01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Livy. (1960). The Early History of Rome (A. de Sélincourt, Trans.). Penguin Classics.
章の要約
本書は、リウィウスの『ローマ建国以来の歴史』(Ab Urbe Condita)の最初の5巻の翻訳である。この大著はもとは142巻あり、現存するのは35巻である。ここに収められた5巻は、ローマの伝説的な始まりから、王政と初期共和政を経て、前4世紀のガリア人によるローマ劫掠までを語る。ペンギン社のカタログは、本書がローマの建国、七人の王、共和政の確立とその内部抗争、ガリア人の侵入後のローマの立ち直りを扱うと説明している。出版社は訳者をオーブリー・ド・セランクール(Aubrey de Sélincourt)、序論の著者をR. M. オギルヴィ(Ogilvie)とし、2002年の版にはS. P. オークリー(Oakley)の序文、地図、参考文献、索引が加わっている。
序論と序文
オギルヴィの序論は1971年のもので、現行版にも再録されている。出版社によれば、オークリーの序文は、リウィウス研究の近年の成果に照らして本文を検討している。『歴史』第1巻の冒頭に置かれたリウィウス自身の序文は、彼の目的を述べる。建国以前の伝承は肯定も否定もしない。読者には、ローマの力がどう獲得されたか、そしてその後に道徳がどう次第に緩んでいったかを辿ってほしい。そうすることで叙述が、見習うべき例と避けるべき例の宝庫となる、というのである。
第1巻:王政下のローマ
第1巻は、アエネアスのイタリア到着とアルバの王統から、ロムルスによるローマ建国へと進む。ロムルスは元老院も作り、サビニ人と戦う。続いてヌマが宗教制度を整え、トゥルス・ホスティリウスがアルバと戦い(ホラティウス兄弟とクリアティウス兄弟の決闘)、アンクス・マルキウスが都市を拡張し、タルクィニウス・プリスクスとセルウィウス・トゥリウスがそれを作り替える。セルウィウスは特に、戸口調査と、市民を階級と百人隊に分ける制度で知られる。巻は、タルクィニウス・スペルブスの専制、ルクレティアへの暴行、最初の執政官で終わる。
第2巻:共和政の始まり
第2巻は、王のいない最初の年月を扱う。ブルトゥスは民に誓いを立てさせ、タルクィニウス家の復位を謀った自分の家族を処罰し、ローマはポルセンナと対峙する。ここにホラティウス・コクレス、ムキウス、クロエリアの物語が含まれる。その後には、レギルス湖畔の戦い、平民の聖山への立てこもりと護民官の創設、コリオラヌス、最初の農地法、ウェイイに対するファビウス氏の戦いなどの挿話が続く。
第3巻:窮地に立つ貴族たち
第3巻は、土地と法をめぐる争いが中心である。キンキナトゥスは農場から呼び戻されて独裁官となり、アエクイ人と戦う。護民官の数は10人に増え、法典を成文化するために十人委員会が置かれる。十人委員は任期を超えて職にとどまって恣意的になり、アッピウス・クラウディウスがウェルギニウスの娘に邪な意図を抱いたことをきっかけに平民がアウェンティヌス丘を占拠すると、辞任に追い込まれる。
第4・5巻
第4巻の中心は、貴族と平民の通婚を認める提案、執政官権限を持つ軍務官と監察官の導入、そして王位を狙った疑いによるスプリウス・マエリウスの殺害である。第5巻は、10年に及ぶウェイイ包囲とカミッルスによるその攻略、カミッルスの追放、ガリア人のローマ進軍、アッリア川での敗北、カピトリウムを除く都市の占領を語る。巻末は、身代金の支払い、カミッルスの帰還、そして都をウェイイに移すことへの彼の反対で終わる。
主要概念
王政と共和政(第1・2巻)
- 建国伝説:アエネアス、ロムルスとレムスの物語。リウィウスはこれらを、確認された事実としてではなく、伝承として扱う。
- 七人の王:元老院から戸口調査まで、ローマの諸制度の舞台としての王政。
