01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Parkin, M. (2022). Microeconomics (14th ed., Global Edition). Pearson.
章の要約
本書は6部20章からなり、グローバル版ペーパーバックで約550ページである。出版社は1学期の入門ミクロ経済学の授業向けと位置づけている。各章の冒頭と末尾には、その章の道具を使って分析するニュース記事が置かれ、出版社が挙げる定番の特徴は、Economics in Action と Economics in the News のコラム、解答と主要な図を伴う Worked Problems(例題)、本文中の Review Quizzes(確認クイズ)、そして経済学者へのインタビューである。第14版では6つの章に新型コロナウイルス感染症の事例が加わり、第1章には経済学における女性とマイノリティの過少代表を扱う新しい節が設けられた。
第1〜2章:経済学とは何か/経済問題
第1部「導入」は学問の対象を定義し、経済学的な考え方を紹介する。この版で新たに、経済学の専門職における多様性を扱う節が加わった。第2章は希少性と選択という経済問題を提示する。出版社によれば、新型コロナが生産可能性フロンティアに与えた影響についての新しい事例がある。
第3〜7章:需要と供給/弾力性/効率性と公平性/市場における政府の行動/グローバル市場の実際
第2部「市場はどう機能するか」は授業の中核である。需要と供給のモデル(新しい例はパンデミック下の手指消毒剤市場)から弾力性(マスクの供給の弾力性)に進み、市場の結果が効率的で公平かを問う。第6章はモデルを政府の介入に当てはめ、最低賃金15ドルを求める動きについての新しい議論を含む。第7章はそれを国際貿易に広げ、世界貿易機関や米中貿易戦争を取り上げる。
第8〜9章:効用と需要/可能性、選好、選択
第3部「家計の選択」は消費者選択を二通りに説明する。第8章の効用と需要(例はパンデミック中の映画配信)と、第9章の消費可能性と選好であり、第9章では砂糖入り飲料への課税が分析される。
第10〜15章:生産の組織化/産出と費用/完全競争/独占/独占的競争/寡占
第4部「企業と市場」は最も長い部である。企業がどう組織されるかから費用曲線(第11章ではアマゾンの物流センターに関する意思決定が例となる)に進み、四つの市場構造をたどる。完全競争(パンデミック下のフィットネス機器とサービス)から、独占、独占的競争(動画配信サービスにおける製品差別化)、寡占までである。
第16〜17章:公共選択、公共財、医療/外部性
第5部「市場の失敗と政府」は、医療を明示的な応用分野として、公共選択と公共財を扱い、さらに外部性を扱う。外部性の章では、排出削減のための炭素価格付けが主要な分析として取り上げられる。
第18〜20章:生産要素の市場/経済的不平等/不確実性と情報
第6部は、生産要素の市場、パンデミックが労働市場に与えた影響による不平等の拡大を新たに扱う経済的不平等の章、そして不確実性と情報の最終章で本書を締めくくる。
主要概念
第1〜7章:導入と市場の働き
- 経済問題:希少性が選択を強いること。生産可能性フロンティアで示される。
- 需要と供給:競争的市場とその均衡のモデル。
- 弾力性:需要量や供給量が価格その他の変数にどれだけ反応するか。
- 効率性と公平性:市場の結果を評価する二つの基準。
- 市場における政府の行動:最低賃金のような価格の上限・下限規制とその影響。
第8〜15章:家計と企業
- 効用と需要:財がもたらす満足から需要を導く、消費者選択の第一の説明。
- 可能性と選好:家計が購入できるものと好むものを組み合わせる第二の説明。
- 産出と費用:企業の費用が生産量に応じてどう変化するか。
- 市場構造:完全競争、独占、独占的競争、寡占。
第16〜20章:市場の失敗、要素市場、情報
- 公共財:市場では過少にしか供給されない財。第16章で公共選択とともに扱われる。
- 外部性:第三者に及ぶ費用や便益。分析される対策は炭素価格付けである。
- 要素市場:要素所得を決める生産要素の市場。
