01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Schein, E. H. (2010). Organizational Culture and Leadership (4th ed.). Jossey-Bass.
章の要約
第4版で、参考文献と索引を含めて約430ページである。出版社の説明では、本書は抽象的な文化の概念を、組織と変革のダイナミクスを形づくる道具に変えるもので、今日のビジネスの現実に合わせて更新されている。エドガー・シャイン(Edgar Schein)は現代の研究をもとに文化を再定義し、文化を応用するうえでリーダーが果たす役割を示す。内容は五つの部に分かれる。文化とリーダーシップの定義および文化の三つの層、文化の次元、文化を築き、埋め込み、発展させるリーダーの役割、管理された文化変革、そして学習する文化と多文化集団である。各章を本の順に以下に挙げる。
第一部:文化とリーダーシップの定義
冒頭の章は、「Organizational Culture and Leadership Defined」(組織文化とリーダーシップの定義)、「The Concept of Organizational Culture: Why Bother?」(組織文化の概念:なぜ気にかけるのか)、「The Three Levels of Culture」(文化の三つの層)、「Cultures in Organizations: Two Case Examples」(組織の文化:二つの事例)、「Macrocultures, Subcultures, and Microcultures」(マクロ文化、サブカルチャー、ミクロ文化)である。これらは文化を定義し、この概念を用いる理由を示し、目に見える人工物、標榜される価値、根底にある基本的前提を区別する三層モデルを紹介し、二つの組織事例で例証したうえで、組織文化をより大きな、またより小さな文化単位の中に位置づける。
第二部:文化の次元
七つの章が、文化が何から成るかを検討する。「Assumptions About External Adaptation Issues」(外部適応の問題についての前提)、「Assumptions About Managing Internal Integration」(内部統合の管理についての前提)に続き、より深い前提を扱う三章、すなわち「What Is Reality and Truth?」(現実と真理とは何か)、「The Nature of Time and Space」(時間と空間の本質)、「Human Nature, Activity, and Relationships」(人間性、活動、関係)がある。この部は、「Culture Typologies and Culture Surveys」(文化の類型と文化調査)と「Deciphering Organizational Cultures」(組織文化の解読)で終わり、後者は概念から、文化を読み解くという実践的課題へと移る。
第三部:文化を築き、埋め込み、発展させるリーダーの役割
四つの章が文化の一生をたどる。「How Culture Emerges in New Groups」(新しい集団で文化はどう生まれるか)、「How Founder/Leaders Create Organizational Cultures」(創業者/リーダーはどう組織文化をつくるか)、「How Leaders Embed and Transmit Culture」(リーダーはどう文化を埋め込み伝えるか)、「The Changing Role of Leadership in Organizational 'Midlife'」(組織の「中年期」におけるリーダーシップの役割の変化)である。リーダーシップを文化の形成と維持に結びつけ、組織の成熟とともにこの役割がどう変わるかを示す。
文化変革と終わりの章
残りの章は、「What Leaders Need to Know About How Culture Changes」(文化の変化についてリーダーが知るべきこと)、「How Leaders Can Manage Culture Change」(リーダーはどう文化変革を管理できるか)、「A Conceptual Model for Managed Culture Change」(管理された文化変革の概念モデル)、「Culture Assessment as Part of Managed Organizational Change」(管理された組織変革の一部としての文化アセスメント)、「Illustrations of Organizational Culture Changes」(組織文化の変化の実例)、「New Roles for Leaders and Leadership」(リーダーとリーダーシップの新しい役割)、「The Learning Culture and the Learning Leader」(学習する文化と学習するリーダー)、「Cultural Islands: Managing Multicultural Groups」(文化の島:多文化集団のマネジメント)である。文化がどう変わるかから出発し、管理された変革の概念モデル、アセスメントの活用と変化の実例を経て、リーダーの新しい役割、学習する文化、多文化集団へと進む。巻末は参考文献と索引で、オンラインの教員用ガイドもある。
主要概念
第一部
- 文化の三つの層:人工物、標榜される信念と価値、根底にある基本的前提。
- マクロ文化、サブカルチャー、ミクロ文化:組織の内外にある、規模の異なる文化の単位。
第二部
- 外部適応と内部統合:文化的前提を検討する際に軸となる二つの問題群。
- より深い文化的前提:現実と真理、時間と空間、人間性・活動・関係についての共有された見方。
- 文化の類型と調査:文化を分類し測定する方法。
第三部と文化変革
- 創業者とリーダーの影響:リーダーは文化をつくり、埋め込み、伝え、その役割は組織の中年期に変わる。
- 管理された文化変革:意図的な変革の概念モデルで、文化アセスメントに支えられる。
終わりの章
- 学習する文化と学習するリーダー:継続的な学習を支える文化。
- 文化の島:多文化集団のマネジメント。
批判的分析
長所
- 単一で持続的な枠組み。 三層モデルが本書全体を組織し、読者は定義、次元、リーダーシップ、変革という明快な順に進む。
- 事例と応用。 早い段階で二つの組織事例が登場し、後の文化アセスメントや文化変革の実例の章が、概念を実践に結びつける。
- 著者の地位。 出版社は本書を、史上最も影響力のある経営書の一つと見なされているものと紹介し、第4版は幅広い現代の研究に基づくと述べる。
- リーダー中心。 複数の章が、リーダーが文化をつくり、埋め込み、伝え、変える方法を検討し、概念を経営行動に結びつける。
短所
- 単一著者の視点。 枠組みはシャイン自身のものであるため、調査にもとづく類型などの別の文化論は、目次では主に類型と調査の一章に現れるだけである。
- 長く、構造が密。 目次は長く、五つの部にわたるので、中核モデルだけを求める読者は取捨選択が要る。
- 版と時期。 第4版は2010年刊である。第5版(2016)は共著者を加え、国民文化の扱いを拡充しているので、最新版を求める読者は指定されている版を確かめるべきである。
コースにおける位置づけ
本書は、この組織心理学の書籍リストの中で、組織文化とリーダーシップを扱う標準的な著作である。MorganのImages of Organisationは文化を複数の比喩の一つとして扱う有用な最初の地図で、シャインはその考えを深く展開する。WeickのSensemaking in Organizationsと論集Making Sense of the Organizationは人々が共有された意味をどうつくるかを扱い、シャインの文化的前提の説明を補う。Haslam、Reicher、PlatowのThe New Psychology of Leadershipは社会的アイデンティティでリーダーが集団をどう形づくるかを説明し、リーダーが文化を埋め込むというシャインの説明と対照をなす。
シャインの以前の著書Organisational Psychologyは、同じ著者によるこの分野のより広い概観である。OpenStaxのOrganizational BehaviorやSpectorのIndustrial and Organisational Psychologyのような一般的な教科書は、文化を一章で扱っており、本書の前に読むのによい出発点になる。
本書の使い方
文化について本格的な説明を求める上級の学部生、大学院生、管理者に向く。専門的な予備知識は要らないが、組織行動の基礎があると助けになる。
短いコースなら、第一部を読み、続いてより深い前提と文化の解読の章、そしてリーダーが文化を埋め込み伝える章を読む。変革を扱うコースでは、管理された文化変革の章を加える。練習として、身近な組織に三つの層を当てはめてみるとよい。目に見える人工物を挙げ、次に標榜される価値を挙げ、両者のずれをどのような前提が説明するのかを問う。
