01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Tompkins, G. E., Rodgers, E., & Rodgers, A. (2022). Literacy for the 21st Century: Balancing Reading and Writing Instruction (8th ed.). Pearson.
章の要約
本書は3部12章からなり、その後に指導手順の集成である第4部が続く。Pearsonの概要は、本書を、理論と応用のバランスをとりながら読み書きの指導を扱い、技能の教え方を示し、デジタルの教授・学習を支え、教師が生徒に学年水準の基準を満たさせるために必要な知識を重視するものとして説明している。第8版では、Emily RodgersとAdrian Rodgersが共著者に加わり、内容が再編成された。以下の記述は、章題と、出版社による変更点の説明に基づく。
第1部:Understanding and Teaching for Literacy Development(リテラシーの発達の理解と指導)
第1章:Becoming an Effective Literacy Teacher(効果的なリテラシー教師になる)
冒頭の章は、リテラシーの教師を効果的にするものは何かを扱い、本書の以降の部分の職業的な枠組みを定める。
第2章:Examining Students' Literacy Development(生徒のリテラシーの発達を調べる)
Pearsonによれば、前の版では独立した章だったリテラシーの発達が、この改訂された章に統合された。子どもが読み手・書き手としてどう発達するかについての基礎を、教師に与えるためである。
第3章:Assessing Students' Literacy Development(生徒のリテラシーの発達を評価する)
出版社によれば、ここでは評価と評定の概念が整理され、ランニング・レコードについての新しい議論と事例が加わった。これは幼い生徒が読むときの誤りを捉えて分析し、指導に生かすためのものである。
第2部:Literacy Development(リテラシーの発達)
第4章:Cracking the Alphabetic Code(アルファベットの暗号を解く)
音素認識とフォニックスの内容が改訂・拡充されている。Pearsonによれば、音素認識と、音を操作させる方略より前に、話し言葉の概念と音韻認識が導入される。
第5章:Developing Fluent Readers and Writers(流暢な読み手・書き手を育てる)
章題は、流暢さを読むことと書くことの両方に位置づけている。
第6章:Learning to Spell(綴りを学ぶ)
新しく独立した綴りの章で、Pearsonによれば、綴りの発達の段階、綴りの方略、綴りの評価を扱う。
第7章:Expanding Academic Vocabulary(学術的語彙を広げる)
学習に必要な語彙を増やすことを扱う章。
第8〜9章:Teaching Comprehension: Reader Factors; Teaching Comprehension: Text Factors(読解の指導:読み手の要因、読解の指導:テキストの要因)
読解は二つの章に分かれており、一つは読み手が持ち込み行うこと、もう一つはテキストの特徴を扱う。
第3部:Literacy Instruction(リテラシーの指導)
第10章:Scaffolding Students' Reading Development(生徒の読みの発達を足場かけする)
第11章:Scaffolding Students' Writing Development(生徒の書きの発達を足場かけする)
これらは読む過程と書く過程についての新しい二つの章で、Pearsonによれば、教員がそれぞれにより多くの時間をかけられるようになる。個に応じた指導の内容もここに統合されている。
第12章:Reading and Writing Across the Curriculum(教科横断の読み書き)
番号の付いた最後の章で、リテラシーの指導をほかの教科に広げる。
第4部:Compendium of Instructional Procedures(指導手順の集成)
Pearsonはこの部を、段階を追った、エビデンスに基づく指導手順の集まりと説明している。各章で強調された用語が手順を使うのにふさわしい場面を示し、集成がその実施方法を説明する。
