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読書ガイド
引用
Weetman, P., & Jubb, D. (2024). Financial Accounting: An Introduction (9th ed.). Pearson.
章の要約
第9版は2024年5月にピアソンから刊行され、序文に続いて四部・全15章からなる。ポーリン・ウィートマンはエディンバラ大学、ダレン・ジャブはスコットランド勅許会計士協会(ICAS)に所属する。ピアソンは本書を、財務情報がどのように作成・表示され、意思決定にどう使われるかを説明する実践的な基礎と位置づけている。会計等式から始めて、財務諸表、報告上の要件、業績分析へと進み、内容は国際財務報告基準(IFRS)とIASBの概念フレームワークに沿っている。この版が引き継ぐ特徴として、会計等式によるアプローチ、さまざまな学習課題、実際の企業事例の多用、そしてコンパニオン・ウェブサイトが挙げられている。
構成は入門書としては珍しい。簿記から始めるのではなく、年次報告書とその利用者から出発し、第2部で公表財務諸表を読み分析することを学び、そのあとで取引の記録(第3部)と個々の項目の認識(第4部)に進む。
第1部:企業報告――年次報告書と財務諸表
第1–5章:情報に対する利用者のニーズ/年次報告書に影響を与えるもの/会計等式――財務報告への体系的アプローチ/会計等式から導かれる財務諸表/財務諸表の品質の確保
第1部は、財務諸表がなぜ存在し、何がそれを形づくるのかを示す。財務情報の利用者とそのニーズから始め、次に年次報告書の内容に影響を与えるものを扱う。第3章と第4章では、本書を貫く道具である会計等式を導入し、主要な財務諸表がそこからどう導かれるかを示す。第5章は、財務諸表の品質がどのように確保されるかを問う。
第2部:企業報告書を読み解く
第6–8章:公表財務諸表/比率分析/比率――計算例
枠組みが整ったところで、学生は実際に公表された財務諸表に触れ、その分析を学ぶ。比率分析には2章が充てられ、一つは比率とその意味、もう一つはそれを適用した完全な計算例である。
第3部:企業の取引の報告
第9–10章:サービス業の会計情報/商品販売業の会計情報
取引の記録を、まずサービスを提供する企業、次に商品を仕入れて販売する企業について扱い、第1部の会計等式の上に組み立てる。
第4部:財務諸表における認識
第11–15章:非流動(固定)資産/流動資産/流動負債/引当金と非流動(長期)負債/所有者持分
最後の部は財政状態計算書を項目ごとに扱う。非流動資産と流動資産、流動負債、引当金と長期負債、そして所有者持分(資本)である。
主要概念
第1部:企業報告
- 財務諸表の利用者:財務情報に依拠する人々で、そのニーズが本書の出発点となる。
- 会計等式:資産から負債を引いたものが所有者持分に等しいという関係で、財務諸表はここから導かれる。
- IASBの概念フレームワーク:IFRSの背後にある原則で、本書は報告上の要件を説明するのにこれを用いる。
- 財務諸表の品質:報告される情報を信頼でき有用なものにする特性と、それを確保する手段。
第2部:解釈
- 公表財務諸表:企業が年次報告書で実際に示す形の財務諸表。
- 比率分析:財務諸表から計算し、あわせて解釈する業績と財政状態の指標。
第3–4部:取引と認識
- サービス業と商品販売業:取引の記録方法を示すために使われる二つの場面。
- 認識:ある項目がいつ、どのように財務諸表に計上されるかで、資産、負債、所有者持分の各区分に適用される。
- 引当金:時期や金額が不確実な負債で、長期負債とともに扱われる。
批判的分析
長所
- 利用者を先に置く順序。 記録(第3部)より前に、利用者、年次報告書、解釈(第1–2部)から始めることで、学生には仕組みを学ぶ理由が与えられる。将来の会計専門家だけでなく、専門外の学生が受ける授業にも向いている。本書が「何を」だけでなく「なぜ」を説明するという出版社の主張は、この構成と一致している。
- 一つの組み立て原理。 会計等式が第1部から取引の章まで貫かれているので、記録と報告が別々の技法ではなく一つの体系として示される。
- 実際の報告書と学習課題。 ピアソンは実際の企業事例と学習課題を強調しており、第2部は公表財務諸表にもとづき、比率分析の完全な計算例を含む。
- 国際的な基盤。 内容はIFRSとIASBの概念フレームワークに沿っており、著者は英国の大学と職業会計士団体の出身である。
短所
- 範囲の限定。 15の章題にはキャッシュ・フロー計算書、グループ(連結)会計、管理会計への言及がなく、これらには別の本が必要になる。
- 簿記は少なめ。 取引の記録は第3部の2章だけである。複式簿記の練習と会計サイクル全体を求める授業では、追加の教材が必要になる。
- 基準は変わる。 IFRSにもとづく内容は基準の改訂とともに古くなるので、最新の基準を確認する必要がある。
- 公刊された書評は見当たらない。 上の評価は出版社の説明と目次にもとづいている。
コースにおける位置づけ
本書は英国型の財務会計の最初の授業のための入門教科書である。OpenStax の Principles of Accounting, Volume 1 はもう一つの入門書で、無料で公開されたオープンライセンスの教科書であり、仕訳から会計サイクル全体まで取引を追っていく。ウィートマンとジャブの2章の取引の章より多くの簿記の練習を求める学生は、これを併用するとよい。リビーらの Financial Accounting も学部向けの入門書で、意思決定のための分析ツールに重点を置いている。
アトリルとマクレーニーの Financial Accounting for Decision Makers も利用者の視点から書かれた英国の教科書で、キャッシュ・フロー計算書を含む。解釈をより深く学びたい学生にとって、自然な2冊目または代替となる。キーソらの Intermediate Accounting は、その後に続く詳細な授業向けの教科書で、米国会計基準(US GAAP)のもとでの認識と測定をIFRSとの比較を交えて扱い、本書の第4部を発展させる。スコットとオブライエンの Financial Accounting Theory は、財務報告がなぜ今の形をとるのかを研究にもとづいて説明する本で、上級の学習に進む学生向けである。
本書の使い方
本書は会計、経営、経済の1年次の学部生と、財務諸表を読む必要がある専門外の人に向いている。会計の予備知識は前提とせず、基本的な算数ができれば十分である。
実践的な計画:
- 中核: 第1部を順に読む。会計等式を扱う第3章と第4章は他のすべての基礎となるので、その学習課題はすべて解くこと。
- 解釈: 第2部。第7章を読んだあと、第8章の計算例を自分の知っている企業の年次報告書で再現し、本書の結果と比べるとよい。
- 仕組み: 第3部の2章。授業で複式簿記が求められるなら、OpenStax の第1巻を加える。
- 認識: 第4部を章ごとに読み、それぞれの項目を第4章の財政状態計算書と結びつける。
学習課題とコンパニオン・ウェブサイトは、復習用にとっておくのではなく、読み進めながら使うこと。キャッシュ・フロー計算書についてはアトリルとマクレーニーを使うとよい。
