01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Varian, H. R., & Melitz, M. (2024). Intermediate Microeconomics: A Modern Approach (10th ed.). W. W. Norton & Company.
章の要約
第10版は、序文、短い37の章、数学付録、そして情報技術に関するオンライン/電子書籍の章から成り、国際版の紙の本は816ページである。ノートン(Norton)は本書を、短くテーマ別の章で組み立てたものとして紹介しており、目次もそれを裏づける。各章に掲げられている主題は一つであり、配列は標準的な中級課程に沿っている。消費者理論から企業へ、さらに市場構造と戦略的行動へ進み、最後に一般均衡、厚生、市場の失敗に至る。
第1~8章:市場;予算制約;選好;効用;選択;需要;顕示選好;スルツキー方程式
冒頭のまとまりは消費者を完全に扱う。第1章「市場」が本書の幕を開け、第2~5章で予算制約、選好、効用、最適選択を組み立て、第6章で需要を導く。第7章と第8章は、顕示選好とスルツキー方程式という二つの別の角度から需要に戻る。
第9~15章:売買;異時点間の選択;資産市場;不確実性;リスク資産;消費者余剰;市場需要
消費者理論は、初期保有(売買)、時間をまたぐ選択、資産市場、不確実性、リスク資産へと広げられる。第14章は消費者余剰を測り、第15章は個人の需要を市場需要に集計する。
第16~18章:均衡;測定;オークション
第16章は需要と供給を合わせて均衡を論じる。第17章の章題は「測定」である。第18章はオークションを扱い、企業に関する諸章の前に置かれている。
第19~24章:技術;利潤最大化;費用最小化;費用曲線;企業の供給;産業の供給
生産者側は消費者側と対応している。企業が持つ技術、利潤を最大にする投入と産出の選択、費用最小化、そこから得られる費用曲線、そして企業の供給と産業の供給である。
第25~27章:独占;独占の行動;要素市場
独占を扱う二つの章(二つ目は独占者の行動)に、要素市場が続く。
第28~31章:寡占;ゲーム理論;ゲームの応用;行動経済学
戦略的行動のまとまりは、寡占からゲーム理論とその応用へ進み、行動経済学の章で締めくくられる。
第32~34章:交換;生産;厚生
経済全体を扱う。交換(第32章)、次いで生産(第33章)、そして厚生(第34章)である。
第35~37章:外部性;公共財;非対称情報
最後のまとまりは、外部性、公共財、非対称情報という三つのさらなる主題を扱う。
付録とオンラインの章
数学付録が続く。出版社の注記によれば、微積分版の姉妹書ではこの内容が本文に組み込まれている。情報技術についてのオンライン/電子書籍の章が巻末部分に挙げられており、紙の本は解答で終わる。
主要概念
第1~15章:消費者
- 予算制約、選好、効用:第2~4章で扱う消費者選択の三つの構成要素。
- 顕示選好とスルツキー方程式:需要を分析する二つの別の方法(第7~8章)。
- 異時点間の選択と不確実性:消費者選択を時間とリスクへ拡張するもの(第10~13章)。
- 消費者余剰:第14章で導入される便益の尺度。
第16~37章:企業、市場、厚生
- 費用最小化と費用曲線:消費者の最適化に対応する生産者側の議論。
- 独占と寡占:第25~28章で扱われる市場構造。
- ゲーム理論:第29~30章の戦略的相互作用とその応用。
- 厚生、外部性、公共財:第34~36章の主題。
- 非対称情報:最終章の主題。
批判的分析
長所
- 短い単一テーマの章。 出版社は、本書が短い章と興味深い例で長く評価されてきたと述べており、目次には題をもつ37の単位が並ぶので、教員も学生も一度に一つの主題を取り上げられる。
- 二つの数学水準に対応する二つの版。 第10版は代数版である。別に微積分を用いる姉妹書 Microeconomics with Calculus(第2版)があり、数学付録を本文に組み込んでいるので、学生は自分の準備に合った版を選べる。
- 更新された事例と練習。 ノートンは、研究、産業、メリッツの教育経験から得た新しい応用例を挙げており、電気自動車の需要や、パンデミック後のインフレーションなどが含まれる。利用頻度の高い17章には対話的な機能があり、Check Your Understanding の問いと Smartwork の問題集はフィードバック付きの練習を提供する。
- 幅広い主題。 消費者と企業という中核の流れに加えて、オークション、行動経済学、非対称情報、情報技術の章が目次に含まれる。
短所
- 一つの授業には長い。 国際版は37章、816ページで、一学期分を超える内容があるため、シラバスの側で取捨選択が必要になる。
- 数学の水準。 第10版は代数版で、数学は付録にある。章の中で最適化を解きたい学生には、別の微積分版の姉妹書が必要になる。
- 出版社のプラットフォームに結びついたデジタル機能。 対話的機能、Illumine 電子書籍、Smartwork など新しい支援の多くはノートンのプラットフォームを通じて提供される。紙の本にはアクセスコードが付く。
コースにおける位置づけ
本書は中級ミクロ経済学の書目の中心となる教科書である。原理の授業を終えた学生を対象に、標準的なモデルの導出と応用を教える。パーキン(Parkin)の Microeconomics は原理レベルの教科書、ディキシット(Dixit)の Microeconomics: A Very Short Introduction は短い非技術的な概観で、どちらもヴァリアンとメリッツの前に読める。ピンダイクとルビンフェルド(Pindyck and Rubinfeld)の Microeconomics はもう一冊の中級教科書で、同じ中核の主題を図と言葉による推論で展開し、任意の微積分付録を備える。そのため、この本とヴァリアン=メリッツのどちらを選ぶかは、授業の好み次第である。
本書の後には、マスコレル、ウィンストン、グリーン(Mas-Colell, Whinston and Green)の Microeconomic Theory と、ジェーリとレニー(Jehle and Reny)の Advanced Microeconomic Theory という大学院レベルの扱いがある。どちらも中級ミクロ経済学と多変数の微積分を前提とし、ヴァリアンとメリッツが求めるより多くの数学を必要とする。
本書の使い方
本書は原理の授業を終えた学部生向けである。ノートンはこの版を代数版と説明し、別に微積分を用いる姉妹書があるため、主な要件は代数とグラフに慣れていることである。
実用的な読み方としては、第1~8章を順に読む。以降のすべての章が消費者の問題の上に築かれているからである。第9~15章はその拡張で、シラバスに応じて選べる。不確実性とリスク資産を扱う第12~13章は、金融に関心のある学生に特に有用である。続いて、競争的な企業と産業のために第16章と第19~24章、市場支配力のために第25~28章、ゲーム理論のために第29~30章を読む。第32~37章は、一般均衡、厚生、市場の失敗についての総仕上げである。オークション(第18章)、行動経済学(第31章)、オンラインの情報技術の章は、任意の読み物にふさわしい。各節のあとに Check Your Understanding の問いを使い、授業でアクセスが提供されるなら Smartwork の問題も使うとよい。
