01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Binmore, K. (2007). Game Theory: A Very Short Introduction. Oxford University Press.
章の要約
本書は序文と10の章からなり、約175ページである。出版社の説明によれば、本書はゲーム理論、すなわちゲームを合理的にプレーする方法の研究を、数式を使わずにめぐる案内である。渋滞の中での運転、eBayでの入札、スーパーマーケットの価格設定といった日常のゲームから出発し、ジョン・ナッシュをはじめとするこの分野の創始者たちの短い伝記も収めている。最初の3章で基本的な道具(ナッシュ均衡、混合戦略、後ろ向き帰納法)を組み立て、残りの7章でそれを慣習、繰り返しゲーム、情報、オークション、生物学、交渉に適用・拡張し、最後によくある誤謬を扱う章で締めくくる。
第1章:ゲームの名前
ゲーム理論と、プレーヤーが合理的に行動するという前提を紹介する。フォン・ノイマンのミニマックス定理、結果を数値で順位づける効用の考え方、そして囚人のジレンマで例示されるナッシュ均衡を提示する。
第2章:偶然
相手に読まれないようにプレーヤーがランダムに選ぶ混合戦略と、それによって生じる混合戦略のナッシュ均衡を説明する。プレーヤーがランダム化するのは利得が等しい戦略の間に限られること、均衡はふつう試行錯誤による学習を通じて達成されることを指摘し、最悪の場合に備える方法としてのミニマックス定理に立ち返る。
第3章:時間
チェスやポーカーのようなゲームで手番のタイミングがいかに重要かを示し、そうしたゲームを利得表ではなくゲームの木として表す。後ろ向き帰納法と支配される戦略の消去によって、完全情報ゲームではゲーム全体とすべての部分ゲームにおける均衡が導かれる。
第4章:慣習
題名が示すとおり、この章は慣習を扱う。最終章では、慣習は外部の権威から与えられるのではなく、文化的進化によって確立されると論じられる。
第5章:互恵性
繰り返しゲームを検討する。回数が決まった有限回の繰り返しでは後ろ向き帰納法によって協力が排除されるが、終わりの定まらない関係では協力が可能になる。フォーク定理(違反が見える限り、外部の強制機関なしに協力を維持できる)、集団の中でのしっぺ返し戦略の限界、そして権威、義務、感情についてのゲーム理論的な説明を論じる。
第6章:情報
不完全情報のゲームを、ポーカーとブラフを主な例として扱う。ホッブズに依拠してプレーヤーの「タイプ」を導入し、タイプが共有知識であるという前提と、ふつうはコストのかかる行動を必要とするシグナリングを説明する。
第7章:オークション
メカニズムデザイン、すなわちプリンシパルが規則とインセンティブを用いてエージェントに望ましい行動をとらせる方法を紹介する。公的資産のオークションを以前の「美人コンテスト」方式と対比し、英国式、オランダ式、封印入札式のオークションを説明して、オークションの設計は状況に合わせる必要があると強調する。
第8章:進化生物学
ゲーム理論を進化に適用し、行動を戦略、適応度を効用とみなす。複製子と進化的に安定な状態を紹介し、タカ・ハトゲーム、囚人のジレンマ、チキンゲームを再検討して、家族内の協力と、文化的な複製子であるミームを論じる。
第9章:交渉と提携
題名が示すとおり、この章はプレーヤー間の交渉と、プレーヤーが形成する提携を扱う。
第10章:パズルとパラドックス
特に囚人のジレンマをめぐる、よく知られた誤謬を解体する。定言命法に基づく議論、「双子の誤謬」、死票の神話、透明な性向の誤謬である。さらにニューカムのパラドックスと抜き打ちテストのパラドックスも論じる。
主要概念
第1〜3章:基本的な道具
- ナッシュ均衡:どのプレーヤーも自分だけ戦略を変えることでより良くなれない戦略の組み合わせ。
- 効用:あるプレーヤーにとってのゲームの結果を順位づける数値の尺度。
- 混合戦略:相手に読まれないよう、純粋戦略の中からランダムに選ぶこと。
- 後ろ向き帰納法:最後の手番から逆にたどってゲームの木を解くこと。
