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The Art of Strategy: A Game Theorist's Guide to Success in Business and Life(戦略の技法:ゲーム理論家によるビジネスと人生のガイド) cover

経済学

経済学

The Art of Strategy: A Game Theorist's Guide to Success in Business and Life(戦略の技法:ゲーム理論家によるビジネスと人生のガイド)

Avinash K. Dixit; Barry J. Nalebuff

英語原題: The Art of Strategy: A Game Theorist's Guide to Success in Business and Life

二人の経済学者が一般読者と学生に向けて書いた、数式を使わないゲーム理論の入門書である。ビジネス、政治、スポーツ、日常生活の物語や事例を通じて戦略的思考の中心的な考え方を教え、答えを読む前に各概念を自分で当てはめてみるよう促すケーススタディも収める。

前提知識: 簡単な算数と表を読む力以上の数学は必要ない。

難易度レベル
初級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Dixit, A. K., & Nalebuff, B. J. (2010). The Art of Strategy: A Game Theorist's Guide to Success in Business and Life. W. W. Norton & Company.

章の要約

The Art of Strategy(初版は2008年。ペーパーバックは2010年1月刊、512ページ)は、著者たちの以前の著書 Thinking Strategically(1991年)の改訂として始まった。序論と、3部からなる14の章で構成される。ノートン社は本書を、ポップカルチャー、テレビ、映画、スポーツ、政治、歴史のケーススタディに基づいて戦略的思考を説明する本と紹介している。クリシュナ・チャンドラ・バロディは Indore Management Journal(2010年)の書評で、本書が経済学や数学の予備知識を前提としないこと、各原理を戦略の「ルール」として示していること、読者が解く問題を巻末の解答付きで収めていること、行動ゲーム理論の知見を取り入れていることを指摘している。

序論:人は社会の中でどう振る舞うべきか

誰もが相互に依存する決定の連続に直面する戦略家であると示し、ゲーム理論を定義して、その応用範囲を概観する。

第1章:戦略の物語

戦略的状況を描く10の短い物語(バロディは「数字を選べ」「ホットハンド」「我ここに立つ」を挙げている)を通じて、戦略的な問題がさまざまな場面でどのように生じ、どの戦略がうまくいき、どれがうまくいかないかを示す。

第2〜4章:後ろ向きの推論で解けるゲーム/囚人のジレンマとその解決法/美しい均衡

中核となる概念。第2章は「先を読み、後ろ向きに推論せよ」というルールのもとで、ゲームの木を使って逐次ゲームを扱う。第3章は囚人のジレンマと支配戦略、そしてジレンマを解決する方法に充てられる。第4章は支配戦略のない同時手番ゲームを扱い、支配される戦略や決して最適反応にならない戦略を消去すること、そして複数の均衡があるゲームを含めてナッシュ均衡を見つけることを論じる。この部のエピローグは、均衡を探せというルールをまとめている。

第5章:選択と偶然

混合戦略を扱う。純粋な対立のゲームでは、なぜ自分の選択を相手に予測させないことが得になるのか、そして相手がつけ込む余地を残さない比率をどう選ぶかを説明する。

第6〜7章:戦略的行動/戦略に信憑性をもたせる

戦略的行動とは、コミットメント、脅し、約束のように、ゲームそのものを変える行動である。第7章は、そうした行動に信憑性をもたせる方法を、利得を変える、自分が後に引けないようにする、他者(チームや代理人)の助けを借りる、という三つの原則のもとに分類する。

第8章:情報を解釈し操作する

情報が非対称なゲームを扱う。シグナリング、シグナル・ジャミング、スクリーニング、そして各プレーヤーが知っていることが、とりうる手をどう左右するかを論じる。

第9章:協力と協調

対立と共通の利害が混在するゲームを扱い、複数の均衡がある協調問題を含む。

第10〜13章:オークション、入札、コンテスト/交渉/投票/インセンティブ

応用の章。第10章は英国式、日本式、オランダ式などのオークション形式を比較し、米国財務省が統一価格ルールへ移行した例などを取り上げる。第11章は、交渉が成立しない場合の最善の代替案(BATNA)を含む交渉の戦術を扱う。第12章は、票を集計するどの方法でも投票者に戦略的に投票する誘因が生じることを示す。第13章は労働者と経営者のインセンティブ設計を論じ、例を通じて効果的なインセンティブ制度の要素を組み立てる。

第14章:ケーススタディ

著者たちの授業で使われるものに似たケースの集まり。各ケースはある状況を提示し、分析を読む前に本書の原則を適用してみるよう読者に促す。正解が一つに定まらない、結論の開かれたケースもある。

