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Politics and Vision: Continuity and Innovation in Western Political Thought(政治とヴィジョン:西洋政治思想における連続と革新) cover

政治学

政治学

Politics and Vision: Continuity and Innovation in Western Political Thought(政治とヴィジョン:西洋政治思想における連続と革新)

Sheldon S. Wolin

英語原題: Politics and Vision: Continuity and Innovation in Western Political Thought

アメリカの政治理論家による西洋政治思想の代表的な解釈史である。1960年に初版が刊行され、増補版で大幅に拡充された。正典とされる思想家たちを「政治的なものとは何か」という問題への応答として読み、政治的なものが宗教、組織、経済といった他の領域に繰り返し吸収されてきたと論じる。

前提知識: プラトンからミルまでの政治理論の主要古典に親しんでいることを前提とする。

難易度レベル
上級
学術レベル
上級
political thoughthistory of political ideaspolitical theorydemocracywestern philosophy

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Wolin, S. S. (2006). Politics and Vision: Continuity and Innovation in Western Political Thought (Expanded ed.). Princeton University Press.

章の要約

増補版は、1960年の原版の10章をそのまま残し、近現代の理論家を論じる7章を加えている。本文は約600ページで、その後に約130ページの注と索引が続く。

背景と論旨

出版社によれば、Wolin は、政治分析とは客観的な現実を中立に観察することだという考えに異を唱えるために本書を書いた。彼の論じるところでは、政治思想家は創造的な「ヴィジョン」にも依拠する。偉大な理論家は、既存の政治秩序の外にある何らかの「善」のヴィジョンに従って政治を形づくろうとしたのであり、したがって理論の歴史は、ある意味で「善」についての想定が変化してきた物語である。新しい章はさらに、アメリカ合衆国が新しい政治形態、すなわち「逆さの全体主義」(inverted totalitarianism)を作り出したという議論を加える。そこでは政治権力ではなく経済権力が支配的である。

第1章:政治哲学と哲学

冒頭の章は、政治哲学を哲学一般から区別し、政治的なものの固有性とは何かを問い、後続の章の用語を設定する。

第2–4章:プラトン:政治哲学対政治/帝国の時代:空間と共同体/初期キリスト教の時代:時間と共同体

プラトンから出発し、帝国の時代における政治思想の変容を経て、初期キリスト教の時代に至る。副題は各章が扱う問題を示している。哲学と政治との関係、そして空間と時間のそれぞれから理解された共同体である。

第5–6章:ルター:神学的なものと政治的なもの/カルヴァン:プロテスタンティズムの政治教育

宗教改革とその政治的帰結を扱う2章で、改革者1人に1章があてられている。

第7–8章:マキアヴェッリ:政治と暴力の経済/ホッブズ:規則の体系としての政治社会

近世初期の思想家を扱う2章で、副題はそれぞれ暴力と規則を中心的な観念として指している。

第9–10章:自由主義と政治哲学の衰退/組織の時代と政治の昇華

原版は、自由主義と政治哲学の衰退を論じる章と、組織の時代を論じる章の2章で終わる。後者の題には政治の「昇華」という語がある。

第11章:近代から後近代の権力へ

約十数ページの短い橋渡しの章で、新しく加えられた第2部の幕を開ける。

第12–13章:マルクス:プロレタリアートの政治経済学の理論家か、崩壊しなかった資本主義の理論家か/ニーチェ:前全体主義的、ポストモダン的

第2部の最初の2章。副題はマルクスについては問いを立て、ニーチェには一対のラベルを付けており、Wolin が両者をどう読むべきかについて明確な立場をとっていることを示す。

第14–17章:自由主義と合理主義の政治/リベラルな正義と政治的民主主義/権力と形式/ポストモダンの民主主義:仮想的か、つかの間か

最後の4章。出版社の紹介文は、新しい章が扱う理論家として Rawls とポストモダンの論者を挙げ、これらの章が「逆さの全体主義」の議論へと至ると述べている。最後の章は、ポストモダンの民主主義が仮想的なものか、つかの間のものかを問う。

主要概念

第1部(第1–10章)

