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Visible Learning for Teachers(教師のための可視化された学び) cover

教育学

教育学

Visible Learning for Teachers(教師のための可視化された学び)

John Hattie

英語原題: Visible Learning for Teachers: Maximizing Impact on Learning

学習研究の知見を授業の判断に生かすためのガイドです。教師が指導の効果を確かめること、学習目標を明確にすること、フィードバックを行うこと、学習者が進歩を把握できるよう支援することを扱います。教員養成や授業の振り返りに役立ちます。

前提知識: 特になし。効果量の基本を知っていると証拠を吟味しやすくなります。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
teachinglearning outcomesfeedbackclassroom practiceeducation

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Hattie, J. (2012). Visible Learning for Teachers: Maximizing Impact on Learning. Routledge.

章の要約

本書は、学業成績に影響する要因についてのメタ分析を統合した Hattie の Visible Learning(2008年11月刊)の実践編にあたる。Routledge は本書を、学生、教職課程の学生、現職教員に向けて、前著の原理をどんな教室にも当てはめる方法を説明する本と紹介し、根拠となる研究がいまや900を超えるメタ分析に及ぶと述べている。序文、導入の章、3つの部(全9章)からなり、6つの付録が続く。各部には観察可能な実践のチェックリストがあり、演習や事例研究も含まれている。

第1章:内側から見た「見える学習」

冒頭の章は、本書の残りの部分が教室の実践へと落とし込んでいく「見える学習」という考え方を紹介し、本書が追究する問い、すなわち教師はどのようにして自分の学習への影響を知り、それを高めることができるのかを提示する。

第A部:考え方の源と教師の役割

第2章:考え方の源

本書の背後にある研究の説明である。メタ分析、共通の尺度としての効果量、要因のランキングの読み方を扱う。Christine Bainbridge は Cult of Pedagogy の書評(2016年)で、本書のこの部分にある演習を紹介している。読者は30の要因それぞれの効果が高いか、中程度か、低いかを予想し、巻末で答えを確かめる。たとえば原級留置(留年)は負の効果をもつことがわかる。

第3章:教師――教育過程の主役

Hattie は教師の力を論じ、熟達した教師を際立たせるものを描く。Bainbridge の要約によれば、熟達した教師は、教科を表現する最も重要な方法を見きわめ、学習によい教室の雰囲気をつくり、学習を見守ってフィードバックを与え、すべての生徒が成功の基準に到達できると信じ、表層的な成果と深い成果の両方に影響を与える。

第B部:授業

第4–5章:授業の準備/授業の始まり

第B部は授業を最初から最後までたどる。Bainbridge はこの部を本書の核心と呼ぶ。カリキュラムや特定の授業形式を押しつけることなく、成功の基準と形成的評価の方法を選んで授業を計画する過程へと教師を導くからである。第4章は準備を、第5章は授業の始め方を扱う。

第6–7章:授業中――学習/授業中――フィードバック

学習が進行している最中に起こることを扱う2章である。第6章は学習そのものを、第7章はフィードバックを扱う。出版社は、授業中の学習の解釈とあわせて、これを本書が示す段階的な手引きの一部に挙げている。

第8章:授業の終わり

授業の締めくくりとその後のフォローアップ。形成的評価の結果を解釈し、次の段階を決める。学習が起こらなかった場合の修正の手立ても含まれる。

第C部:マインドフレーム

第9章:教師、学校指導者、教育システムのマインドフレーム

本書は、教師と指導者のための8つの「マインドフレーム(考え方の枠組み)」で締めくくられる。Bainbridge の要約によれば、それは次のようなものである。根本的な任務は自分の指導が及ぼす効果を評価することである。学習の成功と失敗は教師がしたこと、しなかったことにかかっている。教えることよりも学ぶことについて多く語る。評価は教師としての自分の影響についてのフィードバックである。授業は独白ではなく対話であるべきだ。「ベストを尽くす」ことに逃げずに挑戦を楽しむ。教室と職員室でよい関係を築くことも役割の一部である。学習の言葉を皆に伝える。本書は「自分の影響を知れ(know thy impact)」という呼びかけで終わる。

付録

6つの付録がある。学校のための「見える学習」チェックリスト、800のメタ分析の一覧、学業成績に影響する要因の一覧、演習で用いた要因の順位と効果量、効果量の計算方法、そして生徒による授業評価の尺度である。

主要概念

第1章と第A部:根拠と教師

  • 見える学習と見える指導:前著の研究統合から導かれた原理で、本書はそれを教室に応用する。
  • メタ分析と効果量:本書のランキングの背後にある方法で、多くの研究を共通の影響の尺度にまとめる。
  • 熟達した教師:本書の根拠が学習への大きな効果と結びつける特質。