主要概念

序論と第1〜5章

  • 先を読み、後ろ向きに推論する:それぞれの選択がどこにつながるかを予測して逐次ゲームを解くこと。
  • 支配戦略:他のプレーヤーが何をしても最善となる戦略。
  • ナッシュ均衡:各プレーヤーの選択が他者の選択に対する最適反応になっている戦略の組。
  • 混合戦略:純粋な対立のゲームで意図的にランダム化すること。

第6〜9章

  • 戦略的行動:ゲームを行動する側に有利なように変えるコミットメント、脅し、約束。
  • 信憑性:利得を変える、退路を断つ、委任するといった方法で、戦略的行動を信じさせること。
  • シグナリングとスクリーニング:コストのかかる行動や工夫された選択肢を通じて、私的情報を明らかにしたり引き出したりすること。

第10〜14章

  • オークション形式:英国式、オランダ式、統一価格方式などのオークションの規則が入札者の戦略をどう形づくるか。
  • BATNA:交渉が成立しない場合の最善の代替案で、交渉の結果に大きく影響する。
  • 戦略的投票:結果に影響を与えるために、より好ましくない選択肢に投票すること。
  • インセンティブ制度:従業員の利害を組織の利害と一致させるよう設計された報酬と罰則。

批判的分析

長所

  • わかりやすく引き込まれる。 ノートン社は、実践的な洞察と読む楽しさをこれほど兼ね備えた本はほかに思い浮かばないというスティーヴン・レヴィットの評を引用しており、バロディは本書が経済学も数学も前提としないことを強調している。
  • ルールとして示される原則。 中核となる各章は、その教訓を戦略のルール(先を読み、後ろ向きに推論せよ。支配戦略があれば使え。支配される戦略を消去せよ。均衡を探せ)にまとめており、考え方を覚えて応用しやすい。
  • 能動的な学習。 巻末に解答のある読者向けの問題と、最終章のケーススタディが、読むだけでなく問題に取り組むことを促す。
  • 幅広い応用。 オークション、交渉、投票、インセンティブにそれぞれ丸ごと一章が充てられており、ゲーム理論の入門授業の応用分野の多くをカバーしている。

短所

  • 形式的な道具立てがない。 数学の使用は最小限であり、厳密な定義、証明、数学的な演習が必要な読者は教科書に頼る必要がある。
  • ビジネス志向。 出版社は本書をビジネスと人生での成功に向けたものとして売り出しており、米国財務省のオークションのように、いくつかの例は米国のものである。生物学や哲学への応用を求める読者には物足りない。
  • 分量。 約500ページと、非技術的な入門書としては長い。簡潔な概観を求める読者には、もっと短い本のほうが向いているかもしれない。

コースにおける位置づけ

このコースの文献リストの中で、The Art of Strategy は、戦略的思考への物語形式の入門書である。ケン・ビンモアの Game Theory: A Very Short Introduction ははるかに短く、より概念的な概説書で、進化生物学や哲学的なパズルも扱っている。両者は互いを補い合う。同じ筆頭著者によるディキシット、スキース、マクアダムズの Games of Strategy は、体系的な演習を備えた対応する学部向け教科書であり、本格的な授業を受ける学生にとって自然な次の一歩である。

ギボンズの Game Theory for Applied Economists とオズボーンとルービンシュタインの A Course in Game Theory は形式的な扱いの本である。ギボンズは、均衡、繰り返しゲーム、不完備情報をコンパクトかつより数学的に学びたい経済学の学生向けであり、オズボーンとルービンシュタインは厳密な定義と証明を伴う大学院での学習向けである。

本書の使い方

本書は一般の読者、経営者、そしてビジネス、経済学、政治学の学生を対象としている。簡単な算術と表を超える数学は必要ない。

  • 中核: 序論と第1〜7章。後ろ向きの推論、支配、ナッシュ均衡、混合戦略、戦略的行動と信憑性という道具を組み立てる。
  • 次に: 情報と協調を扱う第8〜9章。
  • 関心に応じて: 第10〜13章はどの順番で読んでもよい。ビジネスの学生はオークション、交渉、インセンティブから、政治学の学生は投票から最も多くを得られる。
  • 実践: 巻末の解答を見る前に問題に取り組み、第14章のケースは解説を読む前に自分で検討する。

ゲーム理論の授業の副読本として使う場合は、各トピックの前に関連する章を読み、そのうえで Games of Strategy やギボンズの形式的な演習問題に取り組むとよい。