01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Choo, A. L-T. (2018). Evidence (5th ed.). Oxford University Press.
章の要約
本書は全14章、本文は約400ページである。イングランドおよびウェールズの民事・刑事の証拠法を扱い、一般原則から出発して、特定の資料を排除または保護する規則を経て、品性、伝聞、専門家、証人に関する規則へと進む。
第1章:導入
冒頭の章は、全体で用いられる用語を整理する。争点事実、関連性、許容性と証明力、直接証拠と間接証拠、供述証拠と物的証拠、そして排除規則と裁判官の裁量の区別である。陪審審理と1998年人権法が証拠法をどのように形づくっているかも検討される。
第2章:立証責任と証明の程度
どの当事者が何を、どの程度まで証明しなければならないかを問う章である。法的な立証責任と証拠提出責任の区別、刑事事件における責任の転換、刑事と民事の証明基準の対比が扱われる。
第3章:証拠調べの経過
審理の流れに沿って進む章である。当事者対抗主義の伝統を中心に据え、主尋問、反対尋問、再主尋問と、各段階を規律する規則を説明する。
第4章:自白
自白は、その排除規則を通じて扱われる。必要的排除、裁量的排除、先行する汚染された自白が後の自白に及ぼす影響、被告人に精神上の障害がある場合に必要な警告である。複数の被告人がいる事件での自白と、許容性を判断するための voir dire(陪審不在の審問)も取り上げられる。
第5章:黙秘権と自己負罪拒否特権
黙秘権と自己負罪拒否特権の背後にある原則、これらを制約する制定法上の変更、欧州人権条約の影響を検討する。議論の主な場面は警察の取調べと法廷手続である。
第6章:識別証拠
目撃による識別とその誤りの危険を扱う短い章(約16ページ)。ターンブル・ガイドライン、裁量的排除、識別手続における写真や映像の利用が含まれる。
第7章:捜査における不当行為:欧州人権条約違反と潜入捜査
不当または違法な手段で得られた証拠を排除すべきかを検討する。条約違反や潜入捜査も含まれる。中心的な問いは、警察の不正行為の抑止と、信頼できる証拠の排除とをどう均衡させるかである。
第8章:公益免責とその関連事項
公益免責は、その展開、類型的主張と内容に基づく主張、秘密保持と公正な裁判との衡量を通じて扱われる。章の終わりでは、秘密保持の問題と2000年情報自由法に触れる。
第9章:法律専門家の秘匿特権
法律専門家の秘匿特権の範囲と限界を示し、続いて without prejudice の交渉、その他の職業上の特権、特権が失われる場合を扱う。
第10章:品性証拠
民事・刑事手続における品性証拠を検討する。良い品性と悪い品性を分けて扱い、こうした証拠が陪審に与えうる影響にも注意が払われる。
第11章:伝聞証拠
民事・刑事における伝聞法則、その例外、制定法による改革を説明するとともに、この法則を維持する価値があるかをめぐる継続的な議論と、例外の適用の難しさを論じる。
第12章:専門家証拠
専門家証拠がいつ許容されるか、事実と意見の境界、専門家による伝聞の利用、専門家証拠の提示方法、対立する専門家間の衝突、専門家報告書の開示を扱う。
第13章:証人
最も長い章(約50ページ)で、証人適格と証言強制、補強証拠の要件、とりわけ脆弱な証人の負担を軽減する措置を扱う。
第14章:立証の代替的な経路
最終章は、通常の方法で証拠を提出せずに行う立証、すなわち正式な自認、裁判所による顕著な事実の認知、推定を扱う。
主要概念
第1〜3章:導入/立証責任と証明の程度/証拠調べの経過
- 関連性、許容性、証明力:証拠は争点事実に関わり、法的に受け入れられるものでなければならず、そのうえで事実認定者がその価値を評価する。
- 排除規則と裁量:自動的に排除される証拠もあれば、採用が不公正になると裁判官が判断した場合にのみ排除される証拠もある。
- 法的責任と証拠提出責任:前者はある事実を証明する責任、後者は争点を成立させるのに足りる証拠を提出する責任である。
- 証明の基準:刑事と民事で基準が異なり、それぞれの手続の帰結の違いを反映している。
第4〜7章:自白/黙秘権/識別証拠/捜査における不当行為
- voir dire:陪審のいない場で行う審問で、自白など争いのある証拠を聴取できるかを決める。
- 自己負罪拒否特権:自らの訴追につながりうる証拠の提出を強制されないための保護。
- ターンブル・ガイドライン:誤った識別に基づく誤判の危険を減らすための裁判官の指示。
- 不当に得られた証拠:違法または不公正な捜査で得られた資料で、排除するかどうかは信頼できる立証の価値との衡量による。
