01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Bryman, A. (Ed.). (2013). Doing Research in Organisations. Routledge. (Original work published 1988)
章の要約
約190ページの短い論集で、Alan Brymanによる序論と、組織を研究した研究者による十の章からなる。2013年にRoutledge Library Editions: Organizationsシリーズの一冊として再刊されたもので、初版は1988年である。出版社は、これを組織での研究の過程についての第一手の「内部」の記述を収めた教科書と説明しており、社会学・社会心理学の研究法を学ぶ学生と、組織研究・組織行動・経営学の学生の両方を対象としている。寄稿者は、組織へのアクセス、組織での「やっていくこと」、量的・質的な研究スタイル、歴史的資料の利用、資源が研究の文脈に及ぼす影響、政治的要因の役割、グラウンデッド・セオリーの意義、異文化の枠組みでの研究といった問題を扱う。寄稿は一般的な方法論の講義ではなく、第一手の記述である。
序論:'Inside' Accounts and Social Research in Organizations(「内部」の記述と組織の社会調査)
Brymanの序論は、書名が示すテーマ、すなわち組織の社会調査における「内部」の記述の位置づけで論集を始める。
第1章:Regulating Research: Politics and Decision Making in Industrial Organizations(研究の規制:産業組織における政治と意思決定)
Huw Beynon。題は、産業組織で研究が行えるか、どう行えるかを左右する政治と意思決定を指している。
第2章:Insights on Site: Research into Construction Project Organizations(現場からの洞察:建設プロジェクト組織の研究)
Mike Bresnen。建設プロジェクト組織の研究。
第3章:Getting in, Getting On, Getting Out and Getting Back(入る、やっていく、出る、戻る)
David Buchanan、David Boddy、James McCalman。題は組織とのフィールドでの関係の四つの局面、すなわち入ること、留まること、去ること、戻ることを示している。出版社の説明にあるアクセスと「やっていくこと」の問題に対応する。
第4章:Researching White Collar Organizations: Why Sociologists Should Not Stop Doing Case Studies(ホワイトカラー組織の研究:なぜ社会学者はケーススタディをやめるべきでないのか)
Rosemary CromptonとGareth Jones。題は、ホワイトカラー組織を研究する方法としてのケーススタディの擁護を告げている。
第5章:Historical Methods and Organization Analysis: The Case of A Naval Dockyard(歴史的方法と組織分析:ある海軍工廠の事例)
David Dunkerley。歴史的資料を用いた組織の分析を、海軍工廠を例に述べる。
第6章:In Another Country(異国にて)
Peter Lawrence。題は別の国で行われる研究を指しており、出版社の説明にある異文化の話題に関係する。
第7章:Connoisseurship in the Study of Organizational Cultures(組織文化研究における目利き)
Barry A. Turner。題は、組織文化を研究する方法として「目利き」(connoisseurship)を提案している。
第8–9章:The Aston Research Programme(アストン研究プログラム);Ruminations on Munificence and Scarcity in Research(研究における豊かさと乏しさについての省察)
第8章はDerek Pughによるアストン研究プログラムについての章。第9章はDavid J. Hicksonによる、豊かさと乏しさについての省察で、出版社の説明はこれを資源が研究の文脈に及ぼす影響と結びつけている。
第10章:Some Reflections Upon Research in Organizations(組織研究についてのいくつかの考察)
Martin Bulmer。結びの章が、組織での研究についての考察を示す。
主要概念
序論と第1–4章:アクセス、政治、フィールドワーク
- 「内部」の記述:研究が実際にどう行われたかの第一手の報告。論集の組織原理。
- アクセスとやっていくこと:組織に入り、留まり、去り、再び戻ること。
- 研究の政治:研究が可能かどうかを左右する決定と利害。
- ケーススタディ:第4章でホワイトカラー組織に用いられる。
第5–10章:方法、文脈、省察
- 歴史的方法:組織分析に用いる歴史的資料(第5章)。
- 国をまたぐ研究:別の国での研究(第6章)。
- 目利き:組織文化を研究する、判断に基づくアプローチ(第7章)。
- アストン・プログラム:第8章の主題である研究プログラム。
- 豊かさと乏しさ:資源が研究に及ぼす影響(第9章)。
批判的分析
長所
- 別種の方法論の本。 各章は手続きを抽象的に説明するのではなく、研究者自身が自分のプロジェクトで何が起きたかを語る。出版社はこれを本書の独自の貢献として示している。
- 多様な場面と方法。 目次には産業組織、建設プロジェクト、ホワイトカラー組織、海軍工廠が並び、方法もケーススタディ、歴史的方法、大規模な研究プログラムを含むため、さまざまな仕事のスタイルが見える。
- 二種類の読者に有用。 出版社は、社会学・社会心理学の研究法を学ぶ学生と、組織研究・組織行動・経営学の学生を対象としている。
- 短い。 約190ページ、十章で、数回で読み通せる。
短所
- 古い。 初版は1988年で、2013年版はライブラリー・エディション・シリーズでの再刊である。例は現在のデジタル、オンライン、倫理審査の実践より前のものなので、読者は別に学ぶ必要がある。
- 方法のマニュアルではない。 技法を段階的に教えるものではなく、標本抽出、設計、コーディング、分析には研究法の教科書が必要である。
- 個別の記述。 章題から、各寄稿が特定のプログラム、場所、国に結びついていることが分かる。それぞれの教訓が他のプロジェクトにどこまで移せるかは、読者が判断することになる。
コースにおける位置づけ
リストにある組織心理学の書籍の中で、組織の研究がどう行われるかを扱うのは本書だけである。Spectorの Industrial and Organizational Psychology: Research and Practice はこの分野の科学と実践を扱う総合的な教科書、Chmiel、Fraccaroli、Sverkeの Introduction to Work and Organizational Psychology は実際的な問いを軸にした編集形式の入門書、Furnhamの The Psychology of Behaviour at Work は職場での個人の心理的要因を考察する本、OpenStaxの Organizational Behavior は無料の入門書である。これらが知見を示すのに対し、Brymanの論集は、現実の組織でそうした知見を得るには何が要るかを示す。
これらの一般的な教科書のいずれかと並行して、またはその後に読むのがよい。そうすれば、寄稿者が述べる研究に、結びつける内容ができる。リストには、Morganの Images of Organisation や Weickの Sensemaking in Organizations のような、組織についての理論的な書物もあり、それらの読者はBrymanの論集を使って、そうした知識がどのように集められるかを考えることができる。
本書の使い方
社会学・社会心理学の研究法を学ぶ学生、組織研究・組織行動・経営学の学生、組織でのフィールド調査を準備する研究者を対象とする。特別な予備知識は示されていないが、研究法の一般的な入門的知識があると役に立つ。
実際的な読み方は次のとおり。
- 最初に: Brymanの序論と第3章(アクセスとフィールドワーク)。多くの読者が最初にぶつかる問題が述べられている。
- 次に: 第1、2、4、5章。自分のプロジェクトの場面や方法(研究の政治、建設プロジェクト、ケーススタディ、歴史的方法)に応じて選ぶ。
- 任意: 第6–9章(国をまたぐ研究、組織文化、アストン・プログラム、資源の影響)、結びの論評として第10章。
- 併読: 各記述を研究法の教科書の方法の章と比べ、計画が組織の現実にぶつかったとき各著者が何をしたかに注目する。アクセス、倫理、技術についての助言を適用する際は、1988年の本であることを念頭に置く。
