01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Wilkins, R., Meredith, D., & Megson, I. (Eds.). (2021). Oxford Handbook of Medical Sciences (3rd ed.). Oxford University Press.
章の要約
第3版はポケット判のハンドブックで、約1,000ページ(Pavilion Health Todayに掲載されたHarry Brownの書評によれば索引込みで1,022ページ、OUPの表記では1,040ページ)、15章からなる。編者のRobert Wilkins、David Meredith、Ian Megsonは生物医学の研究者であり、出版社は本書を、医学を支える科学的原理を示すために生物医学研究者と臨床医が執筆したものと説明している。多くのOxford Handbookと異なり、本書は主として臨床の本ではない。以下の章題は出版社の目次に従う。
第1〜2章:細胞の構造と機能、細胞の代謝
冒頭の2章が土台を築く。まず細胞の構造と機能、次に細胞の代謝である。出版社の紹介文は、この「基礎的な細胞生理学と生化学」を本書の二つの主要な柱の一つとして挙げている。
第3章:分子遺伝学と医学遺伝学
細胞の基礎に続いて遺伝学の章が置かれ、分子遺伝学をその医学的応用に結びつけたうえで、本書は身体の各系統へと進む。
第4〜11章:神経と筋、筋骨格系、呼吸器系と循環器系、泌尿器系、消化器系、内分泌器官、生殖と発生、神経解剖学と神経生理学
本書の中核は系統別のアプローチである。出版社によれば、各主要系統は、医学の伝統的な柱――解剖学、生理学、生化学、病理学、薬理学――を統合して扱われる。興奮性組織として神経と筋が最初に来て、呼吸器系と循環器系は一つの章を共有し、神経系はこの一連の章の最後に神経解剖学と神経生理学として再び登場する。
第12章:感染と免疫
Brownの書評は、853ページから始まるこの章を感染と免疫の優れた概説と評し、ワクチン接種から自己免疫疾患まで、免疫学が臨床の場にどれほど現れるかを思い出させると述べている。
第13〜15章:組織と臓器の成長、医学と社会、医科学の技法
最後の3章は、身体の系統を超えて視野を広げる。組織と臓器の成長、社会の中の医学、そして医科学の実験・研究技法である。最後の章は初版(2006年)から本書に含まれている。
主要概念
第1〜3章:基礎
- 細胞の構造と機能:系統別の章が土台とする細胞レベルの基礎。
- 細胞の代謝:細胞がどのようにエネルギーを得て使うかについての生化学。
- 分子遺伝学と医学遺伝学:分子的基盤から疾患における役割までの遺伝学。
第4〜12章:系統
- 医学の「柱」の統合:各系統について解剖学、生理学、生化学、病理学、薬理学を一緒に学ぶこと。
- 興奮性組織:神経と筋を、それらに依存する系統より先にまとめて扱う。
- 感染と免疫:宿主防御とその臨床的意義。
第13〜15章:より広い文脈
- 組織と臓器の成長:組織や臓器がどのように成長するか。
- 医学と社会:医療実践の社会的背景。
- 医科学の技法:医科学を研究するための方法。
批判的分析
長所
- 系統別の統合。 出版社の紹介文は、解剖学、生理学、生化学、病理学、薬理学を別々の科目としてではなく、系統ごとにまとめて扱う点を強調している。統合型・系統別カリキュラムで学ぶ学生にとって、これは授業の組み立て方と一致する。
- 臨床ハンドブックとの相互参照。 出版社によれば、本書はOxford Handbook of Clinical Medicine、Oxford Handbook of Clinical Specialities、Oxford Handbook of Practical Drug Therapyと相互参照されており、科学的原理からその臨床での使われ方へ移るのが容易である。
- 前臨床期を越えて役立つ。 引退した一般開業医であるBrownは、本書を前臨床期と臨床期の医学生に役立ち、うろ覚えの基礎科学を更新したい医師にとっても優れた復習書だと評した。出版社も本書を、医学生と生物医学研究者のための入門書、また研修医のための復習書として示している。
- 携帯性と図版。 Brownは、本書が他のOxford Handbookと同じ大きさとビニール表紙をもつことを指摘しており、出版社は図版が豊富であると説明している。
短所
- 短いというより密度が高い。 Brownはハンドブックとしてはかなり厚いと述べている。15章で約1,000ページということは、系統別の各章が長いことを意味し、ハンドブック形式は詳しい説明よりも簡潔な提示を優先する。
- 授業の教科書ではなく副読本。 前臨床のすべての科目にまたがるハンドブックである以上、どの一科目にも専門の教科書ほどの深さは与えられない。生理学や生化学を初めて学ぶ学生には、それらの科目の主要な教科書が必要である。
- 臨床的というより科学的。 臨床の診断や管理を求める読者には、本書と相互参照されている臨床ハンドブックか、本コースの臨床テキストが必要である。
コースにおける位置づけ
本コースの書目の他の本は臨床の本である。Macleod's Clinical Examinationは病歴聴取と身体診察を教え、Clinical Medicine: Lecture Notesは病棟に出始めた学生向けの簡潔なガイドである。Davidson's Principles and Practice of Medicineは内科学の一巻本の教科書であり、Harrison's Principles of Internal MedicineとGoldman-Cecil Medicineは複数巻からなる大部の参考書である。
Oxford Handbook of Medical Sciencesはそれらすべての土台に位置する。これらの本が前提とする細胞・遺伝・系統レベルの科学を扱っているからである。最も役立つのは前臨床期と臨床への移行期で、学生がMacleodやLecture Notesを読み始め、臨床所見の背後にある生理学や薬理学を調べる必要が出てくる時期である。Davidsonも冒頭で医学の科学的原理を扱うので、本書は前臨床の授業とDavidsonの臨床の章とをつなぐ、より詳しい橋渡しとして機能する。その後も、大部の参考書で出会ったテーマの基礎科学を手早く復習する資料として使い続けられる。
本書の使い方
本書は、医学の基礎科学を一冊の携帯できる本で手元に置きたい医学生、生物医学の学生、医師のためのものである。出版社は前提知識を示していない。前臨床課程の主要な教科書の代わりではなく、それと並行して使うのが最もよい。
実践的な計画:
- 第1〜3章から始める。 細胞と遺伝の基礎は系統別の章の全体を通じて参照されるので、医学課程の早い段階で読んでおく。
- 系統別の章は対応する授業ブロックと一緒に読む。 第4〜11章はカリキュラムの順に読める。たとえば循環器・呼吸器のブロック中にその内容を読み、統合的な提示を使って別々の講義で学んだことをつなげる。
- 第12章は微生物学・免疫学の授業と一緒に使い、Brownが示唆するように後の復習にも使う。
- 第13〜15章は必要に応じて拾い読みする。 プロジェクト、実験実習、社会の中の医学を扱う科目に役立つ。
病棟実習や復習では本書を参照用に使うとよい。臨床の本にある機序が出てきたらここで調べ、相互参照をたどってOxfordの臨床ハンドブックで科学がどう応用されるかを確かめる。最初に学ぶときは各科目の主要な教科書を使い、本書は知識の定着と手早い復習に用いる。
