01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Rosenberg, A., & McIntyre, L. (2020). Philosophy of Science: A Contemporary Introduction (4th ed.). Routledge.
章の要約
第 4 版は十五章からなり、Routledge によれば 308 ページである(Google Books は 294 ページで 2019 年とし、Routledge 自身のページと米国議会図書館の分類番号は 2020 年とする)。Routledge の「現代哲学入門」シリーズに属する。出版社は、主題別に構成された入門書であり、今回の版では教員と学生への調査をふまえて全面的に書き直され、各章末に討論課題と注釈付きの推薦図書があると説明している。以下の要約は章題と出版社の紹介文に基づく。目次には章内の節は載っていない。
第 1–2 章:哲学と科学の関係/科学哲学はなぜ重要か
本書はまず科学哲学を科学そのものとの関係のなかに位置づけ、次にこの分野がなぜ重要かを問う。この二章は、主題別の各章が始まる前にこの分野の枠組みを整える。
第 3–6 章:科学的説明/法則はなぜ説明するのか/因果、不正確な法則、統計的確率/生物学と「特殊科学」における法則と説明
最初のまとまりは説明を扱う。一般的な科学的説明から始めて、法則がなぜ説明力を持つのかを問い、次に因果、近似的にしか成り立たない法則、統計的確率へ進む。このまとまりの最後の章は、生物学と「特殊科学」(基礎物理学以外の諸科学)における法則と説明を扱う。
第 7–9 章:科学理論の構造/理論についての認識論的・形而上学的問題/理論構築とモデル構築
二番目のまとまりは説明から理論へ移る。第 7 章は科学理論の構造を、第 8 章は理論についての認識論的・形而上学的な問い(出版社によれば、実在論と反実在論の論争に関する本文は更新されている)を、第 9 章は理論を作ることとモデルを作ることの対比を扱う。
第 10–11 章:帰納と確率/確証、反証、決定不全
三番目のまとまりは証拠に関わる。第 10 章は帰納と確率を、第 11 章は確証、反証、決定不全を扱う。出版社は、決定不全に関する本文が更新されたと述べている。
第 12–15 章:科学史からの挑戦/科学哲学における自然主義/科学の争われる性格/科学、相対主義、客観性
最後のまとまりの章題は、科学そのものに対してより批判的な姿勢を示している。科学史からの挑戦に始まり、自然主義、科学の「争われる性格」、そして科学と相対主義・客観性の関係へと続く。
主要概念
第 1–6 章
- 科学的説明:科学が現象を説明するとはどういうことか(第 3 章)。
- 法則とその説明上の役割:法則がなぜ説明力を持つと考えられるか(第 4 章)。
- 因果と確率:因果的主張、例外を伴う法則、統計的確率(第 5 章)。
- 特殊科学:生物学など、基礎物理学ではない諸科学における説明と法則(第 6 章)。
第 7–11 章
- 科学理論:その構造と、理論が述べる内容が引き起こす哲学的問題(第 7–8 章)。
- モデル:理論を構築することとモデルを構築することの違い(第 9 章)。
- 帰納と確証:証拠が仮説をどう支えるか、反証がどこで入ってくるか(第 10–11 章)。
- 決定不全:証拠が競合する理論のあいだで決着をつけられないことがあるという問題(第 11 章)。
第 12–15 章
- 科学史からの挑戦:科学史上の出来事が、方法についての哲学的説明にどう関わるか(第 12 章)。
- 自然主義:科学哲学は科学そのものと連続しているべきだとする見解(第 13 章)。
- 相対主義と客観性:科学的知識が客観的かどうか(第 15 章)。
批判的分析
長所
- 体系的で主題別の構成。 章は、説明と法則から出発し、理論を経て証拠へ、さらに科学史と相対主義の問題へと進み、各まとまりが前のものの上に積み上がる。出版社は、この版で「章どうしのつながりが改善された」ことを強調している。
- 読者の声に応えた改訂。 本文は学生と教員の調査のあとで書き直され、「深さを犠牲にせず」読みやすさと分かりやすさを高めることが目指された。決定不全、社会科学、実在論と反実在論の論争についての更新が挙げられている。
- 学習資料。 各章末に討論課題と注釈付きの推薦図書があり、出版社のページは関連するオンライン原典の一覧にリンクしている。
- 評価。 出版社は、W. Russ Payne が Teaching Philosophy 誌で早い版について書いた評を引用している。彼は本書を包括的で洗練されていながら学生にも十分明快だとし、準備の整った意欲的な学生のいる授業に勧めている。これは出版社が選んだ抜粋である。
短所
- 初学者にとっては重い。 Payne の推薦は、準備が整い意欲のある学生向けであり、本書は十五章の本格的な概観なので、このコースの短い入門書に比べて最初の一冊としては重い。
- 説明が方法や歴史より先に来る。 科学的方法をめぐる古典的な論争(帰納、反証、理論変化)にまず触れたい読者は、第 10 章以降に進む必要がある。
- 章題を見るかぎり、社会科学に独立の章がない。 目次には生物学と特殊科学の章が一つあるが、社会科学と名付けられた章はない。ただし出版社は社会科学に関する本文が更新されたと述べている。
コースにおける位置づけ
Rosenberg と McIntyre の本は、このコースにおける、主題別に編成された包括的な教科書である。Samir Okasha の Philosophy of Science: A Very Short Introduction と Peter Godfrey-Smith の Theory and Reality は、より易しい最初の本である。Okasha は短く、物理学と生物学の例を用いる。Godfrey-Smith は論理経験主義からポパー、クーン、ラカトシュ、ファイヤアーベントを経てベイズ主義や科学的実在論に至る一世紀の論争をたどる。Alan Chalmers の What Is This Thing Called Science? は、観察、実験、帰納から二十世紀の主な方法論的説明へ進む簡潔な入門である。Rosenberg と McIntyre は、帰納、反証、科学史(第 10–12 章)の点でこれらと重なるが、説明、法則、因果に四つの章(第 3–6 章)を充てており、Chalmers が法則に一章しか充てていないのと対照的である。
二つの古典が自然に続く。Thomas Kuhn の The Structure of Scientific Revolutions は、科学史が方法についての説明にどう挑戦するかを論じた古典で、第 12 章の主題にあたる。Bas van Fraassen の The Scientific Image は構成的経験主義を述べたもので、出版社が更新された扱いを述べる実在論と反実在論の論争に関わる。どちらも、本教科書が与える背景を前提とする。
本書の使い方
本書は、哲学入門をいくらか学んだ学部 2 年生以上や、短い入門書より体系的な説明を求める理系の学生に向く。出版社は数学的な予備知識に触れておらず、章題を見ても、確率と確証を超える形式的な道具立ては見当たらない。
一学期の授業では、第 1–2 章で方向づけを行い、第 3–6 章で説明と法則、第 7–9 章で理論とモデル、第 10–11 章で証拠を扱う。第 12–15 章は、それまでの説明に圧力をかけるので、自然な終点となる。方法に関心がある学生は、第 10–12 章を先に読み、あとで第 3–9 章に戻ってもよい。
各章末の討論課題を自己確認に使い、注釈付きの推薦図書で原典に進む。Routledge のページからリンクされたオンライン原典は、すぐ使える補足となる。この分野が初めての読者は、先に Okasha か Godfrey-Smith を読み、それらの本で簡単にしか扱われていない話題のために本書を使うとよい。
