01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Strachan, M. W. J., Ralston, S. H., Dhaun, N., & Sutherland, R. (2026). Davidson's Principles and Practice of Medicine (25th ed.). Elsevier.
章の要約
第25版は3部・全33章で、約1,400ページある。出版社によれば、本書はStanley Davidson卿の講義ノートに端を発し、75年にわたって刊行されてきた。成人内科の主要な専門分野で最もよく出会う疾患の病態生理と臨床的特徴を述べ、その認識、検査、診断、管理の方法を説明する。図表、臨床写真、放射線・病理画像は1,000点を超える。
第1部 医学の基礎、第1〜2章:Clinical decision-making;Clinical therapeutics and good prescribing(臨床的意思決定;臨床治療学と適切な処方)
医師がどのように意思決定をし、どのように処方するかから始まり、これらを個々の臓器系より前に置いている。
第1部、第3〜6章:Clinical genetics;Clinical immunology;Nutritional factors in disease;Population health and epidemiology(臨床遺伝学;臨床免疫学;疾患における栄養因子;集団の健康と疫学)
臨床実践の科学的・集団的な基盤を扱う4章。出版社によれば、免疫学の章には、生物学的製剤の節が新たに加わり、これらの治療を基礎科学に結びつけている。
第1部、第7〜9章:Principles of infection;Oncology;Palliative and supportive care(感染の原則;腫瘍学;緩和ケアと支持療法)
感染とがんの原則が専門分野の章より前に扱われ、緩和ケアと支持療法も含まれる。出版社はこの部の説明で疼痛管理にも触れ、慢性疼痛の管理に関する新しい指針があると述べている。
第2部 救急・集中治療医学、第10〜13章:Acute medicine and critical illness;Poisoning;Envenomation;Medicine in austere environments(急性期医療と重症疾患;中毒;毒液傷害;過酷な環境での医療)
急性期医療でよくみられる症状と、重症患者の認識と管理を扱い、続いて中毒、毒液傷害、過酷な環境での医療を取り上げる。
第3部 臨床医学、第14〜19章:Infectious disease;Sexually transmitted infections;Cardiology;Respiratory medicine;Nephrology and urology;Clinical biochemistry and metabolic medicine(感染症;性感染症;循環器病学;呼吸器内科;腎臓病学と泌尿器科学;臨床生化学と代謝医学)
専門分野の章の第1群。出版社によれば、この版ではHIV/AIDSが感染症の章に統合された。
第3部、第20〜23章:Endocrinology;Diabetes mellitus;Gastroenterology;Hepatology(内分泌学;糖尿病;消化器病学;肝臓病学)
内分泌と消化器の専門分野で、糖尿病は独立した章になっている。
第3部、第24〜28章:Haematology and transfusion medicine;Rheumatology and bone disease;Dermatology;Neurology and stroke medicine;Medical ophthalmology(血液学と輸血医学;リウマチ学と骨疾患;皮膚科学;神経学と脳卒中医学;内科的眼科学)
その他の専門分野。出版社によれば、脳卒中医学は神経学の章に統合された。
第3部、第29〜33章:Medical psychiatry;Maternal medicine;Adolescence, transition and young adult medicine;Older adult medicine and frailty;Laboratory reference ranges(内科的精神医学;母体医学;思春期・移行期・若年成人の医学;高齢者医療とフレイル;検査基準値)
最後の章は、精神医学、妊娠中の医療、思春期と若年成人、フレイルのある高齢者を扱う。巻末は検査基準値の章で終わる。
主要概念
第1部:基礎(第1〜9章)