- 経済的不平等:所得と富の分配とその原因。
- 不確実性と情報:リスクと不完全な情報が意思決定と市場にどう影響するか。
批判的分析
長所
- 図と演習が組み込まれている。 出版社は図のわかりやすさを強調しており、各章には解答付きの Worked Problems と本文中の Review Quizzes があるので、学生は別の教材なしに節ごとに理解度を確かめられる。
- 入門の範囲を網羅。 20の章が希少性から要素市場、不平等、情報までを扱い、市場の失敗に一つの部を、不平等に一章を充てている。1学期の入門授業に必要と思われるものはすべてそろっている。
- 時事的で応用的な事例。 章の冒頭と末尾のニュース記事や Economics in the News のコラムが、各章を現在の問題と結びつける。第14版の事例(パンデミック、最低賃金、米中貿易戦争、砂糖入り飲料税、炭素価格付け)は、出版社が章ごとに列挙している。
- 消費者理論への二つの道。 効用の章と、可能性と選好の章が分かれているので、教員はアプローチを選べる。選好に基づく方法は、中級の授業が土台とする枠組みである。
短所
- 中級書ではなく入門書。 出版社は1学期の入門授業向けと位置づけ、図を主な道具として強調している。したがって中級の授業に代わるものではなく、その準備となる本である。
- 分量。 約550ページ、20章の本格的な教科書であり、まず手早く概観したい学生にはディキシットの短い本のほうが取り組みやすいだろう。
- デジタル教材は別売り。 MyLab Economics と Pearson eText は印刷版とは別に販売されている。
- 版の古さ。 この版の新しい題材はパンデミックの時期と2020年代初めの貿易紛争が中心で、「時事的」な事例の一部はすでに古くなっている。
コースにおける位置づけ
パーキンの本は、このミクロ経済学コースにおける入門レベルの主要教科書である。ディキシットの Microeconomics: A Very Short Introduction は経済学者の考え方を短く概観する本で、パーキンを始める前に週末で読める。その後パーキンが、グラフ、定義、練習問題を提供する。経済学をまったく学んだことのない学生は、中級のテキストに進む前に、パーキン全体か少なくとも第2〜4部に取り組むべきである。
中級ミクロ経済学では、ヴァリアンとメリッツの Intermediate Microeconomics: A Modern Approach が控えめな微積分を用いて最適化から消費者理論と生産者理論を組み立て、ピンダイクとルビンフェルドの Microeconomics が主にグラフと応用例で理論を展開する。可能性と選好を扱うパーキンの第9章と、費用と市場構造を扱う第10〜15章が、両書への直接の準備となる。書目にある大学院テキスト、マスコレル、ウィンストン、グリーンの Microeconomic Theory とジェーレとレニーの Advanced Microeconomic Theory は、本書の後ではなく中級の授業の後に読むものである。
本書の使い方
経済学の予備知識は必要ない。高校程度の代数とグラフを読む力があれば十分である。
- 中核: 第1〜4部(第1〜15章)はどの入門授業でも骨格となる。後の学習にとって最も重要なのは第3〜5章と第11〜13章である。
- 時間がなければ消費者の章は一つを選ぶ: 第9章(可能性と選好)は、選好に基づく消費者理論をとる中級ミクロ経済学へのよりよい準備になる。第8章(効用と需要)はもう一つの道である。
- 選択的に読む部分: 第5〜6部は入門授業では比較的手短に扱われることが多い。第17章(外部性)と第20章(不確実性と情報)は、中級の授業で発展させられるテーマなので読む価値がある。
- 演習: 各章の Worked Problem と Review Quizzes に取り組み、主要な図を記憶から描き直す。末尾のニュース記事は最後に読み、本書の分析を読む前に自分で分析してみる。
独学で中級ミクロ経済学に備える学生には、Worked Problems をすべて解きながら第2〜4部を4〜6週間で進める計画が、しっかりした土台になる。
