01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Bryant, V. (1990). Yet Another Introduction to Analysis. Cambridge University Press.
章の要約
本書は大学に入ったばかりの学生のための実解析の最初の課程であり、学生が学校ですでに知っている微積分から自然に展開するように設計されている。序文によれば、著者の以前の著書である距離空間の本(2年次向け)の読者から、同様の1年次向けの本を薦めてほしいという要望が寄せられ、本書はその答えである。全体は5つの章と、演習問題の長い解答部分からなり、会話的な一人称の文体で書かれている。目次は各章を、その章が答えようとする短い問いのリストで紹介している。
第1章:確かな基礎
問いは、なぜ数から始めるのか、小学校の算術でどこまで進めるのか、どんな仮定が追加で必要か、である。この章は、x²、|x|、整数部分の関数について微分と積分を計算することから始まり、関数の研究は数の研究から始めなければならないと論じる。整数と有理数についての小学校の算術は既知として受け入れ、2乗して2になる有理数が存在しないことを証明し、そのうえで完備性の公理(「はさまれた数」の性質)を導入して2の平方根を得る。続いて上限、有界集合、整数の集合の最大元と最小元、数学的帰納法の原理が扱われ、章の最後はeとπで、eが無理数であることの証明を含む。演習は節の間に置かれ、解答は巻末にある。
第2章:少しずつ前へ
問いは、なぜ数列が必要なのか、数列はどう振る舞うのか、無限和を求めるのにどう役立つのか、である。この章は24ページから74ページまでである。
第3章:関数的アプローチ
問いは、おなじみの関数は何を意味するのか、どう振る舞うのか、互いにどう関係するのか、である。約70ページと最も長い章で、題名と問いは、おなじみの関数の体系的な研究を示している。
第4章:ついに微積分
問いは、勾配をどう求めるのか、それがどう微分につながるのか、微分が平均や近似を求めるのにどう役立つのか、である。題名は、微分が前の章までの準備のあとにようやく現れることを示唆している。
第5章:統合された結論
問いは、グラフの下の面積をどう定義するのか、それがなぜ微分と関係するのか、である。本書における積分と、積分と微分の関係の扱いである。
演習問題の解答
約70ページ、本の約4分の1が演習問題の解答に充てられている。
主要概念
第1章:確かな基礎
- 無理数:2乗して2になる有理数 x が存在しないことを示し、有理数には隙間があることを明らかにする。
- 完備性の公理:空でない二つの集合LとMが、Lのすべての l とMのすべての m について l ≤ m を満たすなら、両者の間にある実数が存在する。
- 上限:有界集合の最小上界。
- 数学的帰納法の原理:空でない正の整数の集合には最小元があるという事実から、この章で導かれる。
第2~5章
- 数列と無限和、関数、勾配と微分、グラフの下の面積は、章題と冒頭の問いに現れる対象である。
批判的分析
長所
- 定義の前に動機づけがある。 出版社は、各概念はその必要性が明らかになり、非形式的に使われたあとで初めて導入され、新しい考えは学校で学ぶ話題と結びつけられると述べている。第1章の冒頭はこれに沿っており、三つの簡単な微積分の計算から、実数の正確な像が必要であることへと導かれる。
- 読者の参加が前提になっている。 演習は章の中に置かれ、本文は解答を見る前によく考えるよう促す。解答は巻末にまとまった分量で収められている。出版社によれば、読者は各段階を導かれるので、まもなく次の段階を自分で予想できるようになる。
- 出発点が明確。 第1章は、小学校の算術を前提とし、さらに完備性という仮定をひとつ加えることをはっきり述べており、後の結果はこれらの仮定に基づく。
- 1年次の学生を対象とする。 序文は、本書を1年次向けの教科書と位置づけ、学校数学の改革のあとで入学する学生が以前とは異なる期待をもつと述べる。著者の以前の距離空間の本は2年次向けとされている。
短所
- 実数は仮定され、構成されない。 本書は、述べられた算術と完備性の公理から出発する。実数の構成を求める読者は別の資料が必要である。
- 一変数で、位相は扱わない。 目次には距離空間や多変数関数の章はない。序文は、著者の別の本である2年次向けの距離空間の本に言及している。
- 主題から探しにくい。 目次は節の見出しではなく問いを添えた5つの章を挙げるだけなので、特定の定理を探すには索引に頼ることになる。
- 時代に結びついた記述。 序文の議論は、イギリスの学校改革とGCSE試験を前提としており、読者によっては1年次の学生の像が当てはまらないことがある。
コースにおける位置づけ
ブライアントの特色は、各概念を学校の微積分から動機づけることにある。ララ・アルコックの How to Think About Analysis は、定義と証明の読み方を説明する学習ガイドで、どの教科書とも併用できる。R・P・バーンの Numbers and Functions: Steps into Analysis は800を超える問いからなり、読者が問いを解いて進む点で、ブライアントより能動的な形式である。スティーブン・アボットの Understanding Analysis は、各章の冒頭に動機づけの議論をもつ、最初の厳密な課程向けの学部教科書で、実数直線の基本的な位相と関数列・関数項級数の章を加えており、自然な次の一歩となる。バートルとシャーバートの Introduction to Real Analysis は、数列、極限、連続性、微分、リーマン積分、関数列を順に扱い、ルディンの Principles of Mathematical Analysis は距離空間に基づく簡潔で厳密な本で、多変数にも及ぶ。どちらもブライアントより形式的である。
本書の使い方
本書は、学校の微積分を学んだ、最初の解析学の課程の初めにいる学生を対象とする。問いに取り組む意欲のほかに必要なものはほとんどない。
第1章から始め、演習も含めて丁寧に読む。この章は本書の残りで用いる仮定を定め、完備性の公理と帰納法を導入する。第2~5章は順に進む。章題が、数列から関数、微分、積分へと続く一つの流れを示しているからである。
巻末の解答を開く前に、各演習に取り組み、解答で自分の推論を確かめる。読み終えたら、アボット、バートルとシャーバート、ルディンのように、位相と関数列をより詳しく展開するもっと形式的な本へ進むとよい。
