01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Evans, R. J. (2017). The Pursuit of Power: Europe 1815–1914. Penguin Books.
章の要約
ペンギン版のペーパーバックは848ページで、『ペンギン・ヨーロッパ史』の第7巻にあたり、ナポレオン戦争の終結から第一次世界大戦の勃発までの一世紀を扱う。全体は八つの長い章からなり、その後に参考文献案内と索引が続く。以下の章題は目次に従う。出版社の紹介と公表された書評は本書の全体的な方針を示しているが、各章の論点を詳しく述べてはいないため、以下の説明は章題とそれらの紹介に即したものにとどめる。
第1章:The Legacies of Revolution
冒頭の章は、題名からみて、革命とナポレオンの時代が1815年に残したものを扱う。出版社は、この世紀がワーテルローの戦いに始まり1914年に終わると説明しており、章題がその出発点を示している。
第2章:The Paradoxes of Freedom
題名は、十九世紀の自由の観念にある緊張を指している。出版社は、病気、宗教、哲学と並んで農奴制を本書の扱う主題に挙げており、自由の限界を論じる章と合致する。
第3章:The European Spring
「諸国民の春」、すなわち世紀半ばの革命につけられる名称を連想させる章題である。出版社は、本書が革命、帝国建設、戦争を十分に扱うと述べており、この章はそのうち革命の部分にあたる。
第4章:The Social Revolution
第4章は政治的動乱から社会へと向かう。『パブリッシャーズ・ウィークリー』の書評は、エヴァンズが権力を広く定義し、戦争や外交だけでなく社会的・経済的変化にも紙幅を割いていることを強調している。
第5章:The Conquest of Nature
この章題は、同じ書評の指摘と合致する。医学の進歩や、蒸気から電気に至る技術的な動力源も、権力の物語の一部として扱われている。
第6章:The Age of Emotion
『パブリッシャーズ・ウィークリー』は、知への情熱と幸福の追求を特徴とする時代を「感情の時代」と呼んでおり、第6章はこれを題名としている。この章は、文化的・思想的変化への本書の関心に属する。
第7章:The Challenge of Democracy
題名からみて、第7章は戦前の数十年における民主政治の圧力を取り上げる。出版社が引用する『タイムズ』の書評者は、本書を国境を越える歴史と呼んでいる。
第8章:The Wages of Empire
最終章は、題名が示すとおり帝国を扱う。出版社によれば、本書はヨーロッパが他の地域との交流によって世界を形作り、また形作られたことを示しており、その時代のヨーロッパは、以前にも以後にもない形で世界の他の地域を支配していた。
主要概念
第1–3章:革命と自由
- 革命の時代の遺産:ナポレオン戦争の終結という、本書が扱う世紀の出発点。
- 自由とそのパラドックス:第2章は自由の矛盾した性格を主題とする。
- ヨーロッパの春:世紀半ばの革命の波。
第4–6章:社会、自然、感情
- 社会革命:政治的変化に伴う社会の変容。
- 自然の征服:自然界に対する技術的・医学的な支配。『パブリッシャーズ・ウィークリー』はこれを本書の権力観の一部とみなしている。
- 感情の時代:書評者が知への情熱や幸福の追求と結びつけた文化的・思想的な雰囲気。
第7–8章:民主主義と帝国
- 民主主義の挑戦:政治参加の拡大を求める圧力。
- 帝国の代償:ヨーロッパの海外拡張の費用と帰結。
- 権力:『パブリッシャーズ・ウィークリー』によれば、本書を貫く問いである。誰が権力を握り、誰がそれを求め、どのように獲得され維持されたか。
批判的分析
長所
- 権力の広い定義。『パブリッシャーズ・ウィークリー』は、エヴァンズが戦争と外交に限らず医学や技術も含めていることを指摘しており、政治の叙述に社会的・物質的な基盤が与えられている。
- **大陸全体を扱い、世界的な枠組みをもつ。**出版社は、本書が大陸全体とその世界の他地域との関係を扱うことを強調している。『サンデー・タイムズ』の書評者は、ハンガリーでの熊狩り、ドーセットの労働組合、イタリア統一など、多様な素材を挙げている。
- 政治、社会、経済、文化、思想の歴史の融合。『ニュー・ステイツマン』のリチャード・オーヴェリーは、本書が一貫性を保ちながらこの混合を達成していると評価し、高度な政治や勢力均衡外交を中心とした旧来の叙述と対比している。
- 叢書の文脈。『ペンギン・ヨーロッパ史』の一冊として、大陸全体を対象とする叢書の中で、この世紀を本格的な分量で論じたものである。著者のそれ以前の研究は近代ドイツ史が中心であった。
短所
- **分量。**848ページは長く、大陸規模の叙述に付き合う読者を想定している。概要だけが必要な学生には、より短い概説書が最初の選択として適している。
- **伝統的な枠組み。**出版社が引用する『フィナンシャル・タイムズ』の書評者は、その枠組みを「おそらく伝統的」としつつ、学識を称賛している。主題別でグローバルな観点から世紀を扱いたい読者は、別の本が必要になる。
- 細部の密度。『サンデー・タイムズ』の書評者が「ほとんど不可能なほど広範な素材」と述べていることは、本書が一度に吸収するよりも区切って読むほうが容易であることを示している。
コースにおける位置づけ
近代ヨーロッパ史のグループには、さまざまな規模の概説書がある。MasonのA Concise History of Modern Europeは自由・平等・連帯を軸にした短い概説であり、DoyleのThe French Revolution: A Very Short Introductionは、エヴァンズの第1章が振り返る革命の時代への短い入口である。MerrimanのA History of Modern Europeはルネサンスから現在までの包括的な概説で、DaviesのEurope: A Historyは古代から現在までのヨーロッパ史全体を扱う。The Making of the WestとWestern Civilizationsは西洋史の総合的な教科書で、十九世紀をより長い講義の一部として扱う。
長い十九世紀だけを深く学びたいなら、エヴァンズを読むとよい。短い概説書や総合的な教科書の後に読むのが自然で、特定の国や主題の専門研究に進む前にも適している。世界史・グローバル・ヒストリーのコースにあるOsterhammelのThe Transformation of the Worldは、同じ世紀を主題別かつ地球規模で扱っており、二冊は互いに補い合う。
本書の使い方
本書は、概説の授業や一般的な読書で近代ヨーロッパ史の大筋をすでに把握し、十九世紀を詳しく知りたい学部生に向いている。十九世紀を扱う授業、ヨーロッパ史の試験のための読書リスト、特定の地域の専門的研究に備える読者に適している。
実際的な進め方は次のとおり。
- **初めて読むときは順番どおりに。**八つの章は革命の余波から帝国へと進むので、順に読むと世紀の全体像がつかめる。
- **各章を独立した単位として使う。**各章は、授業一週間分の独立した読み物として十分な長さがある。題名からみると、第2章と第4章は社会史、第3章と第7章は政治史、第5章は技術と自然界、第6章は文化史、第8章は帝国に傾いている。
- **年表と地図を手元に置く。**大陸全体を扱う本は、主な革命、戦争、統一の年表が手元にあると読みやすい。
- **参考文献案内をたどる。**巻末の参考文献案内は、関心のある国や主題の研究書への自然な入口である。