  • 政治的なもの:第1章がその固有性を問う対象であり、本書の根本的な問いを与える用語。
  • ヴィジョン:政治理論の中の、中立な記述を超える創造的な要素。
  • 政治哲学対政治:プラトンの章が主題とする緊張。
  • 政治の昇華:組織の時代を論じる第10章の題に見える語。

第2部(第11–17章)

  • 近代から後近代の権力へ:第2部の幕を開ける章の題が指す変化。
  • 逆さの全体主義:現代のアメリカでは政治権力ではなく経済権力が支配的であるという主張。
  • 仮想的な民主主義かつかの間の民主主義か:ポストモダンの民主主義を論じる最終章の題が示す2つの選択肢。

批判的分析

長所

  • 2000年を貫く1つの問い。 章の配列は、プラトンから宗教改革と近世初期の思想を経て組織の時代まで、「政治的なもの」の位置という1つの問題を追う。そのため思想家たちは、ばらばらの要約ではなく、つながった対話として読める。
  • 解釈を示す副題。 「政治哲学対政治」「空間と共同体」「時間と共同体」のような副題は、各思想家を読む角度を示し、どこから読み始めるかを決める助けになる。
  • 物語を延長する増補版。 第2部は議論をマルクス、ニーチェ、Rawls、ポストモダン理論まで進め、民主主義の現状で締めくくる。思想史が現在に及ぶことを望む読者は、その目的に使える。
  • 学術的な注の体系。 注は約130ページを占め、主張の出典をたどることができる。

短所

  • 1人の著者による解釈。 本書は、ヴィジョンと政治的なものについての Wolin 自身のテーゼを軸に組み立てられた解釈的な歴史であり、中立的な概説ではない。読者は彼の読みを原典と照らして検証すべきである。
  • 入門書ではない。 約600ページの解釈的な研究書なので、原典をすでに知っている読者にもっとも向く。
  • 選択的な扱い。 名前を冠した章があるのは一部の思想家だけである。目次に名前のない人物に関心がある場合は、本書が深く論じていると考える前に索引を確かめるべきである。
  • 数十年を隔てて書かれた2つの部分。 最初の10章は1960年のもので、新しい章は2004年の増補版で加えられた。そのため執筆時期も主題も異なる。出版社は、第1部がそのまま保たれていると述べている。
  • 長さ。 一気に通読するより、原典とあわせて区切りながら読むほうがよい長さである。

コースにおける位置づけ

政治理論のリストの中で、単独の著者による解釈的な思想史はこの1冊だけである。他の本は原典か、論集である。The Republic、The Prince、Leviathan、The Communist Manifesto は、それぞれプラトン、マキアヴェッリ、ホッブズ、マルクスの章に対応しており、各章の前に原典を読むことが、Wolin の解釈を検証するもっとも明快な方法である。Politics、Second Treatise of Government、The Social Contract、On Liberty は、出版社が原版の章が扱うとする、プラトンからミルまでの期間に収まる著者の作品で、索引を見れば本書のどこに登場するかが分かる。Strauss と Cropsey が編んだ History of Political Philosophy は、専門家が1人の思想家を精読する論文を集めたもので、1つのテーゼではなく個別の論文という対照的な方法を示す。

Democracy in America は最後の数章とあわせて読むのがよい。Wolin の後半の章は現代社会における民主主義の状態を論じており、Tocqueville の本は同じ主題のより早い分析だからである。

本書の使い方

原典をいくつか読み、それらを結びつける持続的な解釈を求める上級の学部生や大学院生に向く。

実践的な計画は次のとおりである。

  • 第1章から始める。 後続の章はそこで設定された用語を使うからである。
  • 章と原典を組み合わせる。 プラトンの章は Republic のあとに、マキアヴェッリの章は The Prince のあとに、ホッブズの章は Leviathan のあとに読む。
  • 第2部は選んで使う。 マルクスとニーチェは授業で使う文献とあわせて読み、関心が民主主義にあるなら最後の2章で締めくくる。
  • 批判的に読む。 各章について、Wolin の中心的な主張と、原典の中でそれを支持する、あるいは複雑にする1か所を書き出す。