索引 / 001 JA
変革管理の理論と実践 cover

心理学

心理学

変革管理の理論と実践

John Hayes

英語原題: The Theory and Practice of Change Management

組織変革の理解と実装のための包括的ガイドで、複雑な組織環境での成功した変革を管理するための理論的フレームワークと実用的ツール・技法を統合。

難易度レベル
中級
学術レベル
大学院
変革管理組織変革変革リーダーシップ変身組織開発変革プロセス変革実装

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Hayes, J. (2018). The Theory and Practice of Change Management (5th ed.). Palgrave Macmillan.

章の要約

第5版は34章に、前付、参考文献、索引が加わり、約590ページである。出版社によれば、その土台となる枠組みは、変革を混沌として管理できないものではなく、目的をもって構築された一連の出来事として捉えるもので、学術的な議論に、実践的な「チェンジ・ツール」、事例研究、実務家への動画インタビューを組み合わせている。以下の区分は章題の順序に従い、説明は章題と出版社の紹介から分かる範囲にとどめている。

第1〜3章:変革のプロセスモデル/変革をリードする:プロセスの視点/変革のパターン

本書はプロセスの視点から始まる。第1章がプロセスモデルを紹介し、第2章が同じ視点を変革のリードに適用し、第3章が変革の取るパターンに移る。

第4〜6章:変革の必要性や機会を認識する/変革を始める/変革の関係を築く

変革の初期段階を扱う。変革が必要または可能であることに気づき、動き出し、変革が拠って立つ関係を築くことである。

第7〜8章:診断/情報の収集と解釈

状況の診断に関する2つの章で、変革を設計する前に情報をどう集め、どう解釈するかを含む。

第9〜12章:変革管理におけるリーダーシップの役割/権力、政治、ステークホルダー管理/責任ある変革管理:倫理的アプローチ/文脈を管理して倫理的実践を促す

人に関わる中心的な問題、すなわちリーダーシップ、権力と政治、ステークホルダーを扱う。出版社は、倫理的な変革管理の実践に関する2つの章が今版の新章であると示している。

第13〜15章:変革を伝える/他者に変わる動機を与える/変革を通じて他者を支える

影響を受ける人々と関わる3つの章で、コミュニケーション、動機づけ、支援を扱う。

第16〜17章:実施戦略を形づくる/変革計画を立てる

分析から計画への移行で、実施戦略を選び、変革計画を作る。

第18〜27章:「介入の種類」から「介入を選ぶ」まで

第18章「介入の種類」に続き、一つずつの手法を扱う章が並ぶ。「アクションリサーチ」「アプリシエイティブ・インクワイアリー」「研修と能力開発」「高業績マネジメント」「業務プロセス再設計」「リーン」「文化プロファイリング」「バリュー・イノベーション」である。第27章「介入を選ぶ」がこの系列をまとめる。出版社はバリュー・イノベーションの章を今版の新章としている。

第28〜31章:変革を実施する/見直して変革を軌道に乗せ続ける/変革を定着させる/変革を広げる

後半の段階で、計画の実行、進捗の確認、変革の定着、そしてより広い範囲への展開を扱う。

第32〜34章:変革マネジャーが自らの経験から学ぶ/集団的学習を促す/すべてをまとめる:結びの事例

最後の章は個々の変革マネジャーと集団による学習を扱い、結びの事例で終わる。

主要概念

第1〜8章

  • プロセスの視点:本書の枠組みで、出版社の言葉では混沌として管理できないものではなく、形づくることのできる一連の出来事として変革を捉える。
  • 変革のパターン:第3章の主題で、プロセスモデルと初期段階の章の間に位置する。
  • 診断:状況の診断と情報の収集・解釈に関する章のまとまり。

第9〜17章

  • ステークホルダー管理と権力:第10章の題に示され、変革の人的側面に属する。
  • 倫理的な変革管理:第11〜12章の主題で、第5版の新章。
  • 変革計画と実施戦略:第16〜17章の計画に関する組。

