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Neuroanatomy through Clinical Cases(臨床症例で学ぶ神経解剖学) cover

医学

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Neuroanatomy through Clinical Cases(臨床症例で学ぶ神経解剖学)

Hal Blumenfeld

英語原題: Neuroanatomy through Clinical Cases

実際の患者の症例を通して神経系の構造を教える臨床神経解剖学の教科書。各部位と伝導路を説明した後、病歴と診察から病変部位を推定させる症例に当てはめ、脳画像で裏づける。これにより、解剖学、神経学的診察、診断を一体として学べる。

前提知識: 基礎的な人体解剖学と生理学。神経科学の予備知識があると役立つが必須ではない。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Blumenfeld, H. (2021). Neuroanatomy through Clinical Cases (3rd ed.). Sinauer Associates (Oxford University Press).

章の要約

本書は19章と短いエピローグから成る。出版社の説明によれば、各章は二つの部分に分かれる。前半は背景の解説で、関連する神経解剖学的構造と伝導路の概観、および関連する臨床疾患の簡単な議論から成る。後半は臨床症例群である。各症例は、患者がどのように症状を発症し、神経学的診察で何が見つかったかの記述で始まり、一連の問いによって病変の位置と診断を推論させたうえで、解説と解答で結果を明らかにする。出版社は、実際の症例が100例を超え、画像検査の写真が添えられていると述べている。

第1~4章:臨床症例提示への導入;神経解剖学の概観と基本用語;神経解剖学の学びとしての神経学的診察;臨床神経放射線学への導入

冒頭の章は本書の方法を整える。症例の提示のしかた、神経解剖学の基本的な用語、特定の解剖学的系統を調べる検査として読み解く神経学的診察、そして病変を可視化する神経画像への導入である。出版社の付属サイト neuroexam.com は、診察の各手順を示す動画を提供し、各手順がどの解剖学的系統を調べているかを説明している。

第5~9章:脳とその周辺:頭蓋、脳室、髄膜;皮質脊髄路とその他の運動路;体性感覚路;脊髄神経根;主要な神経叢と末梢神経

これらの章は、脳を取り巻く保護構造から、長い運動路と感覚路へ、さらに末梢神経系へと進む。出版社が公開している第6章のサンプル資料から取り扱いの雰囲気がわかる。運動野と体性感覚野の図、脊髄の断面と動脈血供給、内包と下行性運動路の図、上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害の徴候を比べた表、片麻痺・単麻痺・対麻痺・四肢麻痺などの麻痺パターンの図、さらに梗塞やその他の病変の画像である。

第10~14章:大脳半球と血管支配;視覚系;脳幹 I:表面解剖と脳神経;脳幹 II:眼球運動と瞳孔制御;脳幹 III:内部構造と血管支配

本書の中盤では、大脳半球とその血液供給、視覚系、そして3章に分けた脳幹を扱う。脳幹の3章は、外表面の解剖と脳神経、眼球運動と瞳孔制御、内部構造と血管支配である。目次の中で3章続けて扱われる主題は脳幹だけである。

第15~19章とエピローグ:小脳;大脳基底核;下垂体と視床下部;大脳辺縁系:ホメオスタシス、嗅覚、記憶、情動;高次脳機能;エピローグ:心の簡単な作業モデル

最後の各章は、小脳、大脳基底核、下垂体と視床下部、大脳辺縁系を扱い、高次脳機能で締めくくる。エピローグでは心についての簡潔な作業モデルが示される。

主要概念

第1~4章:方法と道具

  • 病変の局在診断:本書の中心となる技能で、病歴と診察から損傷部位を推論すること。
  • 応用解剖学としての神経学的診察:第3章の題名は、診察を神経解剖学の学びとして位置づけている。
  • 臨床神経放射線学:第4章は、病変の位置を確認するための画像検査を紹介する。

第5~9章:周辺構造、伝導路、末梢

  • 頭蓋、脳室、髄膜:脳を包む膜と液腔(第5章)。
  • 皮質脊髄路とその他の運動路:その障害が第6章の麻痺パターンを生じる下行路。
  • 体性感覚路:身体感覚を伝える上行路(第7章)。
  • 脊髄神経根、神経叢、末梢神経:中枢性病変から末梢性病変への移行(第8~9章)。

