたえのある一冊である。Erving Goffmanの The Presentation of Self in Everyday Life は対面的相互行為と印象管理の古典で、メディアの場で人々がどう自己を示すかを考える際に役立つ。
本書の使い方
メディアや社会学の予備知識は不要である。メディア研究の主要な問いを、授業を受ける前につかみたい大学1年生、A Levelの学習者、一般の読者に向いている。
目次の構成に基づく実践的な進め方は次のとおり。
- 順番に読む。 六つの章は、基本的な問い(第1章)から理論(第2章)、力(第3章)を経て、変化・問題・制作(第4〜6章)へ進むように見え、積み上げ式の順序である。
- 用語集を使う。 出版社は用語集が更新されたと述べている。より長い本に進む前に語彙を固めるために使うとよい。
- 自分のメディア体験と組み合わせる。 現在のプラットフォーム、番組、ゲームを一つ選び、章ごとに当てはめる。特に第3章(力)と第4章(変化)が使いやすい。
- 推薦文献をたどる。 推薦文献は、このコースのより上級の本への入り口になる。
- 版を確認する。 本ガイドは第3版(2026年)を扱っている。旧版はAIやプラットフォームの扱いが異なる。