主要概念
第1部
- ランニング・レコード: 幼い生徒が読むときの誤りを捉えて分析するための記録で、評価の章で取り上げられる。
- リテラシーの発達: 一つの改訂された章の中で扱われるようになった。
第2部
- 音素認識とフォニックス: アルファベットの暗号の章の内容で、話し言葉と音韻認識のあとに導入される。
- 綴りの発達: 段階、方略、評価。綴りの章で扱う。
- 読み手の要因とテキストの要因: 章題に示された、読解の二つの側面。
第3〜4部
- 足場かけ: 読む過程と書く過程への支援で、別々の章で扱われる。
- 指導手順: 集成にまとめられた、段階を追った方法。
批判的分析
長所
- 読むことと書くことをあわせて扱う。 題名と概要は両者をバランスのとれた一対として示し、目次は書くことにも読むことと並ぶ足場かけの章を与えている。
- 構成要素が明確に分かれている。 暗号、流暢さ、綴り、語彙、読解にそれぞれ章があり、教師は目の前の話題を見つけやすい。
- 実践のための仕掛け。 Pearsonは、各章冒頭の事例、ミニレッスン、手本となる本のブックリスト、生徒の作品の実例、評価のツールとスナップショット、基準のコラムとチェックリストを挙げている。英語学習者の指導、教室での介入、テクノロジーに関する特集も挙げている。
- 再編成された新しい版。 出版社によれば、この版は綴りと読み・書きの別々の章を加え、フォニックスの内容を改訂し、個に応じた指導、テクノロジー、最新の研究を統合している。
短所
- 公開されている詳細は限られる。 章題と出版社の特色の一覧は得られるが、本文は得られないので、特定の方法や根拠についての主張は、採用前に実物で確かめるべきである。
- 教員養成が対象。 将来の学級担任のための教科書であり、研究書ではない。読みの発達に関する研究を知りたい読者は、コースの中のほかの文献に向かうべきである。
- 根拠は一般的にしか述べられていない。 出版社は研究が全体に統合され、手順はエビデンスに基づくと述べるが、本書がどの研究やモデルに依拠しているのか、読みの指導をめぐる論争をどう扱っているのかは示していない。
コースにおける位置づけ
これは読み書きと言語のコースにおける、実践志向の教員養成の教科書である。Mark Seidenbergの『Language at the Speed of Sight』は、読みの科学と、指導がしばしば及ばない理由を一般向けに説明したもので、第4〜9章の有用な補完となる。Morag StuartとRhona Stainthorpの『Reading Development and Teaching』は、シンプル・ビュー・オブ・リーディングを軸にした、エビデンスに基づく入門書であり、Kate Cainの『Reading Development and Difficulties』は、読みの研究の予備知識がない読者のための、読みの学習の心理学の短い入門書である。
Jeanne Challの『Learning to Read: The Great Debate』は、読みの指導の競合する方法を扱った画期的な研究で、歴史的な視点に役立つ。『The Science of Reading: A Handbook』は、教科書を超えて進む用意のある読者のための研究ハンドブックである。教室での実践にはTompkins、Rodgers、Rodgersを、その理由を理解するには研究に基づく入門書の一つを使うのがよい。
本書の使い方
本書は、小学校の読み書きの方法論の科目の学生や、経験の浅い教師向けで、言語学や読みの研究の予備知識は要らない。Pearsonはまた、Tompkinsによる、初期の学年と中間の学年向けの学年別の版も出しており、対象の年齢が絞られている場合に向く。
実践的な進め方は次のとおり。
- 中核: 第1部で、教師の役割と、発達と評価がどう結びつくかを押さえる。
- 内容の章: 第2部。初めての人は順に読む。経験のある教師は必要な領域に進んでよい。低学年なら暗号、流暢さ、綴り、高学年なら語彙と読解である。
- 計画: 第3部と第4部をあわせて。集成から手順を選び、対応する足場かけの章を読み、自分のクラスに合わせて調整する。
公開されている概要は章題と特色の一覧しか示さないため、教科書全体を指定する前に、図書館の所蔵本や見本のページで各章がどのように書かれているかを確かめるとよい。StuartとStainthorpやSeidenbergのような、研究を軸にした文献を一つ組み合わせ、教室での手順を、その根拠とあわせて読む。