01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Weeks, J. R. (2020). The Shape of Space (3rd ed.). CRC Press (Chapman & Hall).
章の要約
第3版は約350ページ、194点のカラー図版を含み、4つの部と20の短い章からなる。そのあとに演習の解答、参考文献、コンウェイのZIP証明を収めた付録が続く。出版社は本書を、2次元と3次元の空間の幾何とトポロジーの基礎を扱う気軽な教科書であり、読者が私たちの宇宙のありうる形を思い描けるよう助けるものだと説明している。出版社によれば、この版で新しくなったのは、全編カラーの図、代数的な証明に代わる「絵による証明」、曲面へのより簡単なハンドルとクロスキャップによるアプローチ、そして宇宙論についての更新された議論である。著者はフリーランスの幾何学者でマッカーサー・フェローであり、その仕事は純粋数学、宇宙論、一般向けの解説にまたがっている。
第I部:曲面と3次元多様体
8つの章からなる:Flatland(フラットランド)、Gluing(貼り合わせ)、Vocabulary(用語)、Orientability(向き付け可能性)、Classification of Surfaces(曲面の分類)、Products(積)、Flat Manifolds(平坦な多様体)、Orientability vs. Two-Sidedness(向き付け可能性と両側性)。この部は2次元の世界という考えと、多角形の辺を貼り合わせて空間を作ることから始まり、本書の残りで使う用語を整える。向き付け可能性と曲面の分類を扱い(出版社が挙げるハンドルとクロスキャップによるアプローチを用い、コンウェイのZIP証明は付録に収める)、積空間と平坦な3次元多様体によって3次元へ進み、最後に向き付け可能性と両側性を区別する。
第II部:曲面上の幾何
4つの章からなる:The Sphere(球面)、The Hyperbolic Plane(双曲平面)、Geometries on Surfaces(曲面上の幾何)、Gauss-Bonnet Formula and Euler Number(ガウス–ボネの公式とオイラー数)。ここでトポロジーに幾何が加わる。球面と双曲平面のあと、それぞれの曲面がどの幾何をもちうるかを問い、曲面の曲率とオイラー数を結びつけるガウス–ボネの公式で終わる。
第III部:3次元多様体上の幾何
6つの章からなる:Four-Dimensional Space(4次元空間)、The Hypersphere(超球面)、Hyperbolic Space(双曲空間)、Geometries on Three-Manifolds I(3次元多様体上の幾何 I)、Bundles(束)、Geometries on Three-Manifolds II(3次元多様体上の幾何 II)。同じ問いを1つ上の次元で問う。4次元空間で読者に準備をさせ、曲がった3次元のモデルとして超球面と双曲空間を導入し、3次元多様体がもちうる幾何を、束についての章をはさんだ2つの章で概観する。
第IV部:宇宙
2つの章からなる:The Universe(宇宙)、The History of Space(空間の歴史)。本書はそれまでの考え方を宇宙論、すなわち私たち自身の宇宙がどのような形をしているかという問いに適用して終わる。出版社によれば、この議論はこの版で更新されている。
主要概念
第I部:曲面と3次元多様体
- 貼り合わせ:多角形の辺や立体の面を同一視して空間を作ること。一方の側から出たものが別の側から戻ってくる。
- 向き付け可能性:メビウスの帯のように、左右を反転させる道が空間の中にあるかどうか。
- 曲面の分類:閉曲面はすべて、ハンドルまたはクロスキャップを付けた球面であるという結果。
- 3次元多様体:各点の近くで通常の3次元空間のように見える空間。積や平坦な多様体を含む。
第II部:曲面上の幾何
- 球面幾何と双曲幾何:一定の正の曲率と一定の負の曲率をもつ幾何。
- オイラー数:頂点、辺、面の数から求められ、曲面を区別する量。
- ガウス–ボネの公式:曲面の全曲率とオイラー数とを結ぶ関係で、曲面がもちうる幾何を制限する。