- 執政官:王に代わる政務官で、第1巻の終わりに初めて設けられる。
身分闘争(第3・4巻)
- 貴族と平民:対立する二つの集団で、平民は護民官を代表者とする。
- 十人委員会:法を成文化する任務を負った委員会。
- 独裁官:非常時の政務官で、キンキナトゥスの例がある。
- 執政官権限を持つ軍務官:第4巻で導入される、執政官職に代わる制度。
戦争と破局(第5巻)
- ウェイイ包囲:エトルリアの隣国との長いローマの戦い。
- ガリア人による劫掠:カピトリウムを除くローマの占領と、都にとどまるかウェイイに移るかをめぐる議論。
批判的分析
長所
- 翻訳で読める物語資料:読者は、現代の要約ではなく、リウィウスが与えた形のまま、登場人物、伝説、見せ場となる挿話を備えた初期ローマの物語に触れられる。
- 学術的な付属資料:1971年の序論を書いたオギルヴィは、リウィウス第1–5巻のオックスフォード注釈書(1965年)の著者でもある。現行版にはさらに、近年の研究に関する序文、地図、参考文献、索引が加わっている。
- 方法についてのリウィウスの率直さ:その序文は伝承と確定した記録を区別し、道徳的な目的を述べている。そのため本書は、ローマの歴史家が自分の仕事をどう理解したかを教えてくれる。
- まとまりのある単位:5巻が一冊に収まり、始まりと終わりがはっきりしている。
短所
- 5巻だけ:叙述はガリア人の劫掠の後で止まる。ペンギンのリウィウス叢書の後続巻、例えば Rome and Italy や The War with Hannibal は別の本である。
- 伝説と歴史の混在:最古の部分は伝承に属し、リウィウスはその多くについて判断を避けている。信頼できる内容と伝説的な内容を見分けるには、現代の研究が必要である。
- 時代の翻訳:翻訳は1960年のものなので、本文と現在の研究を結びつける役目は、序論と後から加わった序文が担っている。
- 教科書ではない:叙述は政務官と戦役を順に追って年ごとに進むため、制度を概観する書ではなく、読み進める物語である。構造の把握には現代の概説書が必要になる。
コースにおける位置づけ
古代史のコースの中で本書は一次史料であり、他の現代の概説書とは性格が異なる。扱うのはローマの最初期で、Goodman の The Roman World 44 BC–AD 180 の時代よりはるか前だが、リウィウスはアウグストゥスの治世に書いたので、その執筆時期は Goodman が扱う期間に入る。Lane Fox の The Classical World と Cartledge の Ancient Greece: A Very Short Introduction は、ギリシアとローマの世界についての現代の叙述を与え、リウィウスの記述を読み比べる土台になる。Hornblower の The Greek World 479–323 BC と Van De Mieroop の A History of the Ancient Near East は、古代世界の他の地域を扱う。
順序としては、まずローマの起源についての現代の概説を読み、次にリウィウス、そしてリウィウスが活動した帝政の背景として Goodman を読むのが妥当である。
本書の使い方
本書は、古代の叙述を英語で読みたいローマ史、古典学、歴史叙述論の学生に向いている。ラテン語の知識は要らない。
実践的な進め方は次のとおり。
- オギルヴィの序論とリウィウスの序文から始め、次に第1巻を読み、第1巻を読み終えたら序論に戻る。
- 中心:王、共和政の最初の数年、十人委員会を扱う第1巻から第3巻。
- 次に:身分間の争いの続き、ウェイイ、ガリア人を扱う第4・5巻。
- 読みながら:短い年表を作り、どの挿話が伝説として、どれが制度の変化として語られているかを書き留める。
- 併読:初期ローマの現代の概説書と、現行版ではオークリーの序文および参考文献(学界の議論を知るため)。