- 臨床的意思決定:臨床像から診断と方針へ至る推論(第1章)。
- 適切な処方:薬を安全に選び使うための原則(第2章)。
- 集団の健康と疫学:疾患を集団の視点から見ること(第6章)。
- 緩和ケアと支持療法:重い病気や進行した病気の人へのケア(第9章)。
第2部:救急・集中治療(第10〜13章)
- 急性期医療と重症疾患:急性疾患や重症の患者を認識し管理すること(第10章)。
- 中毒と毒液傷害:有毒物への曝露への対応(第11〜12章)。
- 過酷な環境での医療:通常の医療環境の外での診療(第13章)。
第3部:臨床医学(第14〜33章)
- Presenting Problems(主訴からのアプローチ):出版社の用語で、各専門分野で最も多い訴えの評価の道筋を示す節。
- 高齢者医療とフレイル:高齢者のケア(第32章)。
- 思春期・移行期・若年成人の医学:小児科から成人診療への移行にまたがるケア(第31章)。
批判的分析
長所
- 各専門分野の章に明確な教育的構成がある。 出版社は、臨床診察の概説、Presenting Problems、実践ポイントのまとめ、救急ボックスに加え、「高齢者では」「妊娠中では」「思春期では」というボックスを挙げている。これらは、各集団で診療がどう異なるか、内科・産科・小児科のサービスがどこでつながるかを示す。
- 専門分野より先に科学を置く。 第1部が臓器系より前に、遺伝学、免疫学、感染、集団の健康、腫瘍学、緩和ケアを提供し、臨床の各章に共通の土台を与える。
- 救急と極限環境の医療を独立した部にしている。 第2部は、急性期医療、中毒、毒液傷害、過酷な環境での医療をまとめている。
- 視覚資料が豊富。 1,000点を超える図表、臨床写真、放射線・病理画像があり、この版では専任の画像担当編集者も置かれて、記述を支えている。
- 自己評価。 付属の電子書籍には、各章の要点を試す150問を超える問題と解答がある。
短所
- 分量が大きい。 約1,400ページ・33章は、臨床の最初の年の学生にはとても大きな本で、通常は全体を通読するのでなく、授業が指定した章を読むことになる。
- 成人内科に限られる。 出版社は内容を成人内科の主要な専門分野と説明している。目次に外科や小児科の章はなく、妊娠と思春期は、母体医学と思春期の章、および「妊娠中では」「思春期では」のボックスを通じて現れる。
- 診察は要約であり、全面的な教育ではない。 臨床診察の概説は各系統の主な要素を要約している。技術をより詳しく学びたい学生には、Macleod's Clinical Examination のような専門書が必要である。
- 自己評価問題は電子書籍にある。 この150問余りの問題は、印刷されたページではなく付属の電子書籍の一部とされている。
コースにおける位置づけ
臨床医学コースでは、本書は1冊にまとまった内科学の主要な教科書で、臨床の学年に自然に合う。Clinical Medicine: Lecture Notes は、病歴聴取、診察、診断を身体の系統別に述べた簡潔な手引きで、病棟実習を始める学生向けである。Macleod's Clinical Examination は病歴と身体診察を詳しく教える。この2冊は、Davidsonの前か並行して読むのがよい。Oxford Handbook of Medical Sciences は医学の科学的基盤を扱うコンパクトな手引きで、第1部の各章を補う。
もう一方の側には、Goldman-Cecil Medicine と Harrison's Principles of Internal Medicine がある。どちらもすべての専門分野を扱う2巻本の参考書で、最初に通読するものではなく、調べるためのものである。Davidsonは、講義ノートの水準とこれらの参考書の間に位置する。
本書の使い方
本書は、臨床実習に入る学生、研修医、その他の医療専門職向けに書かれている。臨床前の解剖学、生理学、病理学、薬理学を修めていることを前提とする。
実践的な読み方:
- 第1部から始める: 第1章と第2章は、後のすべての章の意思決定と処方の枠組みになるので、早い時期に通読する価値がある。
- 実習の順に進む: 第3部の専門分野の章は、実習が回ってくるのに合わせて読み、各章でまず臨床診察の概説とPresenting Problemsを読んでから疾患の節に進む。
- 急性期には第2部: 第10章と救急ボックスが、急性に具合の悪い患者に最短でたどり着く道筋である。
- 検査値の確認: 第33章に基準値が載っている。
- 自己テスト: 各章を読んだ後で電子書籍の問題を使い、出版社が学生と研修医が身につけるべきとする技能について、実践ポイントのまとめを読む。