第B部:授業

  • 成功の基準:授業における学習の成功がどのようなものかを明示した記述。
  • 形成的評価:次の段階を導くために学習の途中で集める証拠。
  • フィードバック:進歩についての情報で、まるごと1章があてられている。

第C部と付録:マインドフレームと道具

  • マインドフレーム:本書が教師と指導者に身につけるよう求める、指導と評価についての信念。
  • 「自分の影響を知れ」:自らの指導の効果を評価せよという、本書を要約する呼びかけ。
  • チェックリスト:教師と学校のための観察可能な実践の一覧で、付録Aにまとめられている。

批判的分析

長所

  • 研究から実践へ。 本書の構成は、研究の順序ではなく、授業の準備からフォローアップまでという教師の仕事の流れに従っている。Bainbridge は、本書がカリキュラムや授業の型を押しつけるのではなく、学習の証拠について考える筋道へと教師を導くと述べている。
  • 自己評価のための道具。 各部のチェックリスト、演習、効果量の計算方法、生徒による評価の尺度は、教師が自分の影響を測るための実践的な手段であり、それこそが本書の中心的なねらいである。
  • 思い込みを揺さぶる。 効果量を予想する演習は、原級留置の例のように、読者の信念に反するかもしれない証拠を突きつける。
  • 膨大な研究をわかりやすく示す。 出版社は本書が研究の簡潔な要約を教師向けに示していることを強調しており、Bainbridge も、気軽な読み物ではないと断りつつ、読む価値があると評価している。

短所

  • 議論のある統計的基盤。 本書は Visible Learning の方法の上に築かれているが、その方法は厳しく批判されてきた。統計学者 Pierre-Jérôme Bergeron は McGill Journal of Education(2017年)で、性質の大きく異なるメタ分析の効果量を平均すると意味のはっきりしない数値が生まれること、コーエンの d は普遍的な影響の尺度にはなりえないことを論じている。したがって、効果量のランキングや閾値は慎重に読むべきである。
  • 実践書としては骨が折れる。 Bainbridge は気軽な読み物ではないと警告しており、メタ分析と効果量の付録は数字に対するある程度の根気を前提としている。
  • 教師の責任についての強い主張。 成功と失敗を教師がしたこと、しなかったことに帰するようなマインドフレームは、身につけるべき信念として示されている。読者は教室の外にある要因の役割と照らし合わせて吟味する必要がある。
  • その後に更新されている。 根拠が800から900を超えるメタ分析へと増えたという出版社自身の説明が示すように、数値は増え続ける研究のある時点での断面にすぎない。

コースにおける位置づけ

教師の成長を扱うこのコースで、Hattie は根拠に基づき成果を重視する専門的成長の見方を代表している。コースの他の本の多くは、省察を通して成長に迫る。Stephen Brookfield の Becoming a Critically Reflective Teacher は、自分の前提を学生、同僚、研究、経験からの証拠に照らして点検するための読みやすい手引きで、Hattie のマインドフレームとよく組み合い、自分の思い込みを問い直す習慣を加えてくれる。Maura Sellars の Reflective Practice for Teachers は、教室の課題を一つずつ取り上げる初学者向けの手引きである。

Donald Schön の The Reflective Practitioner は、専門的な力量は研究に基づく技法の適用に還元できないと論じており、研究のランキングを重視する Hattie への直接の対抗軸となる。両者をあわせて読むことは、証拠が教師に何を語りうるか、語りえないかを議論するよい方法である。Cochran-Smith と Lytle の Inquiry as Stance は教師を自らの実践の研究者として捉えるもので、自分の影響を評価せよという Hattie の呼びかけに近いが、何を知識とみなすかについては異なる見方をとる。Parker Palmer の The Courage to Teach は教師の内面生活に焦点を当てており、測定可能な影響を重視する Hattie とは異なる強調点をもつ。

本書の使い方

本書は、研究上の証拠を使って自分の実践を検討したい教職課程の学生、現職教員、学校指導者に向いている。統計の訓練は必要ないが、効果量をある程度理解していると役に立つ。付録Eにはその計算方法が説明されている。

実践的な読書計画:

  • まず、教師の影響についての中心的な議論を述べる第1章と第3章を読み、方法については第2章を読む。効果量の演習は答えを見る前に取り組むこと。
  • 中核: 第B部(第4–8章)。できれば実際に授業をしながら、1章ずつ実際の授業に当てはめる。成功の基準を書き、形成的評価を計画し、証拠を集め、次の段階を決める。
  • その後、マインドフレームについての第9章を読み、付録Aのチェックリストを学校やチームでの話し合いに使う。

第2章とあわせて Bergeron の批判や他の方法論的な論評を読み、ランキングを確定した答えではなく探究のきっかけとして扱うこと。本書が最も身につけさせたい習慣は、自分の生徒の学習の証拠を集めることである。付録Eを使って自分のクラスの効果量を計算し、適切な慎重さをもって本書の数値と比べてみるとよい。