01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Lang, J. M. (2021). Small Teaching: Everyday Lessons from the Science of Learning (2nd ed.). Jossey-Bass.
章の要約
第2版は288ページである。「スモール・ティーチング」の考え方を紹介する序論のあと、9つの章が3つの部(知識、理解、意欲)にまとめられ、結論、引用文献、索引が続く。索引からは、各章が同じ型に従っていることがわかる。導入、「理論」の節、複数の「モデル」(具体的な教室内・オンラインの活動)、それを応用するための「原則」、「クイック・ヒント」、結論である。
序論:Small Teaching(スモール・ティーチング)
序論は、出版社が述べる前提を示す。学習研究は、小さな変更に落とし込めば教育を改善でき、その多くは一回の授業時間内に収まるというものである。索引によれば、序論はスモール・ティーチングの形(短い活動、一回限りの介入、科目設計や学生とのコミュニケーションの小さな修正)と、その背後にある原則を説明している。この版には新しい序文と、更新された事例・研究が含まれる。
第I部 知識 第1章:Predicting(予測する)
この章は、学生が教わる前に予測したり、事前テストを受けたり、問題を試したりすることを勧める。冒頭部分には、単語ペアの実験室実験(予測が外れても後の再生が向上した)、短い事前テストの後に、事前テストを受けた内容で試験の成績が上がった教室での研究、そして「一時停止-予測-熟考」の映像クリップを用いたオンライン指導の研究が紹介される。索引には、予測の投票、既有知識の活性化、授業終わりの予測などのモデルが挙がっている。
第I部 知識 第2章:Retrieving(想起する)
想起練習とテスト効果、それを科目に組み込む方法を扱う章である。索引に見えるモデルは、授業冒頭と終わりの問い、オンラインでの想起(頻繁な小テスト、読書確認)、「想起するシラバス」である。
第I部 知識 第3章:Interleaving(インターリーブする)
この章は、インターリーブ(交互学習)を分散学習と区別し、分散学習と集中学習を論じる。索引に挙がるモデルは、累積的な試験、累積的な小テスト、授業内での練習の混合、オンライン学習環境である。
第II部 理解 第4章:Connecting(結びつける)
第II部は、索引によれば能動的学習と反転授業を論じる短い序で始まる。第4章は、学習を結びつけを作ることとして扱う。索引に挙がるモデルは、コネクション・ノート、概念地図、「ミニット・テーゼ」の課題で、学生に枠組みを与えることも含まれる。
第II部 理解 第5章:Practicing(練習する)
練習と、ランガーのマインドフル・ラーニング論を論じる。モデルは評価、小さな教授機会、フィードバックに関わり、原則には授業内での練習時間の確保と練習セッションの間隔をあけることが含まれる。
第II部 理解 第6章:Explaining(説明する)
学生が自分自身と他者に教材を説明する章である。索引には、自己説明、ピア・インストラクション、教材の作成、教員以外へと聴衆を広げることが挙がっている。
第III部 意欲 第7章:Belonging(所属感)
第III部の最初の章は、学生の所属感を扱う。索引は、認知的な所属感、称賛、成長マインドセットと固定マインドセットの議論を示し、ディスカッション・ボード、助けを求める行動の常態化、高い構造の提供、学生の持つ資産の尊重などのモデルを挙げている。
第III部 意欲 第8章:Motivating(動機づける)
外発的・内発的動機づけ、感情、目的を扱う。モデルには、物語や驚きで授業を始めること、目的を呼び起こすこと、熱意を共有すること、すべての学生に注意を払うこと、より温かい言葉を使うことが含まれる。
第III部 意欲 第9章:Learning(学ぶ)
最終章には、通常の理論の節、クイック・ヒント、結論がある。索引によれば、教育についての学習資源(書籍、叢書、ポッドキャスト、ウェブ資料、OneHEコミュニティ)の節もある。
結論:Beginning(始めよう)
