01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Dennis, I. H. (2017). The Law of Evidence (6th ed.). Sweet & Maxwell.
章の要約
背景と方法
本書は、イングランドおよびウェールズの証拠法を、教義としてだけでなく、理論的な背景の中で理解すべき規則の体系として扱う。出版社の説明によれば、教義の分析に、証拠理論、情報処理と検索に関する心理学研究、警察捜査に関する法社会学的研究、陪審研究を組み合わせ、人権判例の影響も検討している。全体は四部構成で、証拠の流れに沿って、基礎、証拠の取得、法廷への提出、そして使用を制限する排除則の順に進む。第6版は、自己負罪拒否特権、自白、証人尋問、伝聞、悪性格証拠に関する判例を更新し、脆弱な証人に関する新しい文献を取り込み、専門家証拠の規則の変更を反映している。
第1部:証拠を理解する
- 証拠法入門(An Introduction to the Law of Evidence)。 実質性、関連性、許容性を紹介し、民事手続と刑事手続の違いや、改革と判例による法の発展を扱う。
- 証拠法の目的(The Aims of the Law of Evidence)。 裁判の合理主義モデル、個人の権利の位置づけ、1998年人権法の影響を示し、正確な事実認定と公正さその他の価値をどう均衡させるかを問う。
- 関連性と許容性(Relevance and Admissibility)。 論理的関連性、排除則、刑事裁判で証拠を排除する裁判官の裁量を扱い、1984年警察・刑事証拠法78条も含む。
- 事実と事実認定(Facts and Factfinding)。 事実問題と法律問題を区別し、事実認定に対する法的統制と、ウィグモア分析、数学的手法、物語的説明を含む事実認定の理論を検討する。
第2部:証拠を取得する
- 自己負罪拒否特権と黙秘権(The Privilege Against Self-Incrimination and the Right to Silence)。 特権と黙秘権の関係、黙秘に対する制定法上の制限、欧州人権条約の影響を検討する。
- 自白(Confessions)。 1984年法76条に基づく自白の許容性、信頼性、自白の裁量的排除を扱う。
- 識別証拠(Identification Evidence)。 目撃者識別の弱点、心理学研究、法の対応を検討し、Turnbull 指針も含む。
- 違法または不公正な手段で得られた証拠(Evidence Obtained by Illegal or Unfair Means)。 不当に得られた証拠を排除するコモンローおよび制定法上の裁量を概観し、1984年法違反とおとり捜査に触れる。
- 開示と免除(Disclosure and Immunity)。 民事・刑事手続における開示と公益免除を扱う。
- 法律専門職特権(Legal Professional Privilege)。 弁護士・依頼者間特権と訴訟特権の範囲と限界、特権が失われる場合を説明する。
第3部:証拠を提出する
- 立証責任と証明基準(Burden and Standard of Proof)。 民事・刑事事件における責任と基準を定義し、無罪推定と立証責任の転換を論じる。
- 証明の形式と証明の代替(Forms of Proof and Alternatives to Proof)。 証言、文書、物的証拠のほか、正式な自認、推定、裁判所の公知を概観する。
- 証人(Witnesses)。 証人適格と出頭強制を扱い、子ども、精神障害のある人、被告人を含む。
- 証人尋問(Examination of Witnesses)。 主尋問、反対尋問、再主尋問、誘導尋問、記憶の喚起を説明する。
- 脆弱な証人と疑わしい証人(Vulnerable and Suspect Witnesses)。 脆弱な証人への特別措置と、疑わしい証人について慎重さを求める規則を扱う。
第4部:証拠を使用する
- 伝聞法則の範囲と根拠(The Scope and Rationale of the Hearsay Rule)。 伝聞法則、その根拠、改革を述べる。
- 刑事事件における現代の伝聞法(The Modern Law of Hearsay in Criminal Cases)。 2003年刑事司法法の制度、例外、条約6条との整合性を分析する。
