01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Loscalzo, J., Fauci, A. S., Kasper, D. L., Hauser, S. L., Longo, D. L., Jameson, J. L., Holland, S. M., & Langford, C. A. (Eds.). (2025). Harrison's Principles of Internal Medicine (22nd ed., Vols. 1–2). McGraw Hill.
章の要約
第22版は2巻・約4,000ページで、20の部に505章を収める。出版社によれば、本版は構成と内容が大幅に改められ、疾患の各章は標準化された形式をとっている。多くの部はさらに番号付きのセクションに分かれる。
第1部:医学という職業(第1~13章)
冒頭の部は、「医療の実践」、健康増進、ワクチンへの反対とためらい、臨床医学における意思決定、精密医療、疾患のスクリーニングと予防、医療の安全と質、「現代医学における身体診察の価値」、医師のウェルビーイング、診断エラー、人種・民族による格差、倫理的問題、緩和ケアと終末期ケアを扱う。
第2部:疾患の主要症候と臨床像(第14~70章)
症状から入る部で、9つのセクションからなる。疼痛(胸部不快感、腹痛、頭痛、腰痛を含む)、体温の変化、神経系機能の異常(失神、めまい、脱力、昏睡、認知症、睡眠障害)、眼・耳・鼻・咽喉、循環・呼吸機能の変化(呼吸困難、咳、浮腫、動悸、運動耐容能低下)、消化管、腎・尿路、皮膚、血液の変化である。
第3~4部:薬理学、腫瘍学と血液学(第71~123章)
最初に臨床薬理学と薬理ゲノム学の2章がある。腫瘍学と血液学は3つのセクションに分かれる。腫瘍性疾患(第73~100章)、造血系疾患(第101~119章)、止血異常(第120~123章)である。
第5部:感染症(第124~242章)
最大の部で、多くのセクションに分かれる。感染症患者へのアプローチ、微生物の病原性機序とゲノム学に始まり、臨床症候群、細菌感染症の治療、さらにグラム陽性菌・グラム陰性菌から抗酸菌、スピロヘータ、ウイルス、真菌、原虫、蠕虫まで病原体群ごとに進む。
第6~8部:循環器系疾患、呼吸器系疾患、集中治療医学(第243~318章)
循環器疾患は5つのセクションで、序論と診断(身体診察、心電図、画像、カテーテル検査)から、リズム異常、心臓・心筋・弁・心膜疾患、冠動脈・末梢血管疾患へと進む。呼吸器の部は診断と疾患に分かれ、集中治療は呼吸の集中治療、ショックと心停止、集中治療における神経系疾患を扱う。
第9~11部:腎・尿路、消化器系、免疫介在性・炎症性・リウマチ性疾患(第319~387章)
腎の部は、患者へのアプローチと腎生理から、急性腎障害、慢性腎臓病、透析と移植を経て、糸球体疾患、尿細管間質疾患、遺伝性疾患へと進む。消化器の部には、消化管、栄養、肝胆道疾患、膵臓のセクションがある。免疫の部は、健康と疾患における免疫系から、免疫介在性の傷害と関節疾患に及ぶ。
第12~13部:内分泌と代謝、神経疾患(第388~468章)
内分泌と代謝には、内分泌学、性とジェンダーに基づく医学、肥満、糖尿病とメタボリックシンドローム、骨とミネラルの疾患、中間代謝の疾患が含まれる。神経疾患は診断と神経画像で始まり、中枢神経系疾患、神経・筋疾患、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群、精神・嗜癖性疾患が続く。
第14~19部:中毒、環境曝露、遺伝子・環境・疾患、グローバル医療、加齢、コンサルテーション医学(第469~492章)
比較的短い部の集まりで、重金属、薬物過剰摂取、毒液による咬刺傷、高地・潜水・寒冷・熱による障害と気候変動の健康影響、ヒト遺伝学の原理・遺伝子および細胞治療・マイクロバイオーム、グローバルヘルスと新興感染症、加齢の生物学と高齢患者のケア、そして医学的コンサルテーション、妊娠中の内科的疾患、非心臓手術前の評価を扱う。
第20部:臨床医学における新たなトピック(第493~505章)