第4〜6章:社会的相互作用と情報
- フォーク定理:終わりの定まらない繰り返しゲームでは、処罰の脅しによって多くの協力的な結果が維持できる。
- 共有知識:すべてのプレーヤーが知っており、他のプレーヤーが知っていることも知っており、以下同様に続くこと。標準的な分析ではプレーヤーのタイプについてこれが仮定される。
- シグナリング:プレーヤーのタイプを明らかにする、コストのかかる行動。
第7〜10章:応用と誤謬
- メカニズムデザイン:オークションのようなゲームの規則を、目的を達成するように設計すること。
- 複製子:遺伝子やミームのように自らを複製し、ゲームにおける行動を決めるもので、進化ゲーム理論の基礎となる。
- 囚人のジレンマの誤謬:1回限りのジレンマで合理的なプレーヤーは協力すべきだとする誤った議論。
批判的分析
長所
- 第一線のゲーム理論家による執筆。 出版社はビンモアを著名なゲーム理論家として紹介しており、本書は短いながら、標準的な解概念に加えて、メカニズムデザインとオークション、進化ゲーム理論、慣習の論理まで扱っている。
- 数式が不要。 出版社は、数式を使わずにこの分野を説明している点を強調している。議論を支えるのは利得表とゲームの木である。
- 分野を横断する幅広さ。 応用はポーカーやオークションから、ハチの性比、文化的進化、道徳哲学にまで及び、経済学、生物学、政治学、哲学の読者に向いている。
- よくある誤読を正す。 囚人のジレンマをめぐる誤謬を扱う最終章は、一般向けの文章でこのゲームに出会った学生にとって有益な矯正になる。
短所
- 非常に凝縮されている。 約175ページに10章を収めているため、各概念には数ページしか割かれない。演習問題や形式的な定義を求める読者は教科書が必要になる。
- 独自の視点。 最終章は一連の議論を誤謬として論駁することを目的としており、互恵性の章は権威、義務、感情をゲーム理論で説明しようとする。読者はこれらを著者の立場として認識し、他の扱いと比べるべきである。
- 演習問題がない。 本書は読むためのもので、技法を練習するためのものではない。
コースにおける位置づけ
このコースの文献リストの中で、ビンモアの本書は最も短い概説書であり、ゲーム理論が何を扱うのかを最も早くつかめる一冊である。ディキシットとネイルバフの The Art of Strategy は、物語を軸にした、より長い非技術的な入門書で、読者にケースを解かせる。両者は組み合わせやすく、ビンモアはより概念的、ディキシットとネイルバフはより実践的である。ディキシット、スキース、マクアダムズの Games of Strategy は、同じ考え方を演習付きの授業に仕立てた学部向け教科書である。
より形式的な学習には、ギボンズの Game Theory for Applied Economists が経済学の学生向けに均衡、繰り返しゲーム、不完備情報をコンパクトかつより形式的に扱い、オズボーンとルービンシュタインの A Course in Game Theory は厳密な定義と証明を備えた大学院向けの教科書である。ビンモア自身の本格的な教科書 Playing for Real(オックスフォード大学出版局、2007年)も、彼のアプローチを好む読者にとってのさらなる選択肢である。
本書の使い方
本書は、あらゆる分野の初学者、これからゲーム理論の授業を受ける学生、教科書に取り組む前に分野の見取り図を得たい読者に向いている。学校で学ぶ数学で十分である。
- 第1〜3章を最初にゆっくり読む: 本書の残りで使われる解概念がここで導入される。
- その後は関心に応じて選ぶ: 経済学の学生は第5〜7章と第9章を、生物学や哲学の学生は第4章、第8章、第10章を優先するとよい。
- 紙と鉛筆を使う: 利得表とゲームの木を自分で描き直し、均衡を自分で確かめる。
授業の副読本として使う場合は、各講義のまとまりの前に関連する章を読み(たとえば展開形ゲームの前に第3章、不完備情報の前に第6章、オークションの前に第7章)、そのうえで Games of Strategy やギボンズの演習問題に取り組むとよい。