短い結論(237〜239ページ)で本書は締めくくられる。
主要概念
第I部:知識
- 予測と事前テスト:教わる前に、たとえ誤っていても答えを試み、学習への備えとする。
- 想起練習:読み直すのではなく、記憶から思い出す(テスト効果)。
- インターリーブと分散:トピックを混ぜ、学習を時間的に分散させる。
第II部:理解
- 結びつけ:新しい内容を既有知識と結ぶこと。概念地図などがある。
- マインドフル・ラーニング:ランガーの理論。練習の章で論じられる。
- 自己説明とピア・インストラクション:自分や他者に説明することで学ぶ。
第III部:意欲
- 認知的所属感とマインドセット:学生が受け入れられているという感覚と、知能についての信念。
- 内発的・外発的動機づけ:学生の意欲の源。目的や感情と結びつく。
批判的分析
長所
- 予測しやすく、使い回せる構成。 どの章も同じ節からなり、索引がモデルと原則を名前で挙げているため、特定の目的に合う活動をすぐに見つけられる。
- 研究が具体的な実践に結びついている。 抜粋の章では、各主張が名前のある実験とその数値(たとえば単語ペアの実験での再生率67%対55%)で導入され、そのあとに教室でのモデルが続く。
- 意図された規模。 出版社は、既存の手法に組み込める単純な介入を強調しており、科目全体を設計し直せない教員に向く。
- 更新され、幅広い。 第2版は序文、新しい事例と技法、更新された研究と資料を加え、索引には対面授業だけでなくオンラインでのモデルも示されている。事例は多くの分野から取られている。
短所
- 小さな変更が前提。 本書が示すのは段階的な変更であり、科目全体を設計する枠組みではない。それを求める読者は、科目設計に関する別の書物が必要である。
- 証拠は選ばれた研究を通じて要約される。 抜粋の章は、体系的なレビューではなく、少数の例示的研究から議論を組み立てている。さらに知りたい読者は、引用文献(約8ページ)をたどるとよい。
- 個々の教員を対象としている。 出版社によれば、介入は短い活動、一回限りの介入、科目設計や学生とのやりとりの小さな修正であり、制度やカリキュラムの変革は範囲外である。
コースにおける位置づけ
高等教育の読書リストの中で、『Small Teaching』は、学習研究から来週試せることへの最短の道筋である。Lovettらの『How Learning Works』は、研究を原理にまとめ、場面と方略を添えており、Langの索引はこの書物を引いている。二冊を併読すれば、原理に基づく概観と、行動の大きさの活動を組み合わせられる。Bainの『What the Best College Teachers Do』は、すぐれた教員の研究で、Langが最終章で引いており、道具箱というより教育全体の見方に近い。
Marshallの『Handbook for Teaching and Learning in Higher Education』は教授、評価、学生支援、専門分野の教授を扱い、Biggs、Tang、Kennedyの『Teaching for Quality Learning at University』は科目設計の単一の枠組みを示す。どちらもより広い補助となる。『American Higher Education in the Twenty-First Century』は研究分野としての高等教育を扱い、教育の手引きではない。
本書の使い方
認知心理学の予備知識は不要である。出版社は、本書をあらゆる分野の教員に向けたものとし、管理職、K-12の教員、教員養成者にも勧めている。教員、大学院の教育助手、非常勤講師、教育センターの職員に向く。
読み方の例:まず序論と第I部を読む。予測、想起、インターリーブは最も手軽に試せる技法であり、各章に短いモデルがある。各章から一つか二つのモデルを選び、一回の授業時間内で試してから、さらに追加する。各章末の「クイック・ヒント」をチェックリストとして使う。学生が教材を練習し、結びつけ、説明する方法を計画するときは第II部を、共同体、所属感、動機づけには第III部を読む。第9章と引用文献はさらなる読書のために使い、新しい科目を計画するときは、科目設計に関するより広い本と組み合わせる。
