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Financial Accounting for Decision Makers(意思決定のための財務会計) cover

ビジネス

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Financial Accounting for Decision Makers(意思決定のための財務会計)

Peter Atrill; Eddie McLaney

英語原題: Financial Accounting for Decision Makers

財務諸表を作成する側ではなく利用する側の視点から財務会計を教える、英国の学部向け教科書である。財政状態計算書、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書が IFRS のもとでどのように作られるかを説明し、企業に関する意思決定のためにそれらを分析・解釈する方法を示している。

前提知識: 会計を学んだ経験は不要で、基本的な計算力と企業経営への関心があれば足りる。

難易度レベル
中級
学術レベル
学部
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01 / 読書ガイド

読書ガイド

引用

Atrill, P., & McLaney, E. (2025). Financial Accounting for Decision Makers (11th ed.). Pearson.

章の要約

目次によれば、本書は12の章と1つの付録からなる。Pearson は本書を、演習と実際の企業報告書に基づく解説を用いて、財務諸表がどのように意思決定の質を高めるかを段階的に示す入門書として紹介している。章の順序は、会計の目的から始まり、主要な財務諸表と有限責任会社の会計を経て、分析、企業グループ、ガバナンスへと進む。

第1章:会計入門

財務諸表を作成する前に、まず会計という分野そのものを紹介する章である。Pearson は本書全体を意思決定における財務情報の利用という観点で位置づけており、誰が会計情報を使い、なぜ使うのかを整理する出発点となる。

第2章:財政状態の測定と報告

主要な財務諸表の最初のもので、企業の財政状態がどのように測定され、表示されるかを扱う。

第3章:業績の測定と報告

財政状態と対になる主題として、一定期間の成果がどのように測定・報告されるかを扱う。

第4〜5章:有限責任会社の会計(1);有限責任会社の会計(2)

会社の会計を2部構成で扱う。それまでの財務諸表を、通常の報告主体である有限責任会社に当てはめて調整する。

第6章:キャッシュ・フローの測定と報告

キャッシュ・フローは、財政状態と業績の両章のあとに独立した章として置かれている。

第7章:資産と負債の認識と報告

資産と負債がどのように認識され、報告されるかを扱う章で、それらが支える各計算書のあとに置かれている。

第8〜9章:財務諸表の分析と解釈(1);財務諸表の分析と解釈(2)

本書の分析の中核で、ここでも2部構成になっている。出版社の紹介が掲げる意思決定者の視点を、公表された財務諸表に適用する部分である。

第10章:企業グループの業績報告

単一の会社から、企業グループの会計へと視野を広げる。

第11章:財務報告の範囲の拡大

3つの主要な計算書の枠を超える内容を扱う。出版社は第11版でサステナビリティ報告、監査、財務報告に関する記述を書き直したとしているが、どの章に含まれるかは示していない。

第12章:会社の統治

本文の最後に、コーポレート・ガバナンスが置かれている。

付録A:財務取引の記録

取引の記録の仕組みは、冒頭の章ではなく巻末の付録にまとめられている。

主要概念

第1〜3章:目的、財政状態、業績

  • 会計情報の意思決定への利用:出版社が示す本書の組織原理で、財務諸表と情報は、それが支える意思決定のために学ばれる。
  • 財政状態と業績:章題が挙げる2つの測定対象で、別々の計算書を通じて報告される。

第4〜7章:会社、キャッシュ・フロー、資産と負債

  • 有限責任会社の会計:2章を費やして扱う、会社に固有の会計処理。
  • キャッシュ・フロー:利益とは別に報告・解釈される。
  • 資産と負債の認識:項目をいつ、どのように計算書に計上するかという問題。

第8〜12章と付録A:分析、グループ、範囲、ガバナンス、記録

  • 財務諸表の分析と解釈:公表された財務諸表の読み方を、2章にわたって扱う。
  • グループ会計:企業グループの成果の報告。
  • コーポレート・ガバナンス:最終章の主題。
  • 財務取引の記録:計算書の背後にある簿記を扱う付録。

批判的分析

長所

  • 作成者ではなく利用者のための本。 Pearson は財務会計がビジネス上の意思決定で果たす役割を強調しており、章の順序もそれを反映している。財務諸表と会社の会計のあとに、分析と解釈の2章が続く。
  • 本文に組み込まれた学習支援。 出版社は、強調された用語と章末の要約、「real world」のコラム、アクティビティと演習を挙げており、今版では各章末に選択式問題も新たに加わった。
  • 現代的な事例。 新版は Manchester United、AstraZeneca、ASOS、BP、Ryanair、Next などの企業を取り上げ、Pearson によればサステナビリティ報告、監査、財務報告に関する記述も更新された。
  • 範囲が明確。 12章と1つの付録、約688ページという分量は、財務会計の1科目として扱いやすい。

短所

  • 簿記が後回しにされている。 取引の記録は付録Aに限られる。複式簿記の手順を早い段階で試験する授業では、この付録を先に読むか、別の教科書が必要になる。
  • 財務会計のみ。 原価計算や予算など、管理会計の主題は目次に含まれていない。
  • 事例は英国・アイルランドの企業が中心。 Pearson が挙げる企業の多くは英国かアイルランドの企業で、英国の授業には合うが、他の報告制度の事例を必要とする読者には助けが少ない。
  • デジタルの演習は別売り。 1,500問を超える自動採点問題は MyLab Accounting のもので、Pearson は本書に付属しないと明記している。

コースにおける位置づけ

この財務会計コースにおいて、Atrill と McLaney の本は入門書と専門書の中間に位置する。Weetman と Jubb の Financial Accounting: An Introduction は、会計等式と IASB の概念フレームワークを土台に各主題を組み立てると紹介されており、OpenStax の Principles of Accounting, Volume 1 は、取引から会計サイクルを経て公表される財務諸表まで順に追っていく。数字がどのように作られるかを学びたい読者には、このどちらかが最初の一冊として適している。数字を使うことが主な目的の読者には、Atrill と McLaney の本が向いている。

その後さらに深めたい場合、Kieso、Weygandt、Warfield、Wiley の Intermediate Accounting は、IFRS との比較を交えながら、米国会計基準における認識、測定、開示を項目別に扱う。Scott と O'Brien の Financial Accounting Theory は、財務報告がなぜ現在の形をとるのかを研究に基づいて説明する。Libby、Libby、Hodge の Financial Accounting は、財務諸表とビジネス上の意思決定を軸にしたもう一つの入門書である。

本書の使い方

本書は、財務諸表を読み解く必要のある経営学・マネジメント・会計の学生を対象としている。Pearson は、会計学専攻の学生にも、他の分野で財務会計を履修する学生にも向く、読みやすい入門書として紹介している。

実践的な読み方は次のとおり。

  • 中核: 第1〜3章、続いて会社の会計とキャッシュ・フローの第4〜6章、そして分析の第8〜9章。
  • 実際の報告書と併読: 分析の各章を、上場企業の年次報告書に当てはめてみる。出版社は、本書自体が実際の企業報告書の解説に基づいて進むと述べている。
  • 必要に応じて: 資産と負債を詳しく扱う授業では第7章、グループ会計、より広い報告範囲、ガバナンスを扱う授業では第10〜12章。
  • 付録A: 取引の記録を試験する授業では、早めに読む。

本文中のアクティビティを進めながら取り組み、先へ進む前に章末の選択式問題で理解を確かめるとよい。