01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Bastedo, M. N., Altbach, P. G., & Gumport, P. J. (Eds.). (2023). American Higher Education in the Twenty-First Century: Social, Political, and Economic Challenges (5th ed.). Johns Hopkins University Press.
章の要約
約 576 ページの編著で、1998 年に初版が出て、現在は第 5 版である。編者はマイケル・N・バステド、フィリップ・G・アルトバック、パトリシア・J・ガンポートで、各章は多数の専門家が執筆している。ピーター・ライリー・バール、ジョイ・ブランチャード、チャールズ・H・F・デイヴィス三世、ハンス・デ・ウィット、ロジャー・L・ガイガー、エイドリアナ・ケザール、ローラ・W・パーナ、ゲーリー・ローズらがその中に含まれる。出版社は、アメリカの大学の将来に関心を持つすべての人にとって欠かせない参考書だとし、歴史、財政、ガバナンス、州政府および連邦政府との関係を含む、アメリカの高等教育の複雑な現実への包括的な入門として提供している。
出版社の説明は章を列挙していない。そのため以下の要約は出版社が挙げる主題領域に沿って組み立てており、内容を特定の章や執筆者に帰属させてはいない。
社会を映すレンズとしての高等教育
全体を貫く考えは、情報技術の進歩であれ、組織された社会運動であれ、人種的不平等や社会階層の分化であれ、高等教育はアメリカ社会の重要な問題を調べるためのレンズだということである。高等教育は、教室での教育の場としてではなく、社会の中の制度として扱われる。出版社は、高等教育と社会の関係というより広い主題の下で、これほど幅広い問題を扱う本はほかにないと述べる。
歴史、財政、ガバナンス
本書は、アメリカの高等教育が今の姿になった経緯とその運営の仕組みへの入門を示す。出版社は、その歴史、財政、ガバナンスを核となる領域として挙げ、大学と州・連邦政府との関係も加える。これらは、より具体的な主題が拠って立つ土台である。
公平、多様性、アカデミアの応答性
この版は、高等教育内部の民族的・社会経済的な多様性が持つ意味を考察し、アカデミアの応答性と将来についての高まる懸念を取り上げる。人種的不平等と社会階層の分化は、高等教育がレンズとなる問題として挙げられており、この版には、広く門戸を開く大学、人種と人種主義、組織された社会運動を扱う 3 つの全く新しい章がある。
この版での最近の展開
各章は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック、人種正義の運動、営利部門の混乱など、高等教育の最近の重要課題に対応するために書き直された。出版社は、この版が最先端の研究を取り入れ、これまで以上に有用で魅力的だと述べる。
主要概念
社会の中の高等教育
- 社会を映すレンズとしての高等教育:技術、社会運動、不平等、社会階層などの問題を読み解く本書の枠組み。
- 州政府・連邦政府との関係:アメリカの機関が活動する公共政策の環境。
機関とその運営
- 歴史、財政、ガバナンス:出版社が本書の核となる入門として挙げる 3 つの領域。
- 営利部門:混乱の中にあり、この版の章が取り上げる部門。
公平と変化
- 広く門戸を開く大学:3 つの新しい章の一つの主題。
- 人種と人種主義:もう一つの新しい章の主題。
- 組織された社会運動:三つ目の新しい章の主題。
批判的分析
長所
- 歴史、財政、ガバナンス、政府との関係に、公平と社会変化を加え、「社会の中の高等教育」という一貫した枠組みの中に収めた幅広い範囲を持つ。
- 執筆者は専門家で、各章はその分野で働く人が書いており、単独の著者による概観にはない権威を与える。
- 1998 年以来 5 つの版を重ね、この版は最近の出来事を反映するためにすべての章を書き直した。
- 3 つの新しい章は、以前の版では独立した章として扱われなかった主題を加えている。
短所
- アメリカの高等教育を扱う。他の国の制度に関心のある読者には比較の資料が要る。
- 多数の執筆者による編著であるため、文体、深さ、方法は章ごとに異なる。
- 高等教育研究、社会科学、公共政策の素養がすでにある読者向けの発展的な本で、大学教育の最初の入門書ではない。
コースにおける位置づけ
高等教育のグループでは、ほぼすべての他の本が教育と学習についてであり、本書は機関についての本である。マーシャルの『Handbook for Teaching and Learning in Higher Education』は、政策的背景、教育実践、評価、学生支援を扱う。ビッグス、タン、ケネディの『Teaching for Quality Learning at University』は、構成的整合性を軸に大学教育を組み立てる。ロベットらの『How Learning Works』、ラングの『Small Teaching』、ベインの『What the Best College Teachers Do』は、学生がどう学び、優れた教員が何をするかを扱う。バステド、アルトバック、ガンポートが答えるのは別の問いで、アメリカの大学が何であり、どのように資金を得て統治され、どのような圧力に直面しているかである。教育に関する本の前か後に、背景を知るために読む本である。
本書の使い方
高等教育プログラムの大学院生、研究者、政策の読者、そして研究分野としての高等教育への体系的な入門を求める大学の管理者に向く。社会科学や公共政策の素養と、高等教育についての授業を受けていることが、有益な準備になる。
実用的な進め方は、歴史、財政、ガバナンスの部分から始めることで、これが残りの部分に語彙を与える。次に関心や授業の主題に応じて章を選ぶ。州・連邦政府との関係、公平と多様性、あるいは広く門戸を開く大学、人種と人種主義、社会運動についての新しい章である。本書は論集なので、各章は独立して、どの順序でも読め、単独の指定文献としてもよく機能する。授業が機関の背景と教室の実践の両方を必要とするときは教育に関する本と組み合わせ、第 5 版を使っていることを確認する。すべての章がこの版のために書き直されたからである。