第8〜9章:公益免責/法律専門家の秘匿特権
- 類型的主張と内容に基づく主張:国家が一定の資料の開示を拒むべきだと主張する二つの方法。
- 法律専門家の秘匿特権:弁護士と依頼者の間の秘密の通信を守る保護で、失われたり放棄されたりすることがある。
第10〜12章:品性/伝聞/専門家
- 悪い品性の証拠:人の過去の行為に関する資料で、偏見を生じさせる影響があるため、限られた経路でしか許容されない。
- 伝聞:内容の真実性を証明するために提出される法廷外の供述で、原則として排除されるが、制定法とコモン・ロー上の例外により許容される。
- 事実と意見:専門家がいつ意見を述べてよいかを決める区別。
第13〜14章:証人/立証の代替的な経路
- 証人適格と証言強制:ある人が証言できるか、また証言を強制されうるか。
- 裁判所による認知と正式な自認:完全な立証を経ずに事実を確定する方法。
批判的分析
長所
- 規則だけでなく理由も説明する。 出版社は、民事・刑事の証拠法の中核的な原則を明快に説明するとともに、法の根底にある根拠を探ることを狙いとしている。たとえば黙秘権と捜査における不当行為の章は、競合する目的の衡量として組み立てられており、規則を暗唱するだけでなく論証しなければならない読者に役立つ。
- より広い資料。 著者は関連する箇所で比較法、法社会学、実証研究の資料を用いており、詳細な脚注と推薦文献一覧がさらなる資料への手がかりになる。小論文の作成に向いている。
- 人権が法理に組み込まれている。 1998年人権法と欧州人権条約は導入の章に現れ、黙秘権と捜査における不当行為の章で繰り返し登場する。この主題が別の章に隔離されていない。
- 見通しのよい構成。 原則から個別の規則へと進む14章は、証拠法の講義計画に対応させやすい。
短所
- 版。 2018年版であり、その後第6版が刊行されている。伝聞、悪い品性、脆弱な証人に関する規則は、判例や規則の改正で動く分野である。実務に用いる前に最新版を確認すること。
- 深さの不均等。 識別証拠(約16ページ)と公益免責(約14ページ)は、伝聞、専門家証拠、証人の各章よりずっと短い。講義でこの二つに時間をかける場合は補う資料が要る。
- 法域。 扱うのはイングランドとウェールズである。比較資料は議論のために用いられ、他の法制度を学ぶための基礎にはならない。
- 完全な体系書ではない。 本文は約400ページで学生向けの教科書であり、条文ごとの詳しい注釈を必要とする読者は、より大部の書物を使う必要がある。
コースにおける位置づけ
Chooの本は、実定法の規則と並んで批判的な議論も求める証拠法の入門コースに向く。MundayのEvidenceはより簡潔な中核教科書で、各章の冒頭に要約、章末に自己テストがあり、復習にはより軽い選択肢である。KeaneとMcKeownのThe Modern Law of Evidenceは、刑事・民事の手続と近年の改革が提起する政策上の問題を扱うコース教科書で、主教材としての近い代替になる。McGourlay、Thomas、GowerのEvidence: Law and Contextは、規則をその政治的・理論的・政策的背景の中に置いており、法の背後にある理由を知るための併読書として向く。
さらに読み進めるなら、RobertsのRoberts & Zuckerman's Criminal Evidenceは刑事の規則を公判手続の一部として扱い、明示された原則に照らして評価する。DennisのThe Law of Evidenceは、この分野の展開と法理をより充実した学術的研究として論じる。いずれもChooの次に進む自然な一冊である。
本書の使い方
本書は、証拠法を初めて学ぶ法学部生、そして論証中心で分量の扱いやすい叙述を求める読者に向いている。
実践的な進め方は次のとおりである。
- 中核: まず第1〜3章。以後のすべての章が使う用語と審理の順序が示される。続いて第4、10、11章(自白、品性、伝聞)。一般的な証拠法の講義では、これらの比重が大きい。
- 選択: 第5〜9章は、講義計画に応じてどの順序でもよい。第5章と第7章は、いずれも捜査における被疑者の扱いに関わるのでまとめて読み、第8章と第9章は開示からの二つの主要な保護としてまとめて読むとよい。
- その後: 第12〜14章(専門家、証人、立証の代替的な経路)。第13章は、第3章の証拠調べに関する規則と照らして読む。
脚注は取捨選択して使う。小論文の主題について数点の文献を選べばよく、すべての参照を追う必要はない。各章について、規則とその根拠を一、二文で述べる練習をし、現在の状態は最近の判例集と刑事訴訟規則(Criminal Procedure Rules)で確かめる。