第18〜34章

  • 介入:本書はアクションリサーチ、アプリシエイティブ・インクワイアリー、研修と能力開発、高業績マネジメント、業務プロセス再設計、リーン、文化プロファイリング、バリュー・イノベーションを、選択すべき別々の介入として扱う。
  • 変革の定着と拡大:第30〜31章で、変革を根づかせ広げることを扱う。
  • 学習:第32〜33章で、変革マネジャーと集団による学習を扱う。

批判的分析

長所

  • 明確な組織原理。 出版社は本書を変革のプロセス観の上に築かれたものと説明しており、章の順序もそれに沿って、必要の認識から診断、計画、介入、実施、定着へと進む。
  • 理論と並ぶ実践的なツール。 出版社は、学生がさまざまな場面に適用できる「チェンジ・ツール」、各種の事例研究、変革の実務家への動画インタビュー、チュートリアル・スライド・事例の解説を備えた無料のウェブサイトを強調している。
  • 介入手法の一覧。 第18〜27章は主要な手法それぞれに1章を割き、選択の方法を扱う章で終わるため、プロジェクトでの意思決定を助ける。
  • 新しい事例。 第5版は、出版社が挙げるフォルクスワーゲンの排ガス不正、BHSの破綻、ウーバーの企業文化といった国際的な事例を加え、倫理的実践に関する2つの章も新設している。

短所

  • 長さと広さ。 34章・約590ページのため、1学期の授業では選択が必要で、通読よりも参考書として扱うほうがよい。
  • 経営学的な志向。 本書はビジネス・経営の学生と実務家に向けて書かれている。心理学的・社会学的な組織分析を主に求める読者には、他の本との併用が必要である。
  • プロセスの枠組み。 順序立てた枠組みは明快だが、変革を管理可能な連なりと見ることに依存する。創発的で制御しにくい変革の説明に関心のある読者は、別の本が必要になる。

コースにおける位置づけ

この組織心理学のコースで、変革プロジェクトを手順に沿って、ツールを使って進めるやり方を求めるなら、ヘイズのこの本を選ぶとよい。ドーソンとアンドリオプロスの『Managing Change, Creativity and Innovation』も変革に関する総合的な教科書で、創造性とイノベーションを論述に取り込んでいる。プロセスの道具箱とイノベーションの視点の両方を求める読者は、2冊を並べて読める。ファインマン、ガブリエル、シムズの『Organizing and Organizations』は、より広い組織行動論の入門で、主題が初めてならここから入るとよい。

実践の背後にある理論には、あいまいな状況に人がどう意味を与えるかを説明するワイクの『Sensemaking in Organizations』と『Making Sense of the Organization』、リーダーが組織文化をどう創り変えるかを論じるシャインとシャインの『Organizational Culture and Leadership』がある。後者はヘイズの文化プロファイリングの章と結びつく。ハスラムの『Psychology in Organisations』と『The New Psychology of Leadership』は、集団行動とリーダーシップへの社会的アイデンティティ・アプローチを展開する。ブライマンの『Doing Research in Organisations』は、変革プロジェクトを調査する際に役立つ。

本書の使い方

出版社が想定する読者は、変革管理や組織変革の科目を履修するビジネス専攻の学部上級生、MBAなどの大学院生、変革の実務家やコンサルタントである。技術的な前提条件は示されていない。組織行動論や経営学の入門を学んでいると役立つ。

実践的な読み方:

  • 中核: プロセスの視点と診断の第1〜8章、リーダーシップ・権力・ステークホルダーの第9〜10章、計画の第16〜17章。
  • 人の問題: 倫理、コミュニケーション、動機づけ、支援の第11〜15章。チームが関わる変革プロジェクトなら必須である。
  • 道具箱: 第18章を読み、自分の事例に関係する介入の章(第19〜26章)だけを読んで、選択方法を扱う第27章で締める。
  • 仕上げ: プロジェクトが実施・見直し・定着の段階に来たら第28〜34章。

読みながら、チェンジ・ツールを実在の組織や事例研究に適用し、付属のウェブサイトと事例の解説で練習するとよい。