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Reading Development and Difficulties(読みの発達と困難) cover

教育学

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Reading Development and Difficulties(読みの発達と困難)

Kate Cain

英語原題: Reading Development and Difficulties

読みの研究についての予備知識がない学生に向けて書かれた、読みの習得の心理学への入門書である。子どもが単語を認識できるようになる過程と、読んだ内容を理解できるようになる過程に関する研究をまとめ、一部の子どもがその一方または両方でつまずく理由を説明する。

前提知識: 心理学や言語学の予備知識は必要ない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
reading developmentliteracyreading comprehensiondyslexiapsychology of reading教科書

01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Cain, K. (2010). Reading Development and Difficulties. Wiley-Blackwell. BPS Textbooks in Psychology.

章の要約

本書は英国心理学会(BPS)の教科書シリーズの一冊で、272ページ、全10章に参考文献と用語集が付く。第1章は重要語のリストと章の概要で始まり、各章の末尾には要点のまとめ、解説付きの文献案内、定義の一覧がある。構成は、単語の読みと読解を分けて考える「シンプル・ビュー・オブ・リーディング」に従っている。二つの技能は、熟達した成人の読み手、発達、困難のそれぞれについて別々の章で扱われ、その後に指導と評価の章、そして枠組みを評価する結論の章が続く。

第1章:読みの研究への導入(Introduction to the study of reading)

大おばを訪ねる短い文章を使って、簡単な読みにもどれほど多くの技能が関わるかを示し、本書が読みを単語の読みと読解に分ける理由を説明する。アルファベット、表語文字、音節文字の書記体系を比較し、書かれた英語は44の音を26文字で表すが一対一には対応しないことを指摘して、書き言葉は話し言葉を書き写したものにすぎないわけではないと論じる。後半では研究デザイン(横断研究、縦断研究、読書年齢マッチング、訓練研究)を紹介し、相関だけでは読みの成功や失敗の原因を確定できない理由を説明する。

第2章:熟達した単語の読み(Skilled word reading)

単語の読みの評価方法と、読みやすい単語と読みにくい単語を分ける要因を取り上げ、続いて熟達した単語認知のモデルを比較する。索引によれば、二重経路カスケードモデルやコネクショニストの「トライアングル」モデルが含まれる。

第3章:熟達した理解者(The skilled comprehender)

読み手は文章から何を忘れ何を覚えているのかを問い、局所的・大域的一貫性(推論によるものも含め、文の内部や文どうしの間に作られるつながり)を説明し、構築-統合モデルなどのテキスト表象のモデルを示す。

第4章:単語を読めるようになる(Learning to read words)

子どもが単語を読むさまざまなやり方、単語の読みの発達を支える技能と知識、発達の段階、そして段階から段階への進歩を推し進めるものを述べる。

第5章:読解の発達(The development of reading comprehension)

単語の読み、聴解、読解がどう関係するか、読解を支える技能と知識(索引には語彙、文法、推論、理解のモニタリング、文章構造の知識が挙がる)、そして読解が時間とともにどう発達するかを検討する。

第6章:発達性ディスレクシア(Developmental dyslexia)

ディスレクシアの定義と特徴を示し、理論(音韻欠陥説と、大細胞説や小脳説などの感覚的説明)を比較し、サブタイプが存在するかを問い、生涯にわたるディスレクシアを、リスクのある家系に見られる前兆から代償と帰結までたどる。

第7章:読解の困難(Reading comprehension difficulties)

単語は十分に読めるのに理解が乏しい子どもに目を向ける。読解不振とは何か、談話の理解がどこで、なぜつまずくのか、そして広い学習への影響を扱う。これは著者自身の研究分野である。

第8〜9章:指導と介入;読みの評価(Instruction and intervention; The assessment of reading)

第8章は単語の読みと読解それぞれの指導と介入、さらに家庭での指導を含む読みの発達一般への支援を概観する。第9章は評価がなぜ重要か(目的、信頼性、妥当性)を説明し、単語の読みと読解について、何を、いつ、どのように評価するかの選び方を示す。

第10章:シンプル・ビュー・オブ・リーディング――読みの発達と困難を研究するための枠組み(The Simple View of Reading: A framework for the study of reading development and reading difficulties)

結論の章。枠組みを要約し、発達と困難に当てはめ、評価を加え、そこから示唆を引き出す。

主要概念

第1〜3章:読みの研究と熟達した読み手

  • シンプル・ビュー・オブ・リーディング:Gough と Tunmer による枠組みで、読みを単語の読み(デコーディング)と理解という二つの要素に依存するものとみなす。本書全体の構成原理である。
  • 正書法:ある言語の書記体系。アルファベット体系は文字と音の対応の一貫性が言語によって異なり、英語は一貫性が低い。
  • 読書年齢マッチング・デザイン:読みの苦手な子どもを、同じ読みの水準にある年少の子どもと比べる方法。因果の方向の一方を排除できる。
  • 局所的・大域的一貫性:読み手が隣り合う文の間や文章全体にわたって築くつながり。