第10~19章:領域と系統

  • 大脳半球と脳幹の血管支配:第10章と第14章の題名に示される。
  • 脳神経、眼球運動、瞳孔制御:第12~13章の脳幹の内容。
  • 小脳と大脳基底核:第15~16章の運動制御に関わる構造。
  • 大脳辺縁系と高次脳機能:第18~19章。

批判的分析

長所

  • 各章に症例形式が組み込まれている。 出版社が説明する固定した型は、背景の解説に続いて、読者が病変を推論するまで答えを示さない症例が置かれるというものである。問題解決を通じて学ぶ学生にとって、神経内科の実習で試される技能を定期的に練習できる。
  • 伝導路と領域を軸にした配列。 目次では運動路・感覚路・神経根・神経叢(第6~9章)が各領域の章より前に置かれ、脳幹には独立した3章が与えられている。そのため、病変の局在診断で通常使われる順序に近い形で構造に出会える。
  • 診察と画像が解剖学と並んで教えられる。 第3章と第4章により、神経学的診察と神経放射線学が臨床科目に任されることなく本書の中に位置づけられ、出版社の付属サイトには診察の動画もある。
  • デジタル学習資料。 出版社のサイトによれば、拡張版電子書籍には、章ごとのインタラクティブな図と表、復習問題、インタラクティブな簡易解剖学習ガイドがあり、第6章はサンプルとして利用できる。教員向け資料には症例検討会のスライドと配布資料が含まれる。

短所

  • 分量。 書誌情報では第3版は約1,030~1,056ページとされている。症例中心の授業では深さは歓迎されるが、短い入門単元には重い。
  • 第2版は文字が多いと評された。 学習サイト Kenhub の書評は、その版について、ページが文字で密でイラストが比較的少なく、組み込みの復習テストも限られていると判断した。第3版は全面的に更新され、デジタル要素が強化されたと説明されているが、印刷レイアウトそのものは購入前にサンプルで確かめる価値がある。
  • 素早く引ける参考書ではない。 学びが物語形式の症例を通じて行われるため、試験前に一つの伝導路だけを手早くまとめたい学生には、短い図解テキストのほうが見渡しやすい。

コースにおける位置づけ

神経科学のコースリストの中で、本書は臨床志向の神経解剖学の教科書である。Snell's Clinical Neuroanatomy は神経系を、体系的な一連の章(神経系の構成、ニューロン、脊髄、脳幹、小脳など)で扱い、臨床症例と復習問題を備えているので、二冊は代替として使える。Snell の章は構造と系統ごとに整理されているのに対し、Blumenfeld はすべての主題を症例と組み合わせている。Neuroanatomy: Illustrated Colour Text や Neuroanatomy and Neuroscience at a Glance のような短い図解書は、見開き単位の項目で神経系の見取り図を手早く与えるので、最初の通読や直前の復習に向く。

解剖の背後にある細胞や系統の科学については、コース内のより広い神経科学の教科書(Purves らの Neuroscience、Bear、Connors、Paradiso の Neuroscience: Exploring the Brain、無料の Foundations of Neuroscience)が併読書になる。これらはニューロンがどのように信号を伝えるか、感覚系と運動系がどのように働くかを説明している。Blumenfeld の目次には細胞神経生理学の章がないため、これらがその部分を補う。

本書の使い方

出版社が想定しているのは、基礎的な神経解剖学・神経生物学・神経科学の授業を受ける医学部1、2年生であり、高学年の医学生、研修医、理学療法から歯学までの他の医療系専攻の学生も対象に含まれる。基礎課程の学生向けと位置づけられているため、事前の神経解剖学の知識は前提とされない。

実際的な進め方は次のとおり。まず第1~4章を読み、症例の仕組みと、診察および画像が解剖学とどう結びつくかを理解する。そのうえで本書の順に伝導路と領域を進み、各章の背景部分を読み、関与する伝導路を自分で描き、解説を読む前にすべての症例の問いを紙の上で解いてみる。神経内科に重点を置く授業では、第6、7、12~14、15~16章がもっとも手をかける価値がある。エピローグと高次機能に関する最後の章は最後に読むか、発展学習に使えばよい。第3章には neuroexam.com を併用し、使用中の版に拡張版電子書籍が付属していれば、その復習問題と学習ガイドも活用するとよい。