01 / 読書ガイド
読書ガイド
引用
Libby, R., Libby, P. A., & Hodge, F. (2023). Financial Accounting. McGraw-Hill Education.
章の要約
本書は全13章からなる。出版社は、ロバート・リビー(Robert Libby)、パトリシア・リビー(Patricia Libby)、フランク・ホッジ(Frank Hodge)の著者チームが、初日から学生を引き込むというベストセラーの伝統を受け継いでいるとし、4つの特徴を挙げている。各章をなじみのある企業を中心に統合する「フォーカス企業」アプローチ、取引分析を2つの章にわたって展開する「積み木式」アプローチ、実在企業に基づく取引分析と財務諸表分析のバランス、そして動画、Integrated Excel、総勘定元帳(General Ledger)問題などの技術である。以下の章題は出版社の現行の目次に従う。他の版では章題の言い回しが異なる場合がある。
第1章:Financial Statements and Business Decisions(財務諸表とビジネスの意思決定)
冒頭の章は、財務諸表とそれがビジネスの意思決定にどう情報を与えるかを紹介する。出版社の言う「フォーカス企業」アプローチへの入り口である。
第2〜4章:Investing and Financing Decisions and the Accounting System(投資・財務の意思決定と会計システム);Operating Decisions and the Accounting System(営業の意思決定と会計システム);Adjustments, Financial Statements, and the Closing Process(決算整理、財務諸表、締め切りの手続き)
この3章は会計システムを扱う。題から見ると、最初の2章は投資、財務、営業の意思決定を取引の源として扱っており、取引分析を2つの章に分けるという出版社の積み木式の説明と合致する。第4章は決算整理、財務諸表の作成、締め切りの手続きへ進む。
第5章:Communicating and Analyzing Accounting Information(会計情報の伝達と分析)
第5章は記録から、会計情報の伝達と分析へと向かう。題からは、会計システムの章と、続く項目別の章のあいだに位置づけられている。
第6〜11章:Sales Revenue, Receivables, and Cash(売上収益、売掛金、現金);Cost of Goods Sold and Inventory(売上原価と棚卸資産);Property, Plant, and Equipment; Intangibles; and Natural Resources(有形固定資産、無形資産、天然資源);Liabilities(負債);Bond Securities(債券);Stockholders' Equity(株主持分)
6つの章が、貸借対照表と損益計算書の主要項目を順に取り上げる。売上収益、売掛金と現金、売上原価と棚卸資産、有形固定資産・無形資産・天然資源を含む長期資産、負債、債券、そして株主持分である。
第12〜13章:Statement of Cash Flows(キャッシュ・フロー計算書);Analyzing Financial Statements(財務諸表の分析)
本書は、キャッシュ・フロー計算書と財務諸表分析の章で締めくくられ、それまでの章を統合する。
主要概念
第1〜5章
- 財務諸表とビジネスの意思決定:意思決定者による財務諸表の利用。
- フォーカス企業:出版社によれば、各章がそれを中心に統合されるなじみのある企業。
- 取引分析と会計システム:投資・財務・営業の意思決定の記録。2つの章にわたって段階的に展開される。
- 決算整理と締め切り:取引の記録から財務諸表の公表までの手順。
第6〜13章
- 収益、売掛金、棚卸資産、長期資産:項目別の章。
- 負債、債券、株主持分:貸借対照表の資金調達側。
- キャッシュ・フロー計算書:第三の主要な財務諸表で、第12章で扱う。
- 財務諸表分析:最終章の主題。
批判的分析
長所
- 一貫した教育上の工夫。 出版社によれば、フォーカス企業アプローチはなじみのある企業を中心に内容を統合するので、学生は孤立した例ではなく、実在の企業の財務諸表として見ることができる。
- 取引を段階的に扱う。 積み木式アプローチは取引分析に2つの章を充てており、出版社によれば、学生が練習して習熟する時間を得られる。
- 全体を通した財務諸表分析。 出版社は、取引分析と実在企業の財務諸表の分析とのバランスを強調している。財務諸表を作成するのではなく、将来マネージャーとして使う学生に適している。
- 多様な学習者のための技術。 挙げられている支援は、動画、Integrated Excel、総勘定元帳問題である。
短所
- 入門水準の範囲。 13章で、キャッシュ・フローと財務諸表分析で終わる。各種の資産・負債の認識と測定をさらに深く扱うコースには、より詳細な教科書が要る。
- デジタル機能は別売りの選択肢。 出版社は電子書籍、紙の本、Connectを別々の購入オプションとして挙げているので、学生は自分の授業にどの演習ツールが含まれるかを確認すべきである。
- 版による違い。 出版社はこの書名を「エバーグリーン」(Evergreen)商品として、次々とリリースを重ねて販売しているため、章題や章番号は版によって異なる場合がある。章番号を照合する前に、教員に版を確認すること。
コースにおける位置づけ
財務会計のコースでは、本書は主流の入門教科書である。WeetmanとJubbの Financial Accounting: An Introduction は英国と国際的な視点に立ち、会計等式とIASB概念フレームワークを土台に、IFRS基準による報告を説明する。AtrillとMcLaneyの Financial Accounting for Decision Makers は、財務諸表の利用者の立場から教える。オープンライセンスの Principles of Accounting, Volume 1 は、仕訳から会計サイクルまで取引を追い、オンラインで無料で読めるので、練習用の第二の資料として適している。
その先については、Kiesoの Intermediate Accounting が、入門のあとのコースのための、米国会計基準(US GAAP)による財務報告の詳細な扱いである。ScottとO'Brienの Financial Accounting Theory は、報告がなぜ現在の形をとるのかを論じる研究に基づく著作で、基礎が固まってから読むのがよい。
本書の使い方
本書は、会計の予備知識がなく、財務諸表を読んで使う必要がある学生向けである。第1〜5章が中核で、財務諸表、取引分析、決算整理、そして伝達である。後の章は会計システムを前提とするので、順に進める。第6〜11章は項目ごとに独立しているので、授業の順序に従ってよい。第12章と第13章は財務諸表を統合するもので、実務的な作業の準備として適している。
各章を読むときは、フォーカス企業の財務諸表を追いながら練習し、問題集と授業のプラットフォームを使って取引を手で処理する。位置づけられない用語に出会ったら、先へ進まず、関連する項目の章に戻ること。
