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Child Psychology: A Very Short Introduction(児童心理学:ベリー・ショート・イントロダクション) cover

心理学

心理学

Child Psychology: A Very Short Introduction(児童心理学:ベリー・ショート・イントロダクション)

Usha Goswami

英語原題: Child Psychology: A Very Short Introduction

子どもがどのように考え、学び、他者と関わるのかを、乳幼児や子どもを対象とした研究に基づいて簡潔に紹介する入門書。赤ちゃんの早期の知識、言語の学習、家族・友人関係・ごっこ遊び、記憶、読み書きと数、発達中の脳を取り上げ、最後にピアジェとヴィゴツキーの理論と神経生物学を扱う。

前提知識: 不要。心理学の既習は前提としない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
child developmentcognitive developmentlanguage acquisitionsocial developmentvery short introduction

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Goswami, U. (2014). Child Psychology: A Very Short Introduction. Oxford University Press.

章の要約

本書はオックスフォード大学出版局の「Very Short Introduction」シリーズの一冊で、約144ページ。序論に続いて番号付きの7章が並ぶ。出版社は、誕生から青年期初期までの児童心理学をたどる本と説明しており、愛着、初期の学習と言語、人間関係、就学期の学習、理論が主な柱になる。以下の要約は出版社の章ごとの要旨に基づく。

序論(Introduction)

脳画像や遺伝学、認知発達と社会・情動発達の研究など、近年の動向を概観し、両者が密接に結びついていると論じる。繰り返し現れる論点は、子どもは能動的な学び手であること、そして安定していて応答的で言語が豊かな環境が、発達中の脳に最良の機会を与えることである。

第1章:赤ちゃんは何を知っているか(Babies and what they know)

誕生前と幼少期の最初の段階の発達を、相互作用を中心に扱う。赤ちゃんは顔の手がかりや言語の音から学び、顔や目への早期の関心が言語獲得と結びつけられる。模倣、共同注意、社会・道徳的な期待に関する研究は、心理的理解が早くから現れることを示す。

第2章:外の世界について学ぶ(Learning about the outside world)

生まれか育ちかの論争を取り上げ、乳幼児がどのように世界を学ぶかを問う。赤ちゃんの観察は、「素朴心理学」(人の振る舞い)、「素朴物理学」(物の仕組み)、「素朴生物学」(自然界)という種類の知識に整理される。記憶と注意が早くから働いていることも述べられる。

第3章:言語を学ぶ(Learning language)

乳幼児がどのように言語を身につけるかを、乳児向けの話し方(「Parentese」)、音の手がかり、身振りに注目して考える。18か月ごろに語彙学習の急伸が見られるのはなぜか、言語発達が文化を越えて似ているのはなぜか、概念的な期待が語の素早い学習をどう助けるかが問われる。

第4章:友人関係、家族、ごっこ遊び、想像力(Friendships, families, pretend play, and the imagination)

周囲の人々と想像的な遊びが、認知発達と社会・情動発達にどう影響するかを検討する。主な話題は、きょうだいに関する研究(きょうだい間の争いの役割を含む)、親が自分の感情に対処する仕方の影響、そして心的状態の発達を知る手がかりとしてのごっこ遊びである。

第5章:学ぶこと、覚えること、読み書きと数(Learning and remembering, reading and number)

就学期に移り、子どもが自分の思考について知識を深めていく過程(メタ認知)を扱う。意味記憶、エピソード記憶、潜在記憶(手続き記憶)を区別したうえで、読み書きの習得と、子どもがいつから数で考えるかを問う。

第6章:学ぶ脳(The learning brain)

個人的経験が論理的推論にどう影響するか、そして子どもが論理を自分の経験から切り離すことをどう学ぶかを考える。学校教育は子どもを「内省的な学び手」にするものとして描かれ、実行機能は自分の心的過程を戦略的に制御する力として紹介され、学校での成功との関連が示される。

第7章:発達の理論と神経生物学(Theories and neurobiology of development)

理論とは何かを定義し、ピアジェ(論理的思考の成長)とヴィゴツキー(文化と言語)を通して、理論が発達理解にどう寄与してきたかを示す。そのうえで神経生物学、脳画像、遺伝学に目を向けつつ、神経科学が心理学的水準での理解に取って代わることはないと論じる。

主要概念

序論と第1~3章

  • 能動的な学び手:子どもは情報を受け身で吸収するのではなく、自らの発達に関与するという見方。
  • 共同注意と模倣:乳児に心理的理解が早くから現れることを示すために研究で用いられる社会的行動。
  • 素朴心理学・素朴物理学・素朴生物学:赤ちゃんの観察が整理される三種類の日常的知識。
  • 乳児向け発話:大人が赤ちゃんに向けて使う話し方で、言語学習を支えるものとして研究される。

第4~7章

  • ごっこ遊び:子どもが心的状態をどう理解するようになるかを観察する手段。
  • 意味記憶・エピソード記憶・潜在記憶:学校での学習を扱う章で使われる三つの記憶区分。
  • メタ認知と実行機能:自分の思考についての知識と、心的過程の制御。
  • ピアジェとヴィゴツキー:古典的な発達理論を例示する二人の理論家。

批判的分析

長所

  • コンパクトで、発達の問いごとに構成されている。 7章は、誕生前から乳児期、言語、家族と遊び、学校での学習へと進み、理論で終わる。数回に分けて読み通せる。
  • 脳との関連を過大に主張しない。 序論と最終章は脳画像や遺伝学を行動研究と並べて位置づけ、最終章は神経科学が心理学的水準の理解に代わることはないと明言する。
  • 学習環境への目配り。 言語への接触、きょうだい、親の感情対処、ごっこ遊びが物語の一部として扱われ、発達の節目だけでなく、子どもが育つ場そのものに焦点が当たる。

短所

  • 意図的に短い。 約144ページで、詳しい検討というより概観である。出版社の説明は青年期に触れているが、青年期や臨床的・非定型的な発達に特化した章は目次にない。
  • 理論が最後に来る。 ピアジェとヴィゴツキーは最終章でようやく登場するため、理論を先に学びたい読者や発達理論の体系的な比較を求める読者は、別の本が必要になる。

コースにおける位置づけ

このコースに挙がる発達心理学の本の中で、最も入りやすい入口である。予備知識のない人向けの、短くて読みやすい概観だ。Shaffer と Kipp の Developmental Psychology: Childhood and Adolescence や Siegler、Saffran、Gershoff の How Children Develop といった本格的な教科書は、同じ領域をはるかに詳しく扱い、授業では通常これが次の一歩になる。OpenStax の Lifespan Development は無料の入門書で、児童期を越えて生涯の終わりまで扱うため、人生全体を見たい読者に向く。

理論については、Patricia Miller の Theories of Developmental Psychology が主要な枠組みを批判的に概観しており、第7章が素描にとどまる部分を補う。Erikson の Childhood and Society と Piaget の The Origin of Intelligence in the Child は古典的な一次文献で、本書のような一般的入門のあとに読むのがよい。

本書の使い方

心理学の予備知識は不要で、大学1年生、教師、保護者、一般読者に向く。章は子どもの年齢の順に進み、後の章が前の章に基づくので、順に通読するのが妥当である。

実践的な進め方としては、まず序論と第1~3章で乳児の知識と言語についての中心的な説明を読み、次に第4~6章で社会的文脈と学校での学習を読み、最後に第7章を、より詳しい教科書への橋渡しとして読む。言語、記憶、実行機能など関心を引いた話題があれば、より長い本で掘り下げるとよい。授業と併用する場合は、詳細な知見の出典ではなく、全体を見渡すための入門として扱うのが適切である。