第4〜5章:発達

  • 単語の読みの段階:発達の順序。索引によれば、完全アルファベット段階や統合アルファベット段階が含まれる。
  • 音韻意識:話し言葉の音を意識し操作する能力で、初期の単語の読みの進歩と結びついている。
  • 推論:文章に書かれていることを超えて、文章の部分どうしを結びつけたり一般知識とつなげたりすること。

第6〜7章:困難

  • 発達性ディスレクシア:単語の読みと綴りの発達の障害。
  • 読解不振児:単語の読みは十分だが文章の理解が弱い子ども。

第8〜10章:指導、評価、枠組み

  • 信頼性と妥当性:読みのテストが一貫して測定しているか、測ると称するものを測っているか。
  • 形成的評価と総括的評価:指導を方向づけるための評価と、到達度を報告するための評価。

批判的分析

長所

  • 単語の読みと読解を一冊で。 出版社はこれを本書の特徴的なねらいとして示している。デコーディングと読解の研究はしばしば別々に扱われるが、並行する章構成によって両者の対比がたどりやすい。
  • 方法を明示。 第1章は具体例を挙げて、各研究デザインが何を示せて何を示せないかを説明するので、読者は後に出てくる読みの困難の原因についての主張を判断できる。
  • 学習向けの作り。 各章末の要点のまとめ、解説付きの文献案内、定義と巻末の用語集は、試験に向けて復習する学生に向いている。
  • 読解の困難を正面から。 著者の専門である読解不振児に丸一章を充てており、ディスレクシアに関する膨大な文献との釣り合いを取っている。

短所

  • 刊行年。 2010年の刊行であり、その後の研究や、政策と評価の変化は反映されていない。
  • 教室実践より心理学。 指導は主に第8章で扱われるにとどまり、授業レベルの手引きを求める教員志望者には実践志向の本が別に必要である。
  • 英語とアルファベットへの偏り。 第1章で他の書記体系にも触れるが、非アルファベット文字の読みは主に文献案内に委ねられている。

コースにおける位置づけ

Cain は心理学に基づく簡潔な入門書であり、研究の基礎を必要とする学生の最初の一冊としてよい。Morag Stuart と Rhona Stainthorp の Reading Development and Teaching は同じシンプル・ビュー・オブ・リーディングを軸にしつつ、それを教室での指導法と評価により直接結びつけている。研究については Cain、教室への示唆については Stuart と Stainthorp というように、2冊は組にして読むとよい。Mark Seidenberg の Language at the Speed of Sight は一般読者向けに同様の科学を扱い、読みの指導についてより鋭い主張を展開する。

その後さらに深めるには、Snowling、Hulme、Nation 編の The Science of Reading: A Handbook が同じ話題について専門家による概説を提供しており、Cain 自身の文献案内もその旧版を挙げている。Jeanne Chall の Learning to Read: The Great Debate は指導をめぐる論争の歴史的研究であり、Tompkins、Rodgers、Rodgers の Literacy for the 21st Century は小学校での読み書き指導についての教員養成用テキストで、このリストでもっとも実践的な本である。

本書の使い方

出版社は本書を心理学の学生に向けるとともに、読みの心理学の予備知識が乏しい教育学や言語聴覚療法の学生にも向けている。第1章が後の章で用いられる研究デザインを説明するので、研究方法の事前の訓練は前提とされていない。

推奨する読み方:

  • 第1章と第10章から始める。 第1章は枠組みと研究デザインを紹介する。短い結論の章を早めに読んでおくと、議論の行き先がわかる。
  • 一つの流れずつ追う。 単語の読みについては第2、4、6章(熟達した読み、発達、ディスレクシア)、続いて読解については第3、5、7章を読む。こうすると並行構成が理解の助けになる。
  • 実践家: 介入と評価の第8・9章は欠かせないが、関連する発達の章を前提としているので、その後に読むこと。
  • 心理学の学生: 第2・3章のモデルと第6章のディスレクシアの理論に時間をかけるとよい。もっとも難しい部分である。

定義の一覧と用語集で自分の語彙を作り、要点のまとめを復習に使うとよい。解説付きの文献案内はレポートの出発点になる。本書は2010年の刊行なので、現在の論争や評価の実務について書く前に、上で挙げたハンドブックなどで最近の研究を確認すること。