- 性格と信用性:概観(Character and Credibility: An Overview)。 性格証拠がなぜ関連性を持ちつつ偏見をもたらすのか、裁判官の指示、悪性格に関する心理学的証拠を検討する。
- 刑事事件における悪性格証拠(Evidence of Bad Character in Criminal Cases)。 2003年法の下で悪性格証拠が許容される経路と、裁判所による解釈を検討する。
- 意見証拠と専門家証拠(Opinion and Expert Evidence)。 非専門家と専門家の意見、専門家の役割と信頼性、究極争点規則を論じる。
主要概念
第1部:基礎
- 関連性と許容性:証拠は争点となる事実に関わるだけでなく、それに適用される排除則と裁量も通過しなければならない。
- 合理主義モデル:裁判は、公正さと権利による制約のもとで、正確な事実認定を目指す。
- 事実認定の理論:ウィグモア分析、確率的推論、物語的説明は、推論を理解するための異なる方法である。
第2・3部:証拠の取得と提出
- 不当に得られた証拠の排除:1984年法76条と78条を含む、制定法上および裁量上の権限。
- Turnbull 指針:識別証拠の危険について陪審に与える指示。
- 法的責任と証拠上の責任:誰がどの基準まである事実を証明しなければならないか。
- 特別措置:脆弱な証人の証言を助ける取り決め。
第4部:排除則
- 伝聞:内容の真実性を証明するために提出される法廷外の供述と、制定法上の例外。
- 悪性格の経路:2003年法に基づいて被告人の悪性格を許容できる経路。
- 専門家証拠と究極争点:意見が受け入れられる条件と、専門家の信頼性。
批判的分析
長所
- 教義と理論の両立。 出版社は、各主題を理論的な文脈に置く点を強調している。目的と事実認定に関する初めの章が枠組みを提供し、排除則を扱う後の章はそれを参照する。
- 明快な構成。 四つの部が、基礎から排除則へという証拠の経路をたどるため、主題を探しやすく、隣り合う主題とのつながりも見えやすい。
- 資料の幅。 出版社は、心理学研究、警察活動の法社会学的研究、陪審研究の活用と、さらに読むための詳しい脚注を挙げている。
- 人権が組み込まれている。 欧州人権条約と人権法の影響が、黙秘権や伝聞の章など、重要な箇所で論じられる。
短所
- 分量。 約940ページに前付けと判例・法令の表が加わる大部の本であり、まず概要をつかみたい学生には、短い教科書より重い。
- 刑事への比重。 いくつかの章は明示的に刑事を扱う(刑事事件における現代の伝聞法、悪性格)ため、主に民事手続に関心のある読者が使える章は少なくなる。
- イングランドとウェールズのみ。 扱われる規則と判例は単一の法域のものである。
- 版が更新済み。 2017年の第6版の後に新版が出ているため、2017年以降の制定法と判例の展開は含まれない。
コースにおける位置づけ
この証拠法の書目の中で、Dennis は理論志向の包括的な参考書である。Munday の Evidence と Choo の Evidence は最初の授業向けの短い入門書、Keane と McKeown の The Modern Law of Evidence および McGourlay、Thomas、Gower の Evidence: Law and Context は民事・刑事の双方を扱う標準的な授業用教科書である。Roberts と Zuckerman の Criminal Evidence はもう一つの上級書で、刑事手続と明確な規範的枠組みに集中する。
Dennis は、基本的な規則に触れたうえで、法がなぜそのような形をとるのかを知りたい学生に向く。用語に不慣れなら先に短い教科書を読み、その後、証拠法の目的、伝聞、悪性格のように理論と政策論争が重要な主題で Dennis を使うとよい。
本書の使い方
出版社は、本書を学部生、証拠法を学ぶ大学院生、LPC や BPTC などの職業課程の参考書に適するとしている。刑法とイングランドの法制度の知識が前提となる。
授業のためには、まず第1部を読む。そこで用語と、排除則を評価する際の目的が示されるからである。続いてシラバスに沿って、第2部は公判前の規則、第3部は公判手続と立証、第4部は伝聞・性格・意見に当てる。主題を復習するときは、該当章を主要な制定法(1984年警察・刑事証拠法と2003年刑事司法法)と並べて読み、脚注で主要判例を探す。小論文では、目的と事実認定に関する初めの章を使って議論を組み立てる。2017年版なので、規則に依拠する前に現行法を確認すること。