第III–IV部:3次元の幾何と宇宙
- 4次元空間と超球面:曲がった3次元空間を思い描くために使われる高次元の設定。
- 双曲空間:一定の負の曲率をもつ3次元の幾何。
- 束:底空間とファイバーから組み立てられる空間で、3次元多様体上の幾何を記述するのに使われる。
- 宇宙の形:これらの考えを、空間そのもののありうるトポロジーと幾何に適用すること。
批判的分析
長所
- 形式より先に視覚的な直観。 出版社は、絵による証明、全編カラーの図、くだけた説明を強調している。本書はトポロジーの中心的な考え方(貼り合わせ、向き付け可能性、分類)と幾何の考え方(曲率、ガウス–ボネ)を図によって組み立てており、出版社は多くの大学・大学院のカリキュラムに欠けている直観的な例を挙げている点を強調している。
- 3次元多様体まで到達する。 本書は曲面で止まらない。4つの部のうち2つが曲面を越えて、超球面、双曲空間、3次元多様体の幾何へ進み、最後の部はそれらを宇宙論に結びつける。
- 解答付きの演習。 出版社は演習を強調しており、付録Aに解答があるので、独学にも使える。
- 著者によるソフトウェア。 著者は、同じ考え方を探究できる無料のプログラムを配布している。子どもをはじめ多重連結空間に初めて触れる人向けの Torus Games と、3次元多様体を学ぶ学生向けの、多重連結な3次元宇宙を飛ぶフライトシミュレーター Curved Spaces である。
短所
- 厳密な授業ではない。 代数的な証明の代わりに絵による証明を用いるため、本書が与えるのは直観であって、位相空間論や代数的トポロジーの定義と証明ではない。出版社も、数学の学生にとっては形式的な教科書を補う本として位置づけている。
- 更新が必要な宇宙論の部分。 出版社は、この版で宇宙論の議論を更新する必要があったと述べている。この部分は最新の観測に依存するので、読者は最近の成果を確かめるとよい。
- 代数的な側面はほとんど扱わない。 目次には基本群、ホモロジー、その他の代数的不変量の章がなく、本書は代数的トポロジーのための直観は養うが、その手法は教えない。
コースにおける位置づけ
本書は、Richard Earl の Topology: A Very Short Introduction と並んで、トポロジーと幾何のコースの出発点に位置する。Earl はグラフや結び目から曲面までこの分野の考え方をずっと短く概観する本であり、Weeks は曲面と3次元空間にさらに踏み込み、演習と解答も備えているので、学生を好奇心から例の本当の理解へと導くことができる。
形式的な本はそのあとに続く。Wilson Sutherland の Introduction to Metric and Topological Spaces は距離空間からトポロジーを組み立て、James Munkres の Topology は位相空間論を扱ったあと基本群に進む。著者のサイトで無料公開されている Allen Hatcher の Algebraic Topology は、基本群、ホモロジー、コホモロジーを展開する。Weeks は、それらの定義の背後にある図を与えてくれる。商空間のための貼り合わせの図、曲面の分類、そして多くの標準的な例である。
本書の使い方
出版社は幅広い読者を挙げている。教養課程の学生、形式的な教科書を補う直観的な理解を求める数学の学部生・大学院生、そして独学する一般読者である。学校で学ぶ幾何と代数が妥当な出発点である。
第I部は、紙とはさみを手元に置き、順にゆっくり読むとよい。貼り合わせの図を作り、向き付け可能性を手で確かめることが、これらの考え方に入る最良の方法である。第II部は自然に続く。トポロジーと幾何を結びつけるガウス–ボネの章には時間をかけること。4次元空間から3次元多様体の幾何へと登っていく第III部は最も難しく、読み返す価値がある。第IV部は結びとして読めるが、宇宙論だけに関心がある読者も、まず第I部と第II部を読むべきである。
読みながら演習に取り組み、付録Aで答えを確かめること。第I部を読むあいだは Torus Games を、第III部と第IV部を読むあいだは Curved Spaces を使い、本書が描く空間に住むとはどういうことかを内側から見てみるとよい。