13章で新しい領域を扱う。ポイントオブケア超音波、行動経済学、補完・統合的療法、プラセボとノセボ効果、エピジェネティクス、概日生物学、ネットワーク医学、新しい神経治療技術、機械学習と拡張知能、メタボロミクス、リキッドバイオプシーとしての循環核酸、タンパク質折りたたみ異常症、原因不明の疾患への新しいアプローチである。
主要概念
第1~4部
- 疾患の主要症候:症状別に編成された章で、症状の生理学的基礎とそれを引き起こす疾患を結びつけることを意図している。
- 意思決定と診断:臨床における意思決定、および診断エラーの低減に関する章(第4章、第10章)。
- 精密医療とスクリーニング(第5~6章)、薬理ゲノム学(第72章)。
第5~20部
- 患者へのアプローチ:多くの部の冒頭章(第124、243、295、311、319、332、388、433章)。
- 鑑別診断のシェーマと決定樹:出版社は、鑑別診断を組み立てるための明快なシェーマ、アルゴリズム、診断樹を強調している。
- 新しい手法:第20部のネットワーク医学、メタボロミクス、機械学習。
批判的分析
長所
- 症状から入れる。 第2部により、呼吸困難、失神、不明熱などの主訴から疾患の章へ進むことができ、診断名からだけでなくベッドサイドの問題からも本書に入れる。
- 一貫した疾患の形式と視覚資料。 出版社は、標準化された疾患の章の形式、3,000点を超える臨床・病理・画像の写真、決定樹と模式図、選び抜かれたアトラスを挙げている。
- 機序と管理の両方。 出版社は、本書を応用病態生理学の情報源とし、具体的な治療レジメンと最新のガイドラインも扱うとしている。
- 単一臓器を超える広がり。 遺伝子と環境、グローバル医療、加齢、新たなトピックの各部が、臓器別の疾患の章を超えて範囲を広げている。
短所
- 非常に大きい。 2巻約4,000ページ、505章で、通読する教科書ではなく参照用の参考書である。
- 構成が新しくなった。 本版は構成が大幅に変更されたため、旧版のノートやページ参照はそのままでは使えない。
- 執筆者が多い。 ほとんどの章に個別の執筆者が示されており、多数の著者による参考書の常として、部によって文体や深さが異なる。
- 新たなトピックは中核ではない。 第20部は動向を知るのに役立つが、章の多くは臨床課程で問われる範囲を超えている。
コースにおける位置づけ
Harrisonは、臨床医学のリストにある2つの大型参考書の1つで、もう1つは『Goldman-Cecil Medicine』である。どちらも成人内科学を完全に扱う。Harrisonは疾患の主要症候を巻頭近くの専用の部に置き、505章・20部であるのに対し、Goldman-Cecilは409章・30部で専門領域別に構成されている。どちらも最初の1冊には向かない。
初学者はより小さな本から始める。『Clinical Medicine: Lecture Notes』は病棟実習を始める学生向けの簡潔な手引きで、病歴、診察、診断を軸にしている。『Macleod's Clinical Examination』は病歴聴取と診察の技能を教える。『Davidson's Principles and Practice of Medicine』は1巻の内科学教科書で、より実用的な最初の通読に向く。『Oxford Handbook of Medical Sciences』は科学的基礎をまとめている。Harrisonはこれらのあとに読み、機序と、症状からの鑑別診断のための、より深い情報源として使う。
本書の使い方
基礎医学(病理学、薬理学、生理学)を終えた読者、すなわち臨床実習中の学生、研修医、現役の医師を対象とする。
- 第1部から始める(特に第4、8、10章)。臨床推論と身体診察のために。
- 第2部は症状別の問題に使う。 症状を選んで該当の章を読み、そこから臓器系の部に進む。
- 各系統の部では、まずアプローチの章を読み、それから個々の疾患の章に進む。
- 第5部は参照用として扱う。 感染して発熱している患者へのアプローチを扱う第124章と第127章から読む。
- 第16部と第20部は、遺伝学や新しい手法の話題が出たときに参照する。
- ガイドラインに基づく記述は、現行の指針と照らして新しさを確認する。
