01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Cole, J., & Symes, C. (2023). Western Civilizations (21st ed.). W. W. Norton & Company.
章の要約
Western Civilizations は、歴史家 Joshua Cole と Carol Symes による、W. W. Norton 刊のヨーロッパ・西洋史の概説書である。西洋文明の授業のために書かれ、古代世界から現代までを扱い、古代・中世・近現代を一つの連続した叙述でつなぐ。出版社は分冊版も提供しており、第2巻は中世後期から始まる。以下の項目は、出版社による本書の紹介に沿って整理したものである。
ヨーロッパを形づくった内的・外的な力
Norton は、本書がヨーロッパを形づくった内的・外的な力を学生に示すと述べる。したがって叙述は、ヨーロッパを自己完結した文明ではなく、内部の展開とより広い世界との接触の双方によって形成された地域として扱う。
社会史・政治史・文化史を均衡させた叙述
出版社によれば、著者は社会史・政治史・文化史を織り合わせ、西洋を世界的な文脈に位置づける均衡のとれた叙述によって、数千年のヨーロッパ史を今日の学生にとって分かりやすく、意義あるものにしている。国家、戦争、思想が、経済の変化、日常生活、文化的な営みと並べて扱われるのであり、政治だけの年表にはならない。
新しい研究成果
Norton は、本文に取り入れられた近年の研究として、古代ローマにおける都市化と商業化に伴う経済的変化と社会的動揺、イスラーム世界の学者のイタリアへの移動とそれがルネサンスの知的・文化的開花に果たした役割、そしてフランス革命が大西洋世界に及ぼした影響を挙げる。これらの例は、地中海、イスラーム世界、大西洋にまたがるつながりを重視する本書の方向を示している。
読解の手引きと歴史的技能
どちらも授業経験の豊富な著者であり、広く教えられている中核的な学習目標を支えるための読解ガイド機能を設計した。出版社は「Competing Viewpoints」(対立する見解)、「Interpreting Visual Evidence」(視覚的証拠の読み解き)、「Analyzing Primary Sources」(一次史料の分析)といった特集と、文書・画像・地図などの証拠を分析する「History Skills Tutorials」(歴史技能チュートリアル)を挙げる。現行の製品には、一次史料集とAIリテラシーのチュートリアルも含まれる。
デジタル教材
Norton は、電子書籍、一次史料の抜粋・画像・地図を用いた適応型の小テストツール、学習管理システム向けの資料を挙げている。これらは叙述そのものではなく授業運営のためのツールだが、本書が授業でどのように課されるかを左右する。
主要概念
出版社が示す主題領域
- 内的・外的な力:ヨーロッパの歴史は、ヨーロッパ内部の展開と域外との接触によって形づくられるという考え方。
- 織り合わされた社会史・政治史・文化史:三つの筋のどれかを全体と見なさない叙述の方法。
- 世界的文脈の中の西洋:西洋史をイスラーム世界や大西洋世界などとのつながりの中で語ること。
- 一次史料と証拠:上記の特集を通じて、文書・画像・地図の分析を教育設計に組み込むこと。
批判的分析
長所
- 授業を担当する著者。 Norton は Cole と Symes を西洋文明概説の熟練した教員として紹介しており、教育上の仕掛けはこの授業の中核的な学習目標に合わせて設計されている。
- 組み込まれた史料学習。 「対立する見解」「視覚的証拠の読み解き」「一次史料の分析」は、叙述だけの概説書にはない、証拠を扱う練習を定期的に提供する。
- 世界的な視野。 西洋を世界的な文脈に置き、学者の移動や大西洋革命などのつながりを強調することで、標準的なヨーロッパ史の語りを広げている。
- 時代をまたぐ網羅性。 古代から現代までを一つの叙述で扱い、分冊版も提供されるため、2学期制の授業に向いている。
短所
- 概説としての広さ。 数千年を一つの叙述で扱うため、一つの世紀や国に割ける紙幅は限られる。フランス革命や19世紀を深く学びたい学生は専門書に向かうことになる。
- プラットフォームに依存する機能。 宣伝されているツールの一部、たとえば小テストのプラットフォームや一次史料集は出版社のデジタルパッケージに属し、すべての読者が使えるわけではない。
- 「西洋」という概念。 題名は物語を西洋文明として枠づけている。世界史的なアプローチに関心のある読者は、目録にあるグローバルな概説書を好むかもしれない。
コースにおける位置づけ
近代ヨーロッパ史のコースの書目の中で、Western Civilizations は最も早い時代から始まり、時間的な幅が最も広い。古代から現代まで扱う Norman Davies の Europe: A History と似ている。Hunt、Martin、Rosenwein、Smith の The Making of the West は、社会史・文化史と諸民族の相互作用を重視する比較可能な教科書である。いずれか一冊を主教材に選び、もう一冊で別の視点を得るとよい。
近代の数世紀に限れば、John Merriman の A History of Modern Europe はルネサンスから現代までを概観し、David Mason の A Concise History of Modern Europe は啓蒙期以降をたどるより短い道筋であり、Richard Evans の The Pursuit of Power は1815年から1914年のヨーロッパを扱う大部の単著である。William Doyle の The French Revolution: A Very Short Introduction は、革命に関する章の手早い補助となる。
本書の使い方
本書は、西洋文明やヨーロッパ史の概説を受講する1、2年次の学部生や、古代から現代までのヨーロッパを一つの叙述で知りたい読者に向いている。入門教科書であり、事前の学習を前提としない。
実践的な進め方:
- 叙述を読み、次に史料を読む。 まず各章の物語を追い、その後「対立する見解」や「一次史料の分析」といった証拠の特集に取り組む。これらは読書を議論へ変えるよう設計されている。
- 授業で使う巻に従う。 分冊版を使う授業では、巻の中で順に読み、第2巻の冒頭の章で中世の背景を補う。
- グローバルな筋を追う。 ヨーロッパをイスラーム世界、アジア、大西洋と結びつける箇所に注意する。これが本書の掲げる方針である。
- 深さのために専門書を足す。 レポートやゼミで概説以上の内容が必要なときは、該当章を、フランス革命なら Doyle、19世紀なら Evans と併読する。
- 版を確認する。 章番号や特集は版により、また完全版と簡約版により異なるので、授業の読書リストが指定する版を使う